刀剣乱舞×クトゥルフ神話TRPG
Pixiv版(内容はこのページと同じ)
初期刀として、主のためにできることは――……
時間:オンラインテキストセッションで9~12時間
難易度:普通・ロストの可能性あり
推奨人数:3~4人
推奨技能:探索御三家、戦闘技能
準推奨技能:〈応急手当〉または〈医学〉
※回避できない戦闘あり
※刀剣乱舞の世界観に関する独自の解釈が含まれます
※PCたちの主である審神者を含め、人間のNPCが登場します。
とある秋の日。非番であるあなた達は審神者に頼まれて、万屋の町に買い出しに出かける。急ぐ必要がないと言われ、各々買い物を楽しんでから合流したところ、思わぬ出会いによって刀剣男士たちはある事件に巻き込まれることになる――。
このシナリオは以下のハウスルールを前提として作られています。違うルールを用いる場合適宜シナリオを改変することをおすすめします。
・刀剣男士自身の耐久(HP)は〈応急手当〉や〈医学〉で回復可能
・刀剣男士の本体の耐久は審神者の手入れのみで回復可能
・自分の主である審神者の手入れを受けると、PC自身のHPも本体の耐久も全回復する
→その際手伝い札を使用すれば時間経過はなしとする
本作は、「Chaosium Inc.」「株式会社アークライト」「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
©Chaosium Inc./アークライト/KADOKAWA
また、本作は「ニトロプラス」が権利を有する『刀剣乱舞-ONLINE-』の二次創作にもあたります。
本作を遊ぶのにクトゥルフ神話TRPGの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。
この先はKPする方のみ読み進めてください。
――― × ――― × ――― × ―――
ある日、とある審神者の本丸にて、二人の刀剣男士が人の身を保てなくなり、顕現が解かれた。
それには何の前触れもなかった。慌てた審神者は、すぐさま政府に連絡し原因の究明に奔走した。
原因を突き止めるのには時間がかからなかった。本丸自体に異常などない。ただ、検査により、審神者の霊力が低下し続けている、とのこと。
彼は現実を受け入れられなかった。これまで共にいた仲間たちが消えていくのを、許せなかった。
その間にも、刀剣男士は一振り、また一振りと刀の姿に戻し、政府からも審神者を辞めるように勧められた。
彼は、あきらめることができなかった。
必死に調べて、刀剣たちと引き離されないためにも、あらゆる可能性を試そうとした。
その途中で、彼はある結論に達した。
――付喪神よりも格上の神様を降ろすことができれば、霊力の低下も防げるし、まだちゃんとした力があると証明できる!
彼は更に調査を進めた。そして、「ハスター」という、聞き覚えのない名前にたどり着いた。
その神を降ろす儀式を行うために、従者である「ビヤーキー」の召喚を試みて、成功した。
仲間のためなら、なんだってする。そう思った審神者はすでに正気を保てなくなっていた。
例えそのころ、もうほとんどの刀剣の顕現が解かれたとしても、なりふり構わず彼は計画の遂行だけを考えた。
そして、その最終段階がついに始まろうとした。
神を降ろすのであれば、刀剣男士に本体があるように、神様にも依り代が必要なはず。
そう思い至った審神者は召喚したビヤーキーに、依り代となる者を連れてくるように助力を求めた……
※誘拐を決行しようとした時点で、黒幕のSANは0になっている
※攫われてきた者(香鈴)は実際に召喚を行うとき、依り代ではなくMPの提供者にされてしまう
次のページ以降、「※」から始まる情報はKP情報です。
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とある秋の日の午後。非番であるPCたちは本丸にある共有スペースでのんびりをしていると、主から買い出しを頼まれる(書類に使う文房具など)。PCたちに「頼めるか?急ぐ必要もないから、ついでに個人的な買い物などを楽しんできても構わないよ」と話す。
※ハスター召喚の条件が10月~3月ぐらいの間のため、その間であれば時期を調整してもいい。
準備を整えて、PCたちは出発する。出かける前に、審神者は連絡用の機械(ワイヤレスイヤホンにボタン一つと内蔵マイクがついてるような簡単なもの)をPCの一人に預ける(隊長を決めているのなら隊長に)。PCたちは、機械のボタンをクリックすれば、すぐに主に連絡できると説明される。「なにかあれば連絡してね」と審神者は手を振ってみんなを見送るだろう。
本丸にある転送ゲートを通れば、すぐに万屋の町に到着する。帰りもこのゲートを使えばすぐに戻れる。
休みは本丸や審神者によって違うため、万屋の町はいつも賑やかだ。様々な店を集まって町になったことで「万屋」の名前がついたため、一日で全部の店を回るのは無理なほど広い。飲食店、道具屋、増築工房、本屋、雑貨屋……考えられる店ならなんでもありそうで、よほど貴重な物でなければ大体揃えられる。
※万屋やゲートの説明を必ずするように。
PCたちは主に頼まれた買い出しを済まし、それぞれ自由に買い物することができる。ここで買ったものは持ち物に加えてもいい。よほど変なものでなければ大体買えるが、KPの判断で〈幸運〉を振らせてもいい。
買い物を済ませて、いざ帰ろうとするとき、全員に〈聞き耳〉を振らせる。
成功で血の匂いをかすかに嗅ぎ取れる。探せば地面の目立たないところに小さな血痕があって、どこかへと続いている。
全員失敗した場合、出目の一番高い人が少し進んだところ(事件現場に近づいたところ)でなにかを踏んづけて転んでしまう、HP-1。踏んづけたものを確認すると、それは小さいながらも血だまりであることがわかる。
