マルチジャンル・ホラーRPG インセイン

追想ティーパーティー

Pixiv版TALTO版(内容はこのページと同じ)

◆概要

舞台:現代日本
プレイヤー人数:1人
リミット:4サイクル
狂気カード:5枚
タイプ:特殊型
レギュレーション:基本ルルブのみ
※ホラー要素薄め



一日を終え、疲れを癒やすために温かい布団に潜った……はずだった。
再び目を開けると、そこは気品のある調度品が揃えられている一室で、
目の前には燕尾服を着た見知らぬ男性がこちらを見ている。
「いらっしゃい、お嬢さん。お茶はいかがですか?」
そう言って、男は微笑みを浮かべた。


●PCハンドアウト

(推奨性別:女)
あなたはいつも通り自分の部屋で眠りについたはずだ。しかし、気づけば矢絣の着物に女袴を着せられ、知らない部屋の中で目が覚めた。
あなたの【使命】は無事家に帰ることだ。

※日本人PCを想定したシナリオです。また、女性PC推奨ですが別に男性でも構いません。ただその場合確実に女装になることをPLにお伝えしてください。


●シナリオについて

本シナリオは乙女ゲーム「明治東亰恋伽」にインスパイアされて書いた作品になります。ストーリーはほぼ別物ですが、ゲームのかなり根幹の設定から着想を得ていました。ネタバレを気にする方はお気をつけください。
なお、このシナリオに恋愛要素は含まれませんが、GMが規約の通りに改変するのはかまいません。





本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社新紀元社」が権利を有する『マルチジャンル・ホラーRPG インセイン』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/新紀元社

本作を遊ぶのにインセインの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。

この先はGMする方のみ読み進めてください。




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◆背景

PCの家には、曾祖母から祖母、母へと受け継がれてきたお守りがある。それはきれいな音色の鈴だ。長き月日に渡って、大切にされてきた鈴守りに魂が宿り、「付喪神」としての意識が芽生えた。この鈴守りは、PCが子供のころに母から渡されて、PCのものとなった。

鈴守りがどういったものなのかは、PCも小さいころに教えてもらったことがあったが、やがてその記憶は薄れていき、箪笥の奥にしまわれた鈴守りの存在をPCは忘れてしまった。

成長していくにつれ、いくつもの困難に立ち向かわなければならなくなったPCを見て、付喪神は思った。大切にしてくれた人たちが「守りたい」と願う、この子の近くにいたい。傷つけられることなく、幸せでいることを見守っていきたい。彼はいつの間にか手に入れた力を発動し、自分が知っている「一番楽しくて幸せだった時間」の通りに空間を作り上げ、PCを招待してしまった……。

※上記のようにPCの家族が背景に関わるため、GMはキャラクター作成について家族に過剰な設定を設けないように事前に注意しておくか、セッション開始の前にチェックしておいてください。

◆PCハンドアウト

●PC1

PC1
(推奨性別:女)
あなたはいつも通り自分の部屋で眠りについたはずだ。しかし、気づけば矢絣の着物に女袴を着せられ、知らない部屋の中で目が覚めた。
あなたの【使命】は無事家に帰ることだ。

【秘密】
今いる部屋に訪れたことがない、はずだが、どこか懐かしさを覚える。もしかすると、自分が覚えていないだけで、実は訪れたことがあるのか?それとも……?
あなたの本当の【使命】は、ここがどこなのかを究明することだ。

◆シーン表(1D6)

1:暖かい日差しが窓から差し込む。外は快晴のようだ。
2:香ばしい紅茶の匂いが漂ってくる。執事さんが準備してくれたものだ。
3:チリン、と鈴を鳴らしたような音が聞こえた気がする。どこかに風鈴でもあるのだろうか。
4:チクタクチクタク。古い時計が音をたてながら時を刻んでいく。
5:何かの影が一瞬、窓の外を横切ったような。……鳥、だよね?
6:執事さんではない誰かに、自分の名前が呼ばれた気がする、けど、部屋の中には二人しかいない。

