刀剣乱舞×クトゥルフ神話TRPG

本日は内番日和!

Pixiv版(内容はこのページと同じ)



●概要

所要時間:オンラインテキストセッションで4~6時間
難易度:易/ロストは一応あり
推奨人数:1~2人
推奨技能:〈日本刀〉、〈回避〉、内番(畑や馬当番、掃除洗濯)に使えそうな技能
※回避できない戦闘あり
※刀剣乱舞の世界観、及び登場する神話生物に関する独自の解釈や改変が含まれます
※PCたちの主である審神者を含め、人間のNPCが登場します

●あらすじ

「君たちには特別任務を頼みたいんだ」
呼び出されたあなた達を見て、主である審神者は一つため息をついて、こう続けた:
「後輩本丸の刀剣男士に内番の指導をしてほしい」
簡単そうな任務の裏、あなた達を待ち受けているのは――……。

●注意

このシナリオは以下のハウスルールを前提として作られています。違うルールを用いる場合、シナリオを適宜改変することをおすすめします。
・刀剣男士自身の耐久(HP)は〈応急手当〉や〈医学〉で回復可能
・刀剣男士の本体の耐久は審神者の手入れでのみ回復可能
・自分の主である審神者の手入れを受けると、PC自身のHPも本体の耐久も全回復する
 →その際手伝い札を使用すれば時間経過はなしとする





本作は、「Chaosium Inc.」「株式会社アークライト」「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
©Chaosium Inc./アークライト/KADOKAWA
また、本作は「ニトロプラス」が権利を有する『刀剣乱舞-ONLINE-』の二次創作にもあたります。

本作を遊ぶのにクトゥルフ神話TRPGの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。

この先はKPする方のみ読み進めてください。




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◆背景

昔々、とある魔法使いは何らかの目的でショゴスを召喚したが、後始末が手に負えなかったのか、何とかその力を封じ込め、ショゴスごと近くの池に封印してから姿を消した。封印を破れなかったショゴスは、それから長い長い眠りについた……何かのきっかけで、封印が破られることを夢見て。

長い時を経て、2200年代。近頃、審神者の数の急増により時の政府は新しい本丸を構える本拠地(国)を決めなければならない。適した土地を探し、お祓いをして結界を張ると、急いで本丸の建築に取りかかり、新人たちを受け入れることとなった。

こうしてできた本丸の一つをPCたちの主の後輩がもらい、審神者としての生活を始めた。
……しかし、後輩の家事スキルは壊滅的で、動物の世話や畑を耕す経験も当然なかった。悲しいことに、後輩に顕現された刀剣男士もまた主に似たのか、内番を要領よくこなすことができずに数週間が過ぎていった。

このままでは戦をする前に自滅してしまう――ようやく危機感を覚えた後輩はPCたちの主に助けを求め、PCたちが後輩の本丸に派遣されることになった。

……ショゴスが封印された池が、まさに本丸の庭にある池であることは、まだ誰も知らない。


次のページ以降、「」から始まる情報はKP情報です。




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◆導入

稼働してから数年が経ち、大方の刀剣男士が揃い、安定した運営を保っているPCたちの本丸。ある日、朝食の後にPCたちは主である審神者に呼び出される。

「君たちには特別任務を頼みたいんだ」
神妙な顔つきでそう告げて、審神者は一つため息をついて、任務の詳細を説明してくれる。
「後輩の本丸の刀剣男士に内番の指導をしてほしい」
「つい先月審神者に就任したばかりなんだけど、家事スキルが壊滅的で……顕現された刀剣男士もそれを受け継いだのか、家事はもちろん、畑当番や馬当番にも苦労しているらしい」
「このままでは遡行軍と戦う前に本丸で自滅してしまう、って泣きながら連絡してきてね……出陣じゃなくて申し訳ないけど、頼まれてくれるかな?」
審神者はPCたちに尋ねる。PCたちが質問すれば以下のことも教えてくれる(審神者名は聞かれなくても教えておくと描写しやすい)。