血の痕跡を追いかけていけば、路地裏にたどり着く。そこで深い傷を負い、血だらけで倒れている刀剣男士を発見する。戦場でもないのに「仲間」の惨い姿に驚いてSANチェック、0/1D2。
※誘拐された審神者の近侍。PCキャラと被らない、初期刀から選ぶのがいいかもしれない。本シナリオでは「山姥切国広」とし、以下「山姥切」に関する記述はこの刀剣NPCを指し示すものとする。
近づいても「主を、助け…」とだけつぶやいて、気絶する。一目見て重傷状態なのがわかる。手入れしなければ意識は取り戻せないとPCたちはわかっていい。
行動に迷うのなら、〈アイデア〉成功で、本丸に戻れば手入れできると提示する。
○〈医学〉:腹部に傷を負っていて、かぎ爪のような傷跡だと気づく。
※ビヤーキーのかぎ爪による傷跡だ。
山姥切、もしくはこの場所に〈目星〉:電子端末のようなものが近くに落ちている。
端末について尋ねられるのなら、一般的なもので、審神者や刀剣男士が所持してもおかしくないものだと答えてもいい。
○全員失敗して電子端末を拾い損ねた場合、帰ろうとするときに〈目星〉の出目が一番高いPCが端末を蹴飛ばしてしまい、それで気づくことにしてもよい。
状況を説明すれば審神者は手入れを引き受けてくれる。「すぐに準備するから帰ってきて」とPCたちは言われるだろう。また、政府にも連絡を入れると言う。
機械の扱いに慣れているPCでも、自分のものではないため時間がかかると説明する。それでも調べようとするなら、重傷である山姥切の状態が悪くなることを提示し、先に手入れをするように促す。
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本丸に戻れば、審神者がすでにゲートの前に待機している。PCたちを迎えるとすぐに手入れ部屋へと案内する(PCたちが事件について報告するのであれば道中である程度聞いてくれる)。
山姥切を部屋に敷いてある布団に寝かせて、道具などを取り出すとすぐにでも手入れを開始するが、「少し時間がかかるので、その間に情報の整理と事件の調査を任せてもいい?」とPCたちに聞く。端末のことを報告したのならその調査も頼んでくるだろう(「プライバシーも大事だが今は非常時だからね」と話す)。
PCたちを会議室にあたる部屋、もしくは大広間などへ案内しても良い。どうしても手入れ部屋に残したいのであれば審神者は許可するが、KPは残っていても手伝えることはないとはっきり伝える。
山姥切が手入れされている間、端末の調査や、情報整理などができる。
KPはPCたちが端末を使ったことがあるかどうか確認する。ロールの必要がなく、使ったことがあると宣言すれば基本的な使い方をわかっていてもいい。
端末は薄い箱の形で、一面だけ黒くなっている画面がついてある(一般的なスマホやタブレットのようなものだとPLに説明してもいい)。画面をタップすると、いくつか絵柄の違う四角いボタンのようなものが表示される。
○〈知識〉、もしくは端末を使ったことのあるPCなら自動成功:それぞれの四角いボタンをタップすれば、対応するアプリが起動する。
○アプリについて知った上、〈目星〉または〈図書館〉:気になるアプリが3つ目に入る。それぞれ「写真」「審神者に連絡」「位置検索」である。
アプリを起動すると、審神者らしい人物と、彼女の刀剣男士たちが映っている写真をいくつか閲覧できる。審神者は女の子で、見た目は10歳前後のように思える。
写真を順番に見ていくと、最後に一枚少々ブレている写真がある。映っているのは昆虫のような体を持ち、人間のように見えるが鋭いかぎ爪のついてる手足と、蝙蝠のような翼で飛んでいる怪物だ。不気味な写真を見たPCたちはSANチェック、1/1D6。
※ビヤーキーによるSANチェック。〈クトゥルフ神話〉に成功できたらビヤーキーの情報を(クリティカルならビヤーキーとハスターの関係についても)出してもいい
○〈コンピュータ〉または〈知識の半分〉:撮影時間はその日の午後、PCたちが山姥切を発見した時間より少しだけ前だとわかる
○怪物のことはネット検索、もしくはそれに似ている探し方をしても情報が出ない。
起動すると「プルルル…」のような音(電話呼び出し音みたいな)が聞こえるが、何分待ってもその状態のままで、審神者につながったような気配がしない。
※誘拐された審神者が気絶しているため
○〈知識〉:刀剣男士用の端末には入っているアプリ、使えば主の端末に連絡を入れることができる。番号入力式の連絡アプリではなく、審神者にのみ繋がる。
起動すると、画面をいくつか大きさの同じ正方形に分割するように、無数の線が引かれ(座標を現すグリッドのような物)、黒い背景に二つの点が点滅しているように浮かび上がる。
点はそれぞれ緑と赤色をしていて、緑のは画面の中央にあり、赤いのは画面の左上のほうにある。
○〈アイデア〉:中央の緑の点は自分たち(この端末)の現在地を表していると思い至る
○〈知識の半分〉:赤い点はこの機械に登録された別の端末の位置を表していると気づく
○赤い点をタップすれば、二つの数値が表示される。それが赤い点の座標だ。ただし座標が分かったとしてもそこはどんな場所なのかはわからない。
※赤い点は山姥切の主の端末だが、ここで思いつかなくても山姥切から話が聞けるから、急かす必要がない。また、座標に気づいてなくても、PCたちの主がこのアプリのことに気づいたら自主的に調べてくれることにしていい。
一通り情報収集が終わったら(またはPLが情報収集終了を宣言したら)、PCたちの主が戻ってくる。