◆狂気カード

5枚使用。ランダムで選出しても構わない。
例:依存、広がる恐怖、疎外感、盲目、パニック
※あくまで一例であって、ほかの狂気カードを使っても構いません。




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◆展開

●導入フェイズ

近頃、PCは慌ただしい生活を送っている(社会人なら仕事が忙しくて、学生なら学業やテストに追われているなど)。PCは忙しい一日を過ごし、夜に就寝の準備を終えて布団に潜った。心を落ち着かせ、目を閉じて、意識がゆっくりと闇に沈んでいくのを感じる。
――完全に眠りにつく直前、どこからともなく「チリン」と小さく鈴の音が聞こえた気がする。
しかし、それが何なのかを考えるよりも先に、睡魔に負けてPCの意識が完全に途切れた。

チクタクチクタク。古時計の音を聞いて、PCは目が覚める。壁際にある古時計を含めて、気品のある調度品が揃えられている一室が視界に入り、目の前にはお菓子がたくさん乗っている丸いテーブルがあった。どうやら自分はその前に座っているようだ、と認識したPCはふと身に着けている服の質感に違和感を覚える。見てみると、着ていたはずのパジャマ(または寝るときの服装)は、なぜか矢絣の着物に女袴になっていた。
これは夢なのだろうか?にしては、目の前の景色も、服の感触もやけにリアルに感じる。何より、PCは今さっき「目が覚めた」とはっきりと認識したのだ。
夢ではないのに、現実でもない。謎の場所に来てしまったことを、PCは不安に感じるだろう。《夢》で恐怖判定を行ってください。

判定の処理が終われば、PCは背後から近づく足音を聞き取れる。それと同時に、香ばしい匂いも一緒に漂ってくる。振り返ったり、何もせずに待っていたりすれば、足音の主がPCの横を通って姿を見せてくれる。
「いらっしゃい、お嬢さん。お茶はいかがですか?」
トレイに乗せているティーポットやカップをテーブルに置くと、燕尾服を着た男性は微笑みを浮かべてPCにそう話す。
「時間はたっぷりありますから、ゆっくりお寛ぎください。」
「これはあなたの為に用意したお茶会ですからね。何かありましたらいつでも私にお申し付けくださいませ」
紅茶を淹れるための砂時計をセットして、彼は空いてる席に座って、PCの動向を見守るだろう。

※「お菓子」「調度品」「執事」のハンドアウトを公開してください。



●メインフェイズ


○ゾーキングに関して
ゾーキングによって開示される重要な情報はないが、PCが部屋中を探索するなら、HO以外の物を適度に描写して、「現代ではない」雰囲気を醸し出すことができる。
これらはPCの曾祖母が実際見た景色なので、PCの【秘密】にあった通り、ところどころ「見覚えがあるような」と提示してもいい。例えば古時計やティーセットなどは、しっかり保存されていてまだ母親の実家に残っているため、PCが実際に見たことがあるという設定にしても構わない。
※ただし、部屋の「外」へと繋がる扉は絶対に見つからない。
例:
・窓:どうやっても開けられないし、壊せない。外をのぞけば、どうやら部屋は建物の2階にある。外には誰もいないようだ。あたりを見渡すと一軒家が立ち並び、高いビルが全く見えないし、結構遠いところまで見渡せる。建物のデザインも少し古く感じる。
・古時計:振り子がついている柱時計、かなりの大きさで、チクタクと音をたてながら時を刻んでいる。アンティーク調にデザインされていて、作りも精巧で年代物にも見えるが、よく見ると全体的に新品のような印象を受ける。
・ティーセット:イギリス風のデザインで、白磁の表面に薔薇の模様が描かれている。骨董品に見えて、やはり新品のようだ。執事(燕尾服の男)がそれを使って紅茶を淹れてくれる。
・紅茶:香ばしい匂いにまろやかな口当たりで、素人でもいい茶葉を使っているのがわかるだろう。

○執事
会話することが可能だが、自分の正体については(「鈴」の秘密が開示されるまで)隠しているためPCに話さない。
基本的にPCには友好な態度を取り、部屋内でできることならRPの範囲で手伝ってくれる(お茶を淹れ直したり、物を取ってくれたりなど)。
他の行動については秘密にも書かれているので、秘密が開示されたらその通りに動いて構わない。