●後輩審神者について

・審神者名は「千春(ちはる)」
・就任して一か月ちょっと、刀剣男士は順調に増えて行っているがまだ20振り未満
・主が審神者になる前の、学生時代の後輩だった
・素直で勉強熱心、性格も明るいからPCたちともすぐに打ち解けられるだろう
・頭は悪くないが、なぜか家事をやらせると全然うまく行かない
・畑を耕す経験や、動物の世話をする経験もない
・顕現した刀剣男士も通常より不器用で、内番を試行錯誤でやっているが効率がとても悪い。人数も増えてきているから、内番の体制をそろそろちゃんと整えたい
※PCたちの主も含めて、性別・年齢はKPが(PLと相談して)決めてもいい


●任務について

・後輩の本丸へ赴き、内番のコツをあちらの刀剣男士たちに教える
・向こうの刀剣男士と実際に馬当番、畑当番を行う
・掃除洗濯のコツも教えてほしい
・必要なものは向こうが提供してくれるので、いつ向かっても大丈夫


準備が整ったら、審神者は「ゲートで後輩本丸の前まで送るよ」と言ってPCたちをゲートまで連れていく。PCが持ち物を整理する時間を与えてもいい。
帰りも後輩にゲートで本丸の前まで送ってもらうと話を付けたと、審神者は座標を入力しながらPCたちに告げる。そうして指定地点につないだゲートは起動され、PCたちが一歩踏み込めば、眩い光に包まれて目的地まで転送されることになる。




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◆後輩の本丸にて

光が収まると、目の前には本丸の門があった。周りの景色が違うことから、自分の本丸ではなく、後輩の本丸に到着したことに気づく。
門を叩けば中から「お、来たか」と声が聞こえ、門が開かれる。そこから顔を出すのは刀剣男士の鶴丸国永だった。
「よっ。主の先輩の刀剣というのはきみらのことだな?待ってたぜ」

※PCと被っていれば別の刀剣男士に変更しても構わない。刃選は自主的にPCたちに説明を行ったり、内番を嫌がらない男士であれば他に条件制限はないが、後輩が新人である事も考えて、高難易度戦場でのみ入手できる刀、または期間限定でしか入手できない刀は避けたほうがいい。また、ソロの場合、PCの能力や戦闘バランスを意識して選んだほうがいいかもしれない。

簡単に挨拶してから、鶴丸は「主は執務室にいる、まずはそこへ案内しよう」と、PCを連れて本丸の中に入る。
部屋の配置や増築されていない部分こそ違うが、本丸自体の構造はPCの本丸と大差ない。廊下を通って進んでいくと、ある部屋の前で鶴丸は足を止め、「主、客人を連れてきたぞ」と声をかけてから襖を開ける。
部屋の中には、執務机に向かって座っている、(PCが主から聞かされた通りの)この本丸の主がいた。

※ちなみに通ってきた廊下や部屋の中を観察すると、塵が積もるほどではないが、注意して見れば掃除が行き届いてない箇所や、破った障子が不格好に補修された跡などを発見できるだろう。本丸の他の部分を観察しても似たような状況を目にすることができる。

千春審神者は「いらっしゃい!あなた達が先輩の刀剣男士ですね」と歓迎してくれる。PCが任務の詳細を聞いていない場合、千春が改めて説明してくれる(前述の項目【任務について】を参照)。
「もうご存知だと思いますが、お恥ずかしながら私にはどうしようもなくて……ご迷惑おかけしますがどうかよろしくお願いします」
「一度に全員に教えるのは大変ですから、まずは鶴丸さんに教えてほしいのです。鶴丸さんにコツを覚えてもらって、あとで私や他の刀剣男士が彼から学んでいけたらと思います」
「鶴丸さん、こちらの端末を使って映像を撮ってもらってもいいですか?」
などと言って、千春は一台の端末を鶴丸に渡す。どうやら彼は機械の扱いが比較的に得意らしい。鶴丸も二つ返事で引き受けている。
他の質問がなければ、千春はお礼を言って、鶴丸にPCの案内を頼む。
「ああ、驚きの結果をきみにもたらすと約束しよう。さあ、行こうか」と鶴丸が宣言し、PCを連れて執務室から退出する。