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山姥切の手入れが完了したことを、審神者がPCたちに知らせる。本体の修復は無事完了したが、身体のほうは疲労の蓄積もあるため、完全に回復するまでには時間がかかるだろうと、主が話す。すぐに目が覚めるだろうから、もし話を聞きたいなら主も同行して行くことになる。
※山姥切の本体の耐久は全回復するが、HPは最大値の半分(切り上げ)までしか回復できない
しかし、PCたちが主と一緒に廊下を歩いて向かおうとすると、バーンと大きな音とともに手入れ部屋の障子戸が乱暴に開けられ、中から山姥切が飛び出してくる。彼が今すぐにでも本丸から出ていこうとするところをPCたちは目撃する。
制止しようとしても、彼は「主を助けに行く」と話を聞かず、拘束しようとするPCがいれば全力で振り解くだろう。彼を止めるにはRPをするか(彼の主の居場所を知らないことを指摘する等)、もしくは〈言いくるめ〉か〈説得〉を成功させる必要がある。
どちらかの方法で彼を落ち着かせたら、事件の経緯を聞くことができる。山姥切は「主の救出に協力してくれるなら」、という条件で質問に答えてくれる。
山姥切から得られる情報は以下のものになる。ただし、審神者の名前、見た目や就任時期以外の個人情報、および彼の本丸については事件とあまり関係がないため、聞かれるまで自主的に話すことはない。
・本日は本丸全体が休みで、息抜きもかねて山姥切は主と一緒に万屋へ買い出しに行く
・道中他の審神者がおいしい甘味屋について話しているのを聞いて、主も行きたがる
・近道を通って行こうと思って、山姥切が倒れていたあの路地裏に入った
・見たことのない怪物に不意打ちをくらって、山姥切は重傷、彼の主は怪物にさらわれた
・意識を失う前にPCたちが現れたのはなんとなく覚えている
・審神者名は「香鈴(かりん)」
・10歳の女の子
・就任4か月ぐらい
・家族や親戚はいないらしい
・まだ新人なので審神者の友人もそれほど多くない(演練で知り合った3人ぐらい)
・恨みを買った覚えはない(山姥切がほとんど近侍を務めているため、自信をもって断言する)
・自分は近侍にして初期刀、近侍はあまり交代しない
・刀剣男士は20振り未満で、全体的に練度がまだそこまで高くない
・香鈴に家族がいないためか、刀剣男士には家族のように接している。関係は良好
・本丸の出入りには審神者の許可がいるため、戻れば救出に向かうことができなくなると恐れて、今は戻らない(同じ理由で仲間に助けも求められない)
・PCたちが拾った端末は山姥切のもの
・香鈴や彼女の本丸にいる刀剣男士数人も自分の端末を持っている
・まだ子供である香鈴を守るために、いつでも連絡できるようにみんなで相談して買った
・写真の怪物:路地裏で襲われたときに力を振り絞って撮影したもの。香鈴はこの怪物にさらわれたが、山姥切は傷のせいで追いかけることがかなわなかった。怪物は最初から香鈴のみを狙っていたように見える
・位置検索:登録した端末の現在地がわかる。緑の点は自分の端末、赤い点は香鈴の端末。赤い点をタップすれば座標が分かる。迷子防止のためのもので、本丸にいるほかの男士の端末にもこのアプリがある
位置検索の情報を知っていれば、PCたちの主が一旦その場所について調べてくれる。15~30分ほど時間がかかるものとして、その間に今後の行動についてPCたちに相談させたりすることができる。山姥切に聞くなら、彼は香鈴の位置がわかり次第、一人だけでも出撃するつもりだ。
・政府に連絡してもいいが(実はPCたちの主がすでに連絡した)、30分以内で増援は来ないだろうと主に言われる
・持ち物を確認し直すことができる。本丸になさそうな物を所持したいなら〈幸運〉などを振ってもらう
・山姥切に一回だけ〈応急手当〉もしくは〈医学〉が振れる(クリティカルを出されても回復量は1D3のみ)
・他に提案があれば、KPが状況を見て許可しても構わない
【刀剣男士:山姥切国広】
※刀剣男士の各能力値の上下限が通常探索者と同じになるように作成したデータである。他のPC作成ルールを採用する場合、KPが適宜に変更して構わない。
※手入れした時点のステータス。HPが半減している。
※ビヤーキーと遭遇して、SANが1減っている。彼はビヤーキーと遭遇しても再びSANチェックする必要がないが、他の情報を共有する際彼にもPCと同様にSANチェックが発生する。
※山姥切国広を想定して決めたステータスなので、他の男士に置き換える場合、キャラを作り直してもいい。ただし、DEXとSTRは低すぎないように注意すること。
STR:14 DEX:15 POW:14
CON:11 APP:14 EDU:16
SIZ:14 INT:12 SAN:69
HP:7/13 MP:14 DB:1D4
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【技能】
アイデア(60%) 幸運(70%) 知識(80%)
回避(75%) 組み付き(50%) 投擲(50%)
日本刀(80%) 隠す(60%) 聞き耳(50%)
精神分析(61%) 図書館(40%) 目星(50%)
乗馬(40%) 言いくるめ(30%) 医学(50%)
歴史(60%)
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ステータスは機動高め、生存低め、知識があるけど若干脳筋、綺麗だけどわざと服汚してしまうようなイメージで。
技能は、戦闘用と、幼い主のお世話していくうちに習得していったという構成。