○イベント「受け継がれる物」
ハンドアウト「鈴」の秘密が公開されたらこのイベントが発生する。鈴を手に取ると、PCの脳内に誰かの記憶が流れ込む。
最初はおぼろげな映像のようなもの。おばあさんから少女へ、鈴を渡している様子だ。少女のほうには見覚えがある。昔母から見せてもらった、祖母の若いころの写真にそっくりだ。そして彼女が着ている服は、PCが現在着ている服と同じように見える。
場面が切り替わり、今度はPCの祖母と母が会話している場面が映るが、PCには二人とも現在よりだいぶ若く見える。祖母の声ははっきりと聞こえないが、何か話しながら同じ鈴を母に渡すのが見える。PCは、母が「おばあちゃんから?……うん、大事にするね!」と返事するのが聞こえて、二人が笑いあうのを眺めることになるだろう。
場面がもう一度切り替わる。今度は子供のころのPC自身と母が会話をしていたところだ。声もはっきり聞こえる。母が、「この鈴守りはね、あなたのひいばあちゃんが家族に買ってもらったもので、それからおばあちゃんに、そして私に渡された物なの。ずっと私たちを守ってきたお守りだからね。今日からはあなたの物になるのよ、大事にしてあげてね」と言って、鈴をPCに渡したのだ。
そこで記憶が途切れて、PCは忘れていた過去を思い出す。確か小さいころ母から鈴守りをもらい、そのままどこかにしまったまま忘れていた。今手にした鈴はそのときの鈴守りであり、この空間の中で唯一「現実」にも存在する物だとわかる。



●クライマックスフェイズ

リミットの4サイクル目が終了した後、クライマックスフェイズに移行し、執事との戦闘処理に入る。プロットはアビリティを考慮して基本6にするといい。
執事は、「このままここにいてくだされば、あなたはずっと楽しく過ごしていけるでしょう」などと言って、PCを引き留めようとする。
PCが空間から出たい意思を見せると、「どうしても、ここに残っていただけないのですか…?」と執事は悲しそうつぶやいてから、PCを阻止しようとし、戦闘処理に入る。

○執事の行動
執事のアビリティはPCにダメージを与えることはない。ただしプラスの感情が結ばれていない場合、PCがロールに成功するときに所持するお守りを使用して妨害してくる。逆に、プラスの感情が結ばれている場合、メインフェイズ同様PCの要請でお守りを使ってくれる。

○終了条件
1)4ラウンド以内に執事の生命力が0になった
2)プライズ「鈴守り」に書かれた儀式判定を成功した
3)執事を倒せずに4ラウンド目が終了した、またはPCが自発的脱落



●エンディング


○4ラウンド以内に執事の生命力が0になった
「もう、私のことは不要なのですね……」と執事の姿がどんどん透明になっていく。周りの景色も同様に少しずつ消えていく。持ち主がいなくなることで、空間を維持することができなくなったのだ。
執事は最後に、「これからも、どうか健やかな人生を……歩んでください……」と言い残して完全に消滅する。そのとき、パリンッ、の音とともに何かが砕け散ったとPCは感じるだろう(PCがハンドアウト「調度品」の調査に成功していたら砕けたのは鈴だとわかる)。
気づけば、PCは自室のベッドの上で目が覚めた。服装も寝る時の物だ。今までのは夢なのだろうか、と思うかもしれない。しかし不思議なことに、何かを失ったような感覚を覚える。それを抱えて、PCは日常へと戻っていく。
【END:古き思い出との別れ】
※鈴守りは現実でも壊れているため、付喪神(執事)はもう存在しない。もし鈴守りを探すのなら、時間をかけて仕舞った場所を思い出せるが、壊れた鈴守りを見つけることになる。


○プライズ「鈴守り」に書かれた儀式判定を成功した
「あなたは……やはり帰ってしまわれるのですね……」PCの思いを知り、執事は少し寂しそうな微笑みを浮かべると、体が少しずつ透明になっていき、回りの景色も同様に消えていく。その代わりに、見えない力がPCの持つ鈴守りに宿ったのを感じる。
「あなたの幸せを私は望みます……もしよければ、戻っていったあとでも私をあなたのおそばにおいてください。」
「これからは静かに見守っていきますから。……あなたの未来に幸あらんことを」
世界が完全に消えさったとき、「チリン」と鈴の音を最後にPCもまた意識を失う。
気づけば、PCは自室のベッドの上で目が覚めた。服装も寝る時の物だ。今までのは夢なのだろうか、と思うそのとき、手の中に何かが握られていることに気づく。持ち上げてみれば、見慣れた鈴守りが「チリン」と鳴ったのが聞こえた。
【END:寄り添う思い出の音色】
※現実に戻ったPCが鈴守りをどう扱うのは自由なので、気味悪がられても付喪神はどうこうするつもりはないが、また放置されたりしたら時折寂しげな鈴の音が聞こえる、というエピローグを追加することもできる。