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◆内番

「それで?どれから始めるんだ?」
鶴丸がPCに問いかける。KPは改めて以下の選択をPLに提示し、選んだ場所の項目へ移行してください。
※RP好きなKPは各所に当番にあてられた刀剣男士を登場させても構わない、その場合鶴丸と一緒に彼らもコツを教わることになる。が、基本的に鶴丸に覚えてもらえれば任務達成になる。


●内番の選択

・馬当番:【馬小屋】へ
・畑当番:【畑】へ
・掃除洗濯:【洗濯場】へ


●ミニ戦闘イベント

内番が一個終わるたびにこのイベントが発生する。PCはその場に現る「影」に気づく。
それは黒っぽい玉虫色の塊で、形が絶え間なく変わり続けている。球体の形をしているときのそれは、直径30センチぐらいになるだろう。緑色の光がいくつも点滅するその体に少し近づけば、「テケリ・リ!テケリ・リ!」と鳴き声のような、聞きなれない音が聞こえてしまう。
自然界に存在しえない「生き物」、悍ましい形をしているそれを目撃したPCは本能的に、「これは人間に害をなす存在になりえる」と理解する。SANチェック、1D3/1D8。
なお、2回目以降の遭遇では、このSANチェックは免除になる。
※決戦で戦うショゴスの一部である。封印が解けていく過程で本丸に姿を現したが、大本のショゴスに戻ろうとするので戦闘からは逃走する。本来よりサイズが小さい上に力も弱いため、SANチェックは通常より少な目に設定している。

SANチェックの処理が終わったら、戦闘処理に入る。
ショゴス(小)との戦闘は内番を行う3か所にて一回ずつ、合計3回ある。イベント戦闘であり、2ラウンドが過ぎれば結果を問わずに終了する。
ショゴス(小)は攻撃や回避などの行動を一切行わない。1ラウンド目は逃げる準備に消費し、2ラウンド目で逃げてしまう。この行動は自動成功で、2ラウンド目の終了時に地面に溶け込むようにPCから逃げていなくなる。ただし、PCの攻撃でショゴス(小)のHPが0になった場合、タールのような染みを残して消滅したことになる。逃げられた場合、(決戦に使うため)KPはショゴス(小)が受けたダメージを記録しておいてください。
なお、PCが二振り以上いる場合は鶴丸は戦闘に参加しない。一振りの場合のみPCに加勢してくれる。

【ショゴス(小)】
DEX:3 耐久力(HP):10
装甲はなく、ダメージも通常通りに受ける。また、攻撃、回避などの行動を一切行わない。

【刀剣男士 鶴丸国永】
STR:15  DEX:11  POW:15
CON:13  APP:13  EDU:14
SIZ:14  INT:15  SAN:75
HP:14  MP:15   DB:1D4
-------------------------------------
【技能】
アイデア(75%) 幸運(75%)   知識(70%)
回避(65%)   目星(70%)   聞き耳(60%)
日本刀(80%)  応急手当(50%) 精神分析(50%)
-------------------------------------
戦闘・回復を行えるNPC。戦闘以外でもPCが不慮の事故で怪我したときに応急手当などを振らせてもいい。PCと同様にSANチェックを受けるが、KPが処理を簡略化したいなら省いてもいい。
※刀剣男士の各能力値の上下限が通常探索者と同じになるように作成したデータである。他のPC作成ルールを採用する場合、KPが適宜に変更して構わない。
※記載されていない技能に関してはKPが必要に応じて決めても構わない