準備ができれば、審神者が戻ってくる。香鈴の位置はどこかの本丸の内部らしくて、中へ直接転送することはできないが、本丸の近くまで転送することならできるだろう。更なる詳細はまた問い合わせしなければわからないが、時間がかかりそうだ。相手が審神者なら、直接伺ってみたほうがいいかも、と話す。
化け物のこともあって、審神者はPCたちを心配するが、人命救助を優先すべきだと納得して送り出してくれるだろう。その際、改めて連絡用の機械を持つPCに声を掛けて、「何かあればいつでも連絡していい、忘れずに機械を持っていって」と注意する。
※もしPCたちがあまり積極的ではない、もしくは主の意見を伺おうとするのなら、逆に審神者から「子供に手を出すなんて……助けに行こうか」と提案すればPCも動きやすくなるだろう。
この時点まで、どのタイミングでも、PCたちが事件から手を引くと決めたら、山姥切は一人で香鈴を探しにいって、PCたちの前から姿を消す。 →【END E:届かなかった想い】へ
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主の許可を得て、本丸のゲートを操作すれば、PCたちは光に包まれて、指定された位置まで転送される。そこには広い敷地に建つ和風の建物があり、PCたちは正門前にいるようだ。自分の本丸と似ている雰囲気を感じられるため、言われた通りここも誰かの本丸だと思うだろう。周りの景色に見覚えがないため、どうやら訪れたことのない本丸のようだ。
あたりは少しずつ橙色に染まっていく。調べものなどに時間を使ったため、日が傾き始めたようだ。
ここからPCたちに自由に探索してもらうことになる。
山姥切は基本的にPCの指示に従うが、技能ロールは全員失敗したときのみ行う。
門は閉まっているが鍵はかかっておらず、開けるのも切り捨てるのも簡単にできる。
中に入れば、あたりの環境はPCたちの本丸と大差ないが、自分の本丸に比べれば随分と静かに感じてしまうだろう。
○〈目星〉:うっすらと埃がかぶっている。しばらくの間掃除されていないようだ
○〈聞き耳〉:物音がしない。人間の気配も、刀剣男士の気配までもが全く感じない
※〈聞き耳〉の結果は、黒幕がいる離れ以外はどこでも同じ
玄関から奥へ向かって以下の場所が配置されている:
・大広間
・庭
・近侍部屋
・審神者の執務室
・刀剣男士の私室
・離れ
※ほかにも鍛刀部屋、刀装部屋など本丸にありそうな部屋は一通りあるが、情報がないため省略する。KPは聞かれたら直接そう伝えることも可能(基本的に、長らく使われていないため埃かぶっているが、ほかにおかしな点はない。馬小屋に行くのなら馬が衰弱していると描写してもいい)
※もし大広間がスルーされたら、代わりに別の部屋でその情報を出しても構わない
数十人が問題なく寛げる広さで、刀剣男士たちを集めるときに使用する場所だと容易に想像できる。しかし今は誰もおらず、荒らされた様子もなければ、侵入された様子も戦闘の跡なども何ひとつない。物がちゃんと整理整頓されており、あるべき場所に収納されている。
○〈目星〉:物がなくなったり、盗まれた様子もない。埃をかぶっているが、値打ちのありそうな装飾品もそのまま置いてある
○〈アイデア〉:敵襲があったようには見えないし、貴重品も残っているため本丸が捨てられたということも考えにくい
他の部屋と行き来できる中間地点。草花はしばらく手入れされていないようで、枯れているものも多い。
○全員共通
※KPは【執務室】の【刀帳】情報と照らし合わせながら描写するとよい。
障子戸の側に名札がかけており、誰の部屋かすぐに確認できる。ざっと見た感じ、部屋分けは大体刀派を基準にしているように見える。全部で13部屋がある。
中に入るのなら、どの部屋も荒らされた形跡がなく、しばらく使われていない様子である。箪笥、文机などの家具が置いてあるが、中身は刀剣男士たちの私物だけで手がかりになるものはない。
○初期刀、三条、粟田口、左文字、大太刀兄弟、来派以外の私室
〈目星〉もしくは「刀掛台」を指定して調べる:その部屋に住んでいる刀剣男士の本体が刀掛台に置かれている。
本体を発見した上、〈アイデア〉または〈POW×5〉:付喪神がまだ宿っている状態だが、顕現するには霊力が足りないように感じる。深い眠りについているような状態だ。
※〈アイデア〉や〈POW×5〉のロールは、PCが一回でも成功すれば、それ以降ロールなしでも他の刀の状態がわかるものとしていい(時間短縮のため)。
○初期刀、三条、粟田口、左文字、大太刀兄弟、来派の私室
※このシナリオのデフォルトとして、黒幕本丸の初期刀及び近侍は歌仙兼定とする。KPが望むなら初期刀及び近侍を他の刀剣男士に変更してもいい。
〈目星〉もしくは「刀掛台」を指定して調べる:以下の男士は、名札はあるが本体が部屋から見つからない
→歌仙兼定(初期刀)、三日月宗近、石切丸、一期一振、江雪左文字、太郎太刀、次郎太刀、蛍丸
他の男士の本体は普通に刀掛台に置かれている。ほかの部屋同様〈アイデア〉または〈POW×5〉で付喪神がまだ宿っているが、顕現するには霊力が足りない状態だとわかる。それ以外に不審な点はない。
和室で、仕事部屋らしく機能重視の家具配置ではあるが、彫刻の施された木製の文机や、床の間には花瓶や掛け軸などもあり、部屋の主の趣味を伺える感じになっている。
※初期刀が歌仙ではない場合、KPが適宜に改変すること。
○文机
写真立て一つと、日本刀一振りを見つける。また、刀のすぐそばに、きれいな和紙の便箋を使って書かれた手紙が置いてある。
○写真立て
歌仙を含めた何振りかの打刀男士と、一人の男性が映っている写真が入っている。男性は20代半ばぐらいに見えて、髪は黒く短く、普通な相貌をしている。
※男性はここの審神者、つまり黒幕である。