○執事を倒せずに4ラウンド目が終了した、またはPCが自発的脱落
※自発的脱落の場合、執事から妨害されることはない。
「もう、やめませんか?お嬢さんには楽しく毎日を過ごしてほしいだけですから……どうぞこちらへいらして、お茶をして休みましょう」と執事はPCに訴える。
PCはふと、その言葉を受け入れようと思った。ここに残れば、現実の悩みも苦しみもすべて忘れられる。幸せな毎日を過ごせるはずだ。
ずっと、ここにいよう。
いつの間にかそうとしか考えられないPCは、執事の言葉に応じるようにテーブルに向かい、座り直した。それを見た執事は嬉しそうにまたお茶を淹れてくれるのだろう。
【END:終わりなき宴をあなたに】
※キャラロスト




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◆ハンドアウト

●お菓子

ビスケット、ショートケーキ、ワッフル、チョコレイト……様々なお菓子がテーブルの上で並べられている。
【秘密】
ショック:なし
どれも甘くておいしい、安心して食べられる物だ。執事が淹れてくれた紅茶に合わせるとおいしさ倍増だろう。食べると身も心も回復できそうだ。
《味》の判定に成功すれば、「鎮痛剤」を一つ獲得できる。

●調度品

部屋内にある棚や置物などは、テーブルや椅子同様西洋のアンティーク風で揃えられているようだ。上品で高価そうに見える。
【秘密】
ショック:なし
とある小物入れの中から、一つの鈴を見つける。手に持ってみれば「チリン」と涼やかな音が鳴る。その音を、どこかで聞いたような気がする。
ハンドアウト「鈴」を公開する。

●執事

黒い燕尾服を身にまとい、優しそうな微笑みを浮かべている若い男性。初対面のはずだが、どこかで会ったような気もする。
【秘密】
ショック:PC1
彼は人間ではない。妖怪の類に近い。あなたが今いる空間を作ったのが彼だ。自ら目的を明かさないが、彼から悪意は感じられない。
《霊魂》で恐怖判定を行う。
また、PCが執事の正体を知っていなければ、「理解を深めるために」手番を消費せずに1回のみ彼と感情判定を行える。
○クライマックスフェイズで執事を4ラウンド以内に倒せば、この空間から脱出し元居た場所に戻れる。
○執事はお守りを二つ所持している。執事とプラスの感情を結んだ場合のみ、PCが頼めば彼は所持しているアイテムを使ってくれる(PCが所持するお守りやほかのアイテムを彼に渡すことも可能)。
※GM情報:「執事の正体」は、「鈴」の秘密が公開されたら、PCに知られたとする。

●鈴

鳴らせば「チリン」と透き通るような音が響く。部屋と対照的に、かなり年季の入った物に見える。
【秘密】
ショック:PC1
この鈴は曾祖母の代から家族を守ってきた鈴守りで、PC1が母から受け継いだ物だが、PC1は鈴を家のどこかに仕舞うとそのまま忘れてしまった。
長い年月が過ぎ、鈴守りには付喪神が宿った。付喪神は成長していくにつれ様々な困難を直面するPC1を守るために力を振るった。今いる空間も、PC1が傷つけられず楽しく過ごせるために、鈴守りが執事の姿に変化してから、自身の知っている一番幸せな時代を模して作り出された物だ。
○この秘密を開けたPCはプライズ「鈴守り」を獲得する。
○「執事」の秘密が公開されていない場合、それを公開し、秘密に書かれた処理を行う。
※GM情報:この秘密が公開されるとき発生するイベント「受け継がれる物」が「展開」に書かれている。演出上、その描写を行ってから秘密を開示するとより分かりやすくなると思われる。