●戦闘後

初めてショゴス(小)と遭遇した場合、「何だったんだ今のは……」と鶴丸は驚く表情を見せる。どうやら彼も「それ」に遭遇するのが初めてのようで、他の刀剣男士や審神者からも目撃情報がなかったとのこと。

もし審神者に報告するなら、千春はびっくりしつつも深刻な表情を見せ、「ご迷惑おかけしてすみません。こちらで(政府にも連絡して)調べてみますので、引き続き内番のほうをお願いしてもいいでしょうか?」と対応する。2回目も向かうのであれば、「政府の職員が後ほど本丸に来て調査してくれるそうです」と教えても構わない。

審神者に報告しない場合、「あとで主にも教えないとな」と鶴丸がつぶやいてから、次へ向かう場所をPCに尋ねる(2回目も同じ反応になる)。
内番を行った3か所での戦闘がすべて終わったら、【決戦】へ移行してください。

※千春に報告すれば、本丸内に待機している刀剣男士にショゴスが出現した場所の調査を頼み、また政府に問い合わせする。本丸内で発生した「事件」のため、「客人」であるPCに頼むことはない(が、結果的にPCが解決することになる)。




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◆馬小屋

外観は本丸ができた初期にあるものそのままだ。木製の扉から入れば、広々とした空間には仕切りが設置され、馬たちが住む馬房になっている。すでに数頭の馬がここで生活しているようだが、空間全体が乱雑で掃除が行き届いていない印象を受ける。
鶴丸にも「道具が散らかっていて悪いな。どうやって片づけていいのやら……」と申し訳なさそうに言われる。
PCに以下の【馬当番の仕事】の情報を開示する。これらはPCが自分の本丸で内番を行った際に得た経験や知識であることを説明してください。


●馬当番の仕事

・馬たちのブラッシングやマッサージ
・馬たちの健康状態を確認し、餌をあげる
・馬たちを散歩に連れ出す
・馬小屋の掃除(堆肥用の馬糞を集め、敷料を換えるなども)
・馬具や掃除道具などの整理

KPは以上の仕事をこなすのに役立ちそうな技能をPLに提案してもらい、判定させてください。PLの説明が合理的であれば、どんな技能でも構わない。5つの項目があるため、PC人数を問わず、最大5回(項目ごと1回ずつ)まで挑戦でき、1回でも成功すれば、鶴丸にいい手本を見せながらコツを伝えたとする。

提案する技能の例:
・〈芸術(掃除)〉〈芸術(家事)〉などで掃除をする
・〈医学〉や〈生物学〉で馬の体調を確認
・〈乗馬〉で散歩の補助をする
・〈知識〉で馬の健康にいい餌や、マッサージの方法を思い出す
あくまで一例なので、理由を述べることができれば他の技能でももちろん構わない。また、PLが本当に思いつかないようであれば、KPが上記の例をヒントとして提案することも可能。


●謎の生き物

上記の処理が完了したら、このイベントが発生する。
1回でもロールに成功した場合、鶴丸に手本を見せたあと、PCはふと、馬小屋の隅にうごめく「影」に気づく(または、鶴丸が気づいてPCを誘導する)。
KPは前述の【ミニ戦闘イベント】項目を参照して戦闘を行ってください。
ロールを全部失敗した場合、戦闘イベントは起きず、鶴丸が次に行くべき場所を質問する(3回目の場合【決戦】へ移行する)。




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◆畑

PCの本丸の畑ほどではないが、そこそこ広い畑だ。だが、雑草は伸び放題で、土も手入れされていないのが見て取れる。畑道具や種などは畑のすぐそばにある小さな納屋に収納されているが、使われた形跡はあまりないようだ。
鶴丸は「なんとか野菜を育てみようと、あそこだけは当番が耕して種を撒いて水やりもしているが、成果は微妙といったところだな」と苦笑しながら、畑の一角を指さして説明する。示された場所を見ればぽつぽつと小さな葉っぱが生えていることがわかる。
PCに以下の【畑当番の仕事】の情報を開示する。これらはPCが自分の本丸で内番を行った際に得た経験や知識であることを説明してください。