○日本刀
歌仙兼定の本体。〈アイデア〉または〈POW×5〉で他の刀と同じ状態だとわかる。
○手紙
歌仙が書いた手紙。内容は以下の通り:
「主
僕の言葉を、このような形でしか君に届けられないことをどうか許してほしい。仲間が一振り、また一振りと人の姿を保てなくなって、最後に残ったこの僕もきっとすぐにそうなってしまうだろう。このような事態になる前に気づくべきだった。君の間違いを正すこともできない、不甲斐ない初期刀で、本当に申し訳ない。
もし、この手紙が君の目に留まることがあれば、今すぐその儀式を止めるんだ。これは人の子が扱うべき術ではないし、実行したところで君の消えていく霊力が戻るはずもない。僕たちの力を借りたとしても、結果は同じなはずだ。
もう一度主に会って、共に過ごすことを、僕たちの誰もが望んでいる。望んでいるからこそ、君に道を踏み外してほしくないんだ。側にいなくても、僕たちはずっと君の幸せを願っているよ。
この想いが、君に届けられることを祈って。
歌仙兼定」
きれいな筆跡は文章が進むにつれ、少し震えているように見える箇所がちらほら見える。彼の気持ちがひしひしと伝わってくるだろう。
手紙を読み終わると、後ろに小さめなメモ用紙があることを発見する。内容は【退散呪文のメモ】を参照。
※黒幕はほとんどの刀が顕現できなくなってから、ほぼ離れに引きこもって儀式の準備をしていた。そのため歌仙が気づくのに時間がかかり、資料を見つけたときにすでに黒幕が聞く耳を持たず、歌仙本人も行動が制限されるほど弱っているため、手紙をしたためて、黒幕がいつかこれに気づくことを願って深い眠りについた。
○退散呪文のメモ
表は「ハスターの招来/退散」の詳細が手書きで記されている。メモを読んだ、もしくは呪文を覚えたPCはクトゥルフ神話技能を1%獲得する。
裏を確認すればきれいな字(表と同じ筆跡)で「主がこれを?」と書かれている。
※黒幕が持っている資料を歌仙が発見し、もしや?と思って歌仙が書き残したもの
※ルルブP263の情報と合わせて出すこと(石の破壊など召喚を妨害する手段をPLに提示するためだが、他にも方法があるためKPはヒントを出しすぎないように)
手紙とメモ、両方の内容を知ったPCは、この本丸の審神者は消え行く霊力を取り戻すために、ハスターを召喚しようとしていることに気づく。黒幕の悍ましい行いに狂気を感じて、SANチェック、1/1D2+1。
○更に〈アイデア〉:香鈴はその儀式を行うためにさらわれているのでは?と思い至る。
○この〈アイデア〉の内容を山姥切が知った場合、彼のみ追加でSANチェック、0/1D2。
・「ハスター招来」
参加者の中から呪文の使い手を一人選び、1D10のSANを消費する。
呪文を知っている者は任意のMPを提供できる。知らない者はMPを1提供する。
提供したMPの合計が呪文の成功率となる。
また、MP1ポイントにつき1分間呪文の詠唱が必要(100分以上にはならない)。
・「ハスター退散」
MPを7点消費して呪文を唱えれば、ハスターを退散させられる。
その場合成功率は5%。更にコストを増やす場合、追加MP1点につき成功率が5%上昇する。
呪文を知っている全員でMPを出し合うことができる。
・「ハスターの招来/退散」詳細
※ルルブP263の内容をそのままPLに提示。
和室の中に余計な装飾があまりなく、執務に必要な家具だけ揃っている部屋だ。簡素な文机や、本棚がある。
○文机
使い込まれたもの。文房具や書類などが積まれている。引き出しがある。
〈目星〉または引き出しを調べる:文箱のようなものが4つある。中身はそれぞれ依頼札、手伝い札、松竹梅や富士の札、そして「解除」と書かれた札が入っている。
○本棚
日本刀に関する本や戦術に関する本などが置いてある。
〈図書館〉:タイトルが「本丸のセキュリティーについて」となっている一冊のマニュアルと、「刀帳」が見つかる。
※先に離れの障壁に気づいた場合、本棚を調べると宣言したら「本丸のセキュリティーについて」は自動成功で見つけても構わない。「刀帳」は判定必須。
○本丸のセキュリティーについて
本丸を敵襲から守るために施した措置が記されているマニュアル。玄関からの侵入などを防ぐ措置が細かく書かれてある。読み進めると「離れ」についての項目を見つけられる。
【離れ】
審神者が特定の呪文を唱えれば、その霊力を借りて離れ全体を覆う障壁を作り出すシステムが備えてあります。障壁の内側から出ていくことは自由にできますが、外から入り込むことは不可能です。審神者が解除の呪文を唱えるか、外から「解除の札」を障壁に貼る以外、障壁を解除する方法はありません。「解除の札」は、審神者と刀剣男士以外は使えません。
緊急事態が発生し、審神者と刀剣男士だけでは対処できない状況となっているときに、離れに避難することをおすすめします。
○刀帳
本丸に在籍している刀剣男士の名前、および審神者の名前が記されている。審神者の名前は「河原(かわら)」である。
以下、KPが描写しやすいために同じ部屋を使う男士を一項目にまとめている。PCたちが私室の探索をする際にまとめて提示しても良い。
※部屋の位置は特に決めてないが、初期刀の部屋が近侍部屋の近くであるなど、KPが好きに設定しても構わない。粟田口は大部屋。
※刀剣破壊も二振り目もいないため、刀剣の総数と部屋の名札の総数が一致する。
※2018年3月現在:時期など合わせやすくするために通常鍛刀できる刀剣のみから選んでいる。KPが新しく増やすのもいいが、河原が儀式用に借りる刀剣はレア度、御神刀かどうかなどが基準なので、それらがいる場合本体が見つからない刀剣を増やしても構わない。
【刀帳】
・三日月宗近、石切丸、今剣