●プライズ「鈴守り」

執事(付喪神)の正体であり、力の源である。この鈴守りを手にすることで、PCの想いを直接鈴守りの付喪神に伝えることができる。
クライマックスフェイズにて、PCが4ラウンド以内に以下の判定を成功できれば、空間から脱出することができる。
○儀式名:伝わる想い
 参加条件(すべての手順):プライズ「鈴守り」を所持する
 手順1 幻からの脱却 指定特技:《情景》
     ペナルティ:執事とプラスの感情を結んでいない場合、次の手順に-2の補正がつく
     PCが今いる環境は作り出された幻に過ぎないことをちゃんと認識する。
 手順2 真実の気持ち 指定特技:好きな修得した特技
     ペナルティ:なし
     自身の帰りたい気持ちを鈴守りの付喪神に訴えて、理解してもらう。
○このプライズに秘密はない。




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◆NPCデータ

執事(鈴守りの付喪神)

脅威度:3 属性:怪異/器物 生命力:10
好奇心:情動 特技:《憂い》、《愛》、《物音》、《歴史》
アビリティ:【基本攻撃】 攻撃 《物音》
      【守護】 攻撃 《憂い》 コストとして生命力を1点消費し、判定成功でそのラウンドの間に受けたダメージを2D2点軽減する。
      【かばう】 サポート 《愛》

※戦闘プロットは基本6になる。
※【基本攻撃】のアビリティを所持しているが、PCは「守るべき対象」であるため基本的に使わない。【守護】を使いつつ4ラウンドを凌ごうとする。
※【かばう】は使い道がないと思うが、彼は「家族を守るためのお守り」なのでフレーバーとして持たせている。
※「器物」属性のエネミーに対するダメージの制限は、ハンドアウト「執事」か「鈴」のどちらかの秘密が一つでも開示されたら解除される。




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◆裏話(ネタバレ)

※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。

以前「#ふぁぼした人をイメージしてシナリオタイトルを作る」というツイッタータグで、フォロワーさんをイメージしてタイトルとトレーラーの文章だけ書いたものがいくつかありました。その中の一つは「楽園のティーパーティー」というタイトルで、後にちゃんとした内容を詰めて書き上げたものがこちらのシナリオになりました。タイトルもトレーラーも当初と全然違うものになりましたが…。シナリオを書く際は、そのフォロワーさんと一緒に明治村に遊びに行ったのが楽しくて、思い出も詰め込んで書きました。
せっかくなので当時のトレーラーも載せておきます。

×

さあさあお嬢さん、お席をどうぞ。今すぐお菓子をお持ちしましょう!
ビスケット、アイスクリン、チョコレイト、どれがお気に入りでしょうか?
遠慮せずに、たんと召し上がれ!

クトゥルフ神話TRPG
「楽園のティーパーティー」

ところでお嬢さん、帰り道はちゃんと覚えているのでしょうね?

×

見ての通り当初はCoCを書くつもりでしたけど、内容を詰める段階で「クトゥルフ要素を詰める余地がないのでは?」となったのと、シンプルで書きやすいからインセインに変更しました。NPCの「執事」の役割が最初にトレーラーを書くときとは大きく変わったことが、システム変更の一番の要因とも言えるでしょう。もともとはPCが迷い込んだ世界の案内役でしたが、最初のトレーラーを書くときに彼の口調を某ゲームキャラに寄せた(つもり)せいで、後々シナリオを書くとき根幹の部分までそちらに寄ってしまいました。このゲームとは注意書きにも記載した「明治東亰恋伽」ですので、以下はゲームの(一番重要な)ネタバレが含まれます。これから遊ぶ方がいればご注意ください。







シナリオ内の描写などは完全にゲームの影響を受けて、「その時代っぽく」書きました。本当はもっと明治時代の雰囲気を出そうと思いましたが、日本史を習ったことのない私が知る明治はほとんどゲームから得た知識であり、またPCの曾祖母が生きていた時代を限定する必要もないと思って、最小限に留まった(つもり)でした。逆に、PCの服装が女学生っぽくなってしまったのは雰囲気を出そうとした名残です。

シナリオの背景自体はチャーリーさんのルートに大きく影響を受けている、とプレイした人なら一目でわかると思います。ただゲームと違って、主人を守りたい想いが行き過ぎたものになってしまったのがこのシナリオの展開です。
人を想う付喪神っていいですよね。もし気になった方がいればチャーリーさんのルートを遊んでみてください、と言いたいところですが、隠しルートなのでたどり着くまで時間がかかります……。でもよければぜひ…!