●畑当番の仕事

・作物が傷つかないように、雑草や小石などを取り除く
・土を掘り起こし、柔らかくした土を耕す
・堆肥を土に混ぜる、畝を作って種を撒く
・土の状態を見て、適度に水やりを行う
・各種作物を正しい方法で収穫する
・畑道具の手入れ

KPは以上の仕事をこなすのに役立ちそうな技能をPLに提案してもらい、判定させてください。PLの説明が合理的であれば、どんな技能でも構わない。6つの項目があるため、PC人数を問わず、最大6回(項目ごと1回ずつ)まで挑戦でき1回でも成功すれば、鶴丸にいい手本を見せながらコツを伝えたとする。

提案する技能の例:
・〈目星〉で雑草や小石を見つける、または土の乾き具合を確認する
・〈運転〉や〈重機械操作〉でトラクターを操り畑を耕す 
・〈生物学〉や〈博物学〉で正しい収穫方法を思い出す
・〈杖〉で鍬を使って畑を耕す、または道具の手入れ方法を思い出す
あくまで一例なので、理由を述べることができれば他の技能でももちろん構わない。また、PLが本当に思いつかないようであれば、KPが上記の例をヒントとして提案することも可能。
※描写ではトラクターがあると言及していないが、PCが技能を持っていれば自由にトラクターを生やしてください(トラクターは生える物)。他の道具も同様に扱って構わない。


●謎の生き物

上記の処理が完了したら、このイベントが発生する。
1回でもロールに成功した場合、鶴丸に手本を見せたあと、PCはふと、納屋の裏にうごめく「影」に気づく(または、鶴丸が気づいてPCを誘導する)。
KPは前述の【ミニ戦闘イベント】項目を参照して戦闘を行ってください。
ロールを全部失敗した場合、戦闘イベントは起きず、鶴丸が次に行くべき場所を質問する(3回目の場合【決戦】へ移行する)。




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◆洗濯場

鶴丸に連れられて本丸の廊下を進んでいくと、端っこにある一室にたどり着く。中にはタンスや物入れ、洗濯機や乾燥機が置いてあり、シンクも設置されている。部屋は土間と隣接していて、土間には物干し竿や、裏庭へと繋がる扉もある。どうやらこのエリアは洗濯場になっているようだ。
「普段使う掃除道具はここに入れてあるが、ちゃんと使えているかどうかは俺たちにもわからんからな……」と鶴丸は物入れをPCに見せながら説明する。洗濯機の使い方も一部の男士しかわからないそうだ。
PCに以下の【洗濯掃除当番の仕事】の情報を開示する。これらはPCが自分の本丸で内番を行った際に得た経験や知識であることを説明してください。


●洗濯掃除当番の仕事

・洗濯する必要のある服を回収して、洗濯機にかける
・洗濯した服を乾燥機にかける、または干して乾かす
・大広間、風呂場などの共有スペースの掃除
・ゴミを分別しまとめて、指定された場所に捨てる

KPは以上の仕事をこなすのに役立ちそうな技能をPLに提案してもらい、判定させてください。PLの説明が合理的であれば、どんな技能でも構わない。4つの項目があるため、PC人数を問わず、最大4回(項目ごと1回ずつ)まで挑戦でき、1回でも成功すれば、鶴丸にいい手本を見せながらコツを伝えたとする。
※審神者や刀剣男士の私室は各自掃除することになっているが、当番でコツを掴めたら応用することができるだろう、ということでプライバシーは保障されたのであった。