・鳴狐、一期一振、鯰尾藤四郎、骨喰藤四郎、平野藤四郎、厚藤四郎、前田藤四郎、秋田藤四郎、乱藤四郎、五虎退、薬研藤四郎
・蛍丸、愛染国俊
・江雪左文字、宗三左文字、小夜左文字
・歌仙兼定、和泉守兼定
・山伏国広、山姥切国広、堀川国広
・加州清光、大和守安定
・燭台切光忠、大倶利伽羅
・太郎太刀、次郎太刀
・陸奥守吉行、蜂須賀虎徹
・へし切長谷部、同田貫正国
・蜻蛉切、御手杵
・にっかり青江、獅子王
本丸の主要な施設とは塀によって分け隔てられている。塀には一か所だけ出入口が設置されているが、そこにある木製の扉には鍵穴がないのになぜか開けられない。
○〈アイデア〉または〈POW×5〉:見えない何かが塀を沿ってその向こうにあるものを囲んでいるように感じる。
○執務室で見つけた「解除の札」を扉に(塀の他の部分でも大丈夫)貼ると、見えない力が消え去ったのを感じる。扉を開けようとすれば今度は普通にできるだろう。
※審神者や刀剣男士であれば札は使えるので、山姥切に任せることも可能
扉から入れば、離れにあたる建物が目に入る。その前には小さな庭があって、PCたちはそこにたどり着く。
――― × ――― × ――― × ―――
塀の向こうへ足を踏み入れると、夕陽に照らされた庭には9つの石がV字型に並べてあって、その向こうに離れにあたる建物が見える。石の魔法陣の前に一人の男が立っていて、彼の両側にビヤーキーが2体待機していることにも気づくだろう。ビヤーキーの写真を見ていないPCはここで1/1D6のSANチェックが発生する。
〈目星〉または近づく:魔法陣と男の間の地面に、気絶している女の子が横たわっている。写真を見たPCであればそれが攫われた審神者の香鈴だと気付いてもよい。また、魔法陣を囲んでいるように、その周りの地面に刀が7振り置かれているのが見える。
○刀に気づいたPCは、目の前の男がそれらを持ち出して、儀式をするのに刀剣男士の力を借りようとしているのに気づく(または初期刀の手紙の内容を思い出して理解する)。姿を保てない仲間がこのように扱われたことに驚愕し、SANチェック、1/1D4。
※私室からいなくなった7振り(三日月、石切丸、一期、江雪、太郎、次郎、蛍丸)である。私室を探索したPCなら近づかずとも7振りの正体に気づいて良い。
近づいたり、音を立てたりすれば、男はPCたちに気づいて彼は振り返る。近侍部屋で写真を見ていれば、彼がここの審神者である「河原(かわら)」だとわかる。
河原と会話をしようとしても、「俺の邪魔をするな!」みたいな言葉しか返さない。まともに会話が続かないだろう。
○〈精神分析〉などで彼の状況を確かめるのなら、儀式に執着していて、とても他のことを聞き入れられるようには見えないとわかる。
○河原のセリフ例:
「俺は…これをやり遂げるんだ…」
「うるさい!俺は、俺にはまだ力がある……神を降ろす力があるんだ!」
「これで証明してやる……俺はまだ審神者として相応しいんだ……みんなと、一緒にいられるんだ……!」
香鈴に近づこうとすれば、河原は「邪魔をするなら、たとえ刀剣男士だとしても容赦しない…!」と言う。その言葉に答えるように2体のビヤーキーが翼をはばたかせて、PCたちに向かって襲い掛かる。そのまま戦闘に突入する。
○PCたちが行動に迷って、あまりにももたもたしているのなら、香鈴に気づいた山姥切が「主を返してもらう!」と叫んで率先して突っ込んでいくといい。
――― × ――― × ――― × ―――
※PCの編成によって戦力の差が生じるため、KPが状況を見て適宜に改変してくれて構わない。
河原と香鈴が同じ場所にいるとみなし、PCたちの現在地との間にビヤーキー2体がいる配置となっている。
河原の元へ移動するには1ラウンドを消費するが、ビヤーキーがいる場合、ビヤーキーとのDEX対抗ロールに成功しなければ移動できない。この対抗ロールのみは移動と同じラウンドで行うことができる(ビヤーキーが2体いても、判定は1回で大丈夫)。
河原のいる場所からスタート地点に戻るときも、ビヤーキーがいる場合DEX対抗ロールが必要。
戦闘を離脱したい場合、残った味方の数(山姥切を含む)>ビヤーキーの数であれば自動成功。それ以外だとビヤーキーとDEX対抗する必要がある(こちらも判定は1回で大丈夫)。
ビヤーキーがすでに倒された場合、以上のDEX対抗ロールは不必要(自動成功)とする。
この戦闘の目的は以下の3点になる:
・香鈴の救出
・召喚儀式の阻止
・ビヤーキーの撃退
この3点を満たした時点、あるいは河原の召喚が成功してしまった時点で戦闘は終了する。
河原を拘束もしくは気絶させていない場合、彼と香鈴の場所まで行った上に、河原とDEX対抗する必要がある(ビヤーキーがいなくても)。成功で香鈴を保護することができる。
この状態で救出者が気絶や死亡しない限り、香鈴が攻撃を受けることはない。その代わりに、救出者のDEXに-2の補正が入る。ビヤーキーがいる状態で、香鈴を連れてスタート地点に戻る場合、補正入れたDEXでビヤーキーと対抗ロールすることになる。
10ラウンド以内に以下のどれか一つに成功すればハスター召喚を阻止できる:
・河原を拘束または気絶させる(呪文の詠唱が止まる)
・地面に並べたV字型の石を1個でも魔法陣の外へどかす(STR30との対抗に3回成功する、協力は可能)
・地面に並べたV字型の石を1個でも破壊する(累計50ダメージを与える)
※石を破壊する場合、PCは技能成功で直接ダメージを振って良い。難易度をあげるのなら、日本刀による攻撃が石に命中するたびに、本体に1D3ダメージを入れるといいかもしれない。