提案する技能の例:
・〈芸術(家事)〉で掃除のコツを思い出す
・〈目星〉で汚れがためやすい場所、掃除しにくい場所を見つけて注目してもらう
・〈知識〉や〈アイデア〉でゴミの分別方法を思い出す
・〈機械修理〉で洗濯機や乾燥機の正しい使い方を思い出す、またはマニュアルを作成する
あくまで一例なので、理由を述べることができれば他の技能でももちろん構わない。また、PLが本当に思いつかないようであれば、KPが上記の例をヒントとして提案することも可能。


●謎の生き物

上記の処理が完了したら、このイベントが発生する。
1回でもロールに成功した場合、鶴丸に手本を見せたあと、PCはふと、土間の扉から裏庭へ出ていこうとする「影」に気づく(または、鶴丸が気づいてPCを誘導する)。
KPは前述の【ミニ戦闘イベント】項目を参照して戦闘を行ってください。
ロールを全部失敗した場合、戦闘イベントは起きず、鶴丸が次に行くべき場所を質問する(3回目の場合【決戦】へ移行する)。




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◆決戦

「人生には驚きが必要だが、こんなのは求めてないな……一体何なんだあの未確認生物は」
PCが3つの内番について一通り教えたあと、鶴丸は少し困ったようにつぶやく。
PCが何らかの反応を示したら、突如大きな悲鳴が聞こえた。
〈聞き耳〉もしくは〈ナビゲート〉に成功すれば、悲鳴が聞こえた方向に審神者の執務室があることがわかる。また、失敗しても鶴丸が「あの方向……主っ!」と執務室へ向かって走り出す。
※自分の本丸の配置には詳しいので、鶴丸のロールは省略。

鶴丸と共に執務室へ駆けつければ、青ざめている千春審神者とその護衛に当たっているであろう刀剣男士が、執務室から見える庭を見つめていることに気づく。詳細を尋ねるのなら、悲鳴を上げたのは審神者で、理由については「庭に…あれが…!」と答えて庭の方向を示す。
※護衛の男士をRPするのなら、室内戦で活躍できる短刀か脇差が妥当な刃選になるだろう(鍛刀できる子なら誰でも)。千春を守ることが最優先なので戦闘には参加しない。

庭へ目を向けば、そこには先ほど何度も対峙した玉虫色の塊がある……のだが、今まで見たものよりは遙かに大きい。庭の池から這い出るようにうごめくそれは「テケリ・リ!」と音を発しながら、本丸に覆いかぶさろうとするかのごとくゆっくりと近づいてくる。直径3メートル以上はある体躯には変わらず緑色の光がチカチカと点滅していて、余計に不気味さが増す。
このような怪物が現実に存在していいはずがない。ショゴスを見たPCはSANチェック、1D6/1D20。また、〈クトゥルフ神話〉技能を1%獲得する。

以上の処理が終了したら、ショゴスとの戦闘に移行する。


●ショゴスについて

力を封じられ、長らく封印されていたため相当弱体化されている。ルルブのステータスとは完全に違うものになっているため、もし疑問に感じるPLがいれば封印のことをPLに説明しても構わない(もちろん、PCにとっては知りえない情報のままである)。
また、PCがショゴス(小)の3体に与えたダメージはこの大本のショゴスに引き継がれる。3体とも倒した場合、戦闘開始時点のショゴスの耐久力は(50-30)=20になる。KPは各戦闘で記録したダメージを反映してください。
PCが応戦すれば、攻撃対象は戦闘に参加するPC(ともし参戦しているなら鶴丸)のみになる。

【ショゴス(弱体化)】
DEX:3  耐久力(HP):50
武器:押しつぶし 35%、ダメージ 2D6
弱体化されたため、ルルブP181に記載された「装甲」の項目や、「押しつぶし」に関する解説を適用しない。
「押しつぶし」を通常攻撃のようにダメージを与えるだけのものとし、PCがショゴスに与えるダメージもそのままの値で反映してください。
※記載していないステータスはKPが必要に応じて決めて構わない。基本ルルブP181にあるショゴスの項目をご参照ください。


●鶴丸について

ショゴス(小)との戦闘と同じように、PCが一人の場合のみ参戦してくれる。鶴丸の手番では基本的にショゴスを対象に攻撃を行うが、PCの要望があればほかの行動(応急手当など)を行わせてもいい。
参戦しない場合、審神者や護衛刀剣同様、ショゴスの攻撃対象にはならない。
鶴丸のステータスは前述【ミニ戦闘イベント】の項目をご参照ください。


●お守りの使用

特殊アイテムとして、鶴丸が「お守り・極」を1個のみ所持している。戦闘中のキャラクターが行動不能になった場合、そのキャラクターを対象とし、鶴丸が参戦していれば彼自身の手番に、参戦していない場合はラウンドの最後に対象に「お守り・極」を使用する。このアイテムを使用するのに手番を消費することはない(鶴丸が参戦している場合、使用後改めて行動できる)。なお、鶴丸自身が対象となった場合、行動宣言なしにアイテムの効果が発動される。
「お守り・極」を使用した場合、対象のHP及び本体の耐久値は全回復する。対象は即座に戦闘に復帰し、以降通常通りDEX順で行動することができる。
※お守りに関するハウスルールを設けている場合、KPが適宜に改変してください。


●エンディング分岐

ショゴスを倒し、全員生還した場合→【END A:完全勝利S!】へ
ショゴスを倒したが、ロストしたPC(もしくは鶴丸)がいた場合→【END B:任務成功】へ
ショゴスを倒すことができず、PCが全滅した場合→【END C:任務失敗】へ




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◆エンディング


●END A:完全勝利S!

ショゴスを倒し、全員生還した場合こちらのエンディングになる。
怪物が倒れ、安全が確認されたあと、千春がPCのほうにやってくる。助けてくれたお礼を述べると、この件は先ほど政府に報告済みなので、対応する職員が今この本丸に向かっていると話す。あとは彼らに任せればいいとのこと。また、必要であればPCたちの手入れをしてくれるだろう。

「せっかく来てくれたのに、結局色々迷惑かけちゃってごめんなさい……お詫びにならないと思いますが、もう昼時ですし、昼ごはんを用意させていただきましたが、一緒にいかがでしょうか?」
千春がそう言ってPCの返事を待つ。この誘いをPCは承諾してもいいし断ってもいい。

断った場合、千春から「これから職員さんが来ますので、後日また改めてお礼させてくださいと、先輩にも伝えてもらえますか?」と言伝を頼まれて、そのまま本丸に帰還することになる。出迎えてくれる主に詳細を報告すれば、「それは大変だったね、今日はゆっくり休んでね」と驚かれつつも労いの言葉をかけてもらったPCは、その日の残りの時間をのんびり過ごすことができるだろう(怪我をしていたのならもちろん手入れが先になる)。

千春本丸に残って昼ごはんを食べるのなら、鶴丸がPCを本丸の食堂へ案内してくれる。ここで、KPは席に着いたPCに〈幸運〉を振らせてください。

一人でも成功すれば、見た目は普通だが、家庭的でおいしい料理が運ばれてくる。料理当番がはりきって用意してくれたと鶴丸が説明する。PCは千春本丸の刀剣男士に交えて、談笑しながら楽しくて暖かい一時を過ごすことができるだろう。

失敗した場合、鶴丸は申し訳なさそうに焦げ臭い黒い何かを運んでくる。「主が編成を間違えて、料理が得意な刀を全員遠征に出してしまってな……」と説明する鶴丸の表情から悲しみがにじみ出ている。内番以前に、料理の特訓を全員にしてもらったほうがいいんじゃないか?とPCは思うだろう。

※内番ロールのいずれかに成功できなかった場合、後日再び千春からPCの主へ助けを求める要請が送られてくる。が、PCとは別の刀剣男士が派遣されることになるだろう。

○報酬
シナリオクリア  SAN 1D6
ショゴスを倒した SAN 2D4


●END B:任務成功

ショゴスを倒したが、PCやNPCの誰かがロストした場合こちらのエンディングになる。
倒れた仲間を見て、生き残ったPCはSANチェック、1/1D6。ロストしたのがPCの場合、【END C:任務失敗】の描写を一部使ってもいい。