河原は召喚に集中するため、拘束や気絶させない限り彼は呪文の詠唱を続ける。神の依り代だと思われる香鈴を奪い返そうとすれば妨害してくるため、PCたちに【香鈴の救出】に書かれたDEX対抗ロールは発生するが、奪われたらあきらめて詠唱に集中するため、攻撃してくることはない(回避や拘束を解くための対抗などはする)。
もし魔法陣の石を破壊したら、河原は召喚の失敗に気づき呆然とその場に座り込む。石を魔法陣の外へどかした場合、彼は一人で石を元に戻そうとするが、力が足りず戦闘終了までは成功しないだろう。なのでやはりPCたちに攻撃はしない。
要は本人にアクションを起こさない限りは特にPCたちに行動を起こす(KPがダイス振る)ことはない。NPCも多いのでKPの処理を簡単化したいが、難易度を上げるなら適宜に改変しても構わない。
【NPCステータス:河原(黒幕)】
STR:9 DEX:10 POW:14
CON:8 APP:11 EDU:13
SIZ:12 INT:15 SAN:0
HP:10 MP:14 DB:0
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【技能】
アイデア(75%) 幸運(70%) 知識(65%)
回避(20%) 日本刀(30%) 応急手当(70%)
聞き耳(25%) 写真術(30%) 図書館(70%)
目星(45%) 乗馬(30%) 信用(60%)
値切り(25%) 医学(15%) オカルト(50%)
経理(30%) 考古学(51%) 歴史(75%)
クトゥルフ神話(20%)
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SANは既に0。刀剣男士たちと再会したいという願いに執着し、挙句の果てに召喚儀式に執着するようになった狂気が今でも継続中。
審神者業で培った知識が結構多い。日本刀なども、武器として扱う技能というよりは主に知識としての技能である。
オカルトにはもともと興味があったが、今回はそのせいで手を出してはいけない物までたどり着いた。
攻撃対象はランダムだが、DEX対抗に成功し河原の元へ向かったPCがいれば優先的に狙う。召喚を阻止できたとしても最後まで残り、HPが尽きるまでPCたちと戦う。
【ビヤーキー、星間の駿馬】
ステータスはルルブのP188を参照。ダイスを振りたくなければ平均値を使っても構わない。
※かぎ爪の場合、2本のかぎ爪で同時攻撃するため2回行動する
※噛みつきの場合、成功したラウンドからSTRを吸い取り、犠牲者が死ぬまで取り付く
「香鈴の元へ→河原から彼女を救出」の行動を最初から自主的にする(すべてDEX対抗ロールで条件はPCと同じ)。ただし、PCが代わりに香鈴を救出してくれるというのなら、行動はPCの指示に従う。
香鈴を救出した以降、山姥切はPCの指示に従う。特に希望がない場合は香鈴をかばいつつビヤーキーに攻撃する。
基本的に香鈴の近くにいようとする。
10ラウンド以内に戦闘終了し、儀式を阻止した場合、【END A:あなたに届いた声】へ。
ただし、河原を殺した場合は、【END B:消え行く想い】へ。
ビヤーキーとの戦闘でPCたちと山姥切が全滅した場合、【END D:静寂に帰す】へ。
10ラウンド目が終わった時点で儀式を止められなかった場合、時間は夜になり、ハスターが召喚される。
宙に浮いているその姿は、タコのような輪郭を持つが、巨大な体躯は普通のタコよりも10倍以上あり、ウロコに覆われている身体についている触肢の先端はかぎ爪になっており、まるでPCたちを狙っているように蠢いてる。ハスターを目にした全員はSANチェック、1D10/1D100。
続いてハスターとの戦闘に移行する。
ハスターは召喚されたラウンドでは行動しない。KPはSANチェック後、まだSANが残ってるPCは1回のみ行動ができると告げてください。PCたちは退散の呪文か、あるいは別の行動をとることができる。
○退散呪文を唱える場合、成功でハスターの姿は消えていき、ビヤーキーが残っていれば飛び去って行く。河原は呆然とその場に座り込むだろう。【END A:あなたに届いた声】へ。ただし、退散に成功しても河原を殺した場合、【END B:消え行く想い】へ。
○ハスターに攻撃した場合、次のターンにてハスターがランダムでPCを3名選んで反撃する。かぎ爪での攻撃を〈回避〉できない場合、そのPCはロストする。
攻撃するかどうかにかかわらず、退散させられなかった場合、ハスターは河原と香鈴をさらって、(残っていれば)ビヤーキーとともに姿を消してしまう。【END C:邪神を呼ぶ声】へ。
【ハスター、名状し難きもの】
ステータスはルルブのP224~225を参照。
――― × ――― × ――― × ―――
戦闘が終了すると、香鈴が目覚める。山姥切が生きている場合、香鈴を支えようとして、彼女に抱き着かれるだろう。逆に折れていた場合、香鈴は彼の本体を抱きしめて泣き出すだろう。
隊長を任されたPCに、主からの通信が入る。PCたちの現状を尋ねて、政府の職員が今から河原本丸へ向かうと話す。到着するまでには少し時間がかかるから、黒幕の身柄を確保しておいてください、と言われる。PCたちの状態を報告すればそれについても反応を返すだろう。
河原を気絶させた場合、声を掛けるなどで起こすことができる。召喚が失敗したと気づいた彼は、呆然と自分の刀剣(拾ってなければ魔法陣の近くにある三日月たち)を眺める。
○近侍部屋で見つけた「手紙」を見せるのであれば、彼は少しだけ正気に返って、「歌仙……また、会いたかった……」とつぶやきながら涙を流す。
その後、職員たちが到着し、河原を連行していく。PCたちや香鈴たちにはあとで事情聴取をするために、それぞれの本丸へ政府の人が赴くことになるが、ひとまずは自分の本丸に戻って、よく休んでくださいと言われる。