安全が確認されたあと、護衛の刀剣男士と共に、青ざめた千春が近づいてくる。一目で動揺しているのがわかるが、千春はどうにか自身を落ち着かせてPCに報告する。PCたちが戦っている間に千春は怪物について政府に報告したので、対応する職員が今この本丸に向かっていると話す。刀剣が折れたこともあって、これから事情聴取が始まる。

PCはその後、千春や本丸内にいた刀剣男士たちと共に職員に状況を説明することになるが、それもすぐに終わって解放される。仲間を失った悲しみを胸に、PCは自分の本丸へ帰還し、やがて刀剣男士としての本分を果たそうと再び時間遡行軍との戦いに身を投じることになるだろう。

※内番ロールのいずれかに成功できなかった場合、後日再び千春からPCの主へ助けを求める要請が送られてくる。が、PCとは別の刀剣男士が派遣されることになるだろう。

○報酬
シナリオクリア  SAN 1D6
ショゴスを倒した SAN 2D4
(生還したPCの報酬はEND Aと同じになる)


●END C:任務失敗

ショゴスを倒すことができず、PCが全滅した場合こちらのエンディングになる。
怪物の巨体に圧しかかられ、痛みと共にいやな音が体中から聞こえてくる。暗転する視界の隅に亀裂が走る己の本体が映る。そしてそんな自分を踏み越えて怪物は本丸のほうへ向かっていく。

周りが騒々しい。悲鳴を上げているのはここの審神者だろうか。しかしそれを確かめる前に、世界は暗闇と静寂に包まれた。
PCの意識が途切れてしまう。その後、千春本丸がどうなったのかはPCには知る由もなかった。

○キャラロスト




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◆裏話(ネタバレ)

※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。

初めて刀剣CoCを遊んだとき、内番関係の技能を取ったPCさんがいて、その後も似た感じの技能の取り方を何回か見たことがある気がします。確かに刀剣男士なら修得できそうな技能だなーと思いつつ、シナリオ内でそれらが使われる機会は実はあまりなく、ただフレーバーで取ったものが大半かと思います。だからある日ふと、こういう技能が使えるシナリオを書けばいいんじゃない?と思いつき、このシナリオを書き始めました。
(ちなみに最初の刀剣卓は花丸の初放送から少し経った時期で、仲間PCさんが取ったのは〈重機械操作〉だと記憶していますので、シナリオ内にも例として挙げました。トラクターは完全に花丸宗三さんの影響ですね(笑))

先にストーリーを思いついたので、神話生物を選ぶ時はだいぶ悩みました。結果的に若干無理やりにステータスをいじることになったので申し訳なかったです…。こういう話にしたい!から書き始める事が多いから、神話生物について悩むのはよくあることでした。
というか、池に封印したのは、最初は水が苦手という情報をどこかで見たから弱体化の原因にしやすい!と思ったんですが、改めてルルブを読み直したり検索したりしたらそんなことどこにも書かれていなかった…!夢でも見ていたのでしょうか。でも気づいたのはシナリオが8割ぐらい完成した時なので、結局そのまま池にいてもらうことにしました…!

あとは、友人が「刀剣CoCならやはり戦闘したい」と言っていたのにもだいぶ影響されました。
せっかくなので〈日本刀〉もたくさん振れるシナリオにしよう、でも戦闘って長引くんですよね……そうだ、2ターンで絶対に終わる戦闘にすれば時間管理もしやすい!
と、このように全体の流れが定まりました。所要時間的にもバランスよくできたかなと。出目によっては最後の戦闘でスリルな展開も見られることですし!
というわけで、内番シナリオと見せかけて、実質戦闘シナリオでした。両方楽しんでいただけたら幸いです!