山姥切がいれば、本丸に戻る前に感謝の言葉や別れを告げてくれるだろう。香鈴も手を振って「またね」と言ってくれる。
後日、PCたちは主から、河原本丸はいずれ解体されることが決まったと聞かされる。河原本人は誘拐の罪で法によって相応の処罰が下されるのと同時に、病院に送られることになったらしいが、精神的に大打撃を受けたため回復の見込みは不明。
PCたちは誘拐事件の解決に尽力したので、政府から謝礼もいくつか届けられるだろう。この事件をきっかけに、PCたちの本丸と香鈴本丸が交流を持つようになる。香鈴からPCたちの主へと送られてきた、彼女の本丸の平和な写真を眺めながら、PCたちはそれぞれ日常へと戻っていく。
○報酬
シナリオクリア SAN 1D6
山姥切が生還 SAN 1D3
河原が生きている SAN 1D2
河原に歌仙の手紙を見せた SAN 1
ハスターを見た場合 クトゥルフ神話技能 5%
戦闘が終了すると、香鈴が目覚める。山姥切が生きている場合、香鈴を支えようとして、彼女に抱き着かれるだろう。逆に折れていた場合、香鈴は彼の本体を抱きしめて泣き出すだろう。
隊長を任されたPCに、主からの通信が入る。PCたちの現状を尋ねて、政府の職員が今から河原本丸へ向かうと話す。PCたちの状態を報告すればそれについても反応を返すだろう。
数分後、政府の職員数人が駆けつける。河原の死体を見て眉をひそめ、PCたちと香鈴たちにそれぞれの本丸へ戻るようにと促す。
山姥切がいれば、本丸に戻る前に感謝の言葉や別れを告げてくれるだろう。
後日、PCたちの主が厳重警告を受けたことを本丸の仲間から(主本人からでもいい)教えてもらう。河原(人間)を殺したことは本来罪にあたるが、当時の状況や人質を取られていることを鑑みて、減給及び、本丸に暫く監視をつけることで不問とする、と。暫くは少し不自由な生活になるかもしれないが、PCたちはやがて日常へと戻っていくのだろう。
○報酬
シナリオクリア SAN 1D6
山姥切が生還 SAN 1D3
ハスターを見た場合 クトゥルフ神話技能 5%
さらわれる香鈴を見て山姥切は追いかけていく。しかし、ハスターの攻撃に阻まれ、本体で受け止めようとした時、パキッ、と嫌な音が響く。そして、姿が消え、折れた刀のみが残される。まだSANが残ってるPCはSANチェック、1/1D6。
PCたちにできることはもう何もない。傷ついた仲間とともに本丸へ戻るか、あるいは迎えに来てもらうか。多大なる犠牲の元に、事件は終結する。
※【END E:届かなかった想い】での政府の報告も最後に出していい
○報酬:生存したPCにクトゥルフ神話技能5%
ビヤーキーの攻撃に、一振り、また一振りと、あなたたちは力が尽き、倒れこむ。
最後に聞こえたのは、声高らかに冒涜的な言葉を紡ぎ続ける、男の声。
男はこれからどうなるのか。そして、さらわれた少女の結末はどうなるのか。
もはや知るすべがなく、あなたたちの意識は闇に覆われて、消える。
○キャラクターロスト
山姥切を放っておくと、彼はPCたちから離れて、自力で香鈴の居場所を探し、救出しようとする。
その夜、PCたちは何事もなく平和に過ごせるが、翌日、政府から全本丸へ一通の報告が届く。内容は以下の通り:
「昨夜、とある本丸の敷地内から審神者二名が失踪したことが確認された。そのうち一名は当該本丸の主である。これに伴い、二名の本丸を封鎖し、政府の管轄下におくとする。
この二名の関係について現在調査が行われている。また、当該本丸にて何らかの儀式が行われた痕跡が発見されており、審神者の失踪との関係性も検討されている。
以下、政府から審神者の皆様へ:政府の許可なく、如何様な儀式であっても行うべきではない(緊急時の自己防衛のみ例外)。命に危険がなくとも、内容によっては処罰を下すものとする。どうかお忘れなきよう。」
確信はないが、PCたちは二度と山姥切と会えないだろうと、何となく感じた。
○報酬なし
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※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。
このシナリオに最初につけたタイトルは「届け、この声を」でしたが、1回目のテストプレイが終わったころに声→願いに変えました。当時書いたふせったーをそのまま引用します:
「Pixiv表紙のイメージ通り歌仙の手紙を河原に届けたいという意味もあるけど、山姥切の『主を救いたい』という意味合いも含まれたタイトル、のつもりでした。」
手紙の内容も歌仙さんの「声」ではありますが、もっとわかりやすく両方を表せる言葉にしようと思って変更しました。
このシナリオの背景自体は割と(二次創作では)ありきたりな話ですが、初めての刀剣CoCシナリオなので、まずはスタンダードなところから行こうと思いました。ちゃんとシナリオとして成立してよかったです。
召喚に関してはルルブに書いてある通りの配置ですが、間違っていないか未だに心配です。できる限りの確認はしたので許されるはず…!
実はぷらいべったーにNPCの香鈴審神者の本丸について、かなり長く細かく設定を書いて載せていました。審神者の詳細、原作にない設定などてんこ盛りなので、興味がある方のみよければどうぞ。
また、こちらの設定を読まなくて問題ないですし、KPが全く違う設定をつけても全然大丈夫です。あくまで作者が回す場合はこうなります!という参考資料にしていただければ幸いです。
刀剣CoC「届け、この願いを」設定まとめ:https://privatter.net/p/3486825