刀剣乱舞×マルチジャンル・ホラーRPG インセイン

ただいま期間限定鍛刀キャンペーン開催中!

Pixiv版(内容はこのページと同じ)


●シナリオ概要

ワールドセッティング:狂気乱れ舞う二二〇五
(紗梨様が製作したデータをお借りしています: http://2d6.xii.jp/2205/
プレイヤー人数:2人
リミット:3サイクル(6シーン)
狂気カード:8枚
タイプ:協力型
レギュレーション:基本ルルブのみ
※刀剣乱舞の世界観に関する独自の解釈が含まれます
※PCたちの主である審神者がNPCとして登場します


●トレーラー

今日は出陣も遠征もなく、非番の日だ。
一日の予定を決めかねているあなた達の目の前を、近侍が走り去っていくが、
すれ違いざまに、彼が手に持っている一枚の通達をあなた達は目にする:
【新刀剣男士 期間限定鍛刀キャンペーン開催!】
……本丸に一波乱起きる予感と共に、あなた達の休日が幕を開けたのだった。


●PCハンドアウト:


○PC1
あなたはレベル90に到達したばかりの刀剣男士だ。最近は政府主催のイベントにも出陣していて、新しい仲間を確保するために奔走し、もう疲労困憊だ。今後非番の日を増やすためにも、ぜひ本丸の刃員を増やしたいと思っている。
あなたの【使命】は、審神者の鍛刀を応援することだ。

○PC2
あなたは本丸が創立した初期から顕現している刀剣男士で、レベルもカンスト済みだ。新しい仲間が顕現するのなら、先輩として歓迎してあげないと。
あなたの【使命】は、審神者の鍛刀を応援することだ。





本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社新紀元社」が権利を有する『マルチジャンル・ホラーRPG インセイン』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/新紀元社
また、本作は「ニトロプラス」が権利を有する『刀剣乱舞-ONLINE-』の二次創作にもあたります。

本作を遊ぶのにインセインの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。

この先はGMする方のみ読み進めてください。




――― × ――― × ――― × ―――

◆背景

「ひがんさま」という「おまじない」が最近ネットで流行っている。
「あの世に行ってしまった人に会いたいのなら、お供え物(燃やせるもので大丈夫)を用意して、『ひがんの導きあらんことを』を唱えながらお供え物を火にくべる。100回繰り返せば、ひがんさまがその人に会わせてくれるよ」
最初に情報を流したのは誰なのかは、もはや特定できないほどにおまじないは広まった。幸い内容に少々曖昧なところもあり、また手順が雑で本物らしくないため、実際に試した人はそこまで多くなかった。だが、おまじないを行ったことをネットで報告した人は皆、その後消息不明になってしまった。

元の情報を知っていれば、霊力を運用する審神者ならこのおまじないの危険性をある程度勘付くこともできるはずだ。だが、悪意を持った誰かがその内容を変え、政府の通達を偽造して審神者たちに送りつけた。PCたちの主も受取人となった一人だ。ネットの噂について知らなかったPCたちの主は偽通達の内容を疑うことなく、書かれた通りに鍛刀を始めたのであった…。

これ以降、から始まるのはGM情報とする。

◆PCについて

キャラクターを作成する前に、PCは「極」になっていない刀剣男士を想定していることをPLにお伝えください。
また、初期の生命力の最大値は8とする(「頑健」を1個修得したに相当する)ハウスルールを採用しているため、それに合わせてデータを調整する。ハウスルールを適用しない場合、エネミーデータの調整をおすすめする。
ワールドセッティングの刀剣男士専用アビリティ(「極」以外)も使用可能だ。

●PC1

あなたはレベル90に到達したばかりの刀剣男士だ。最近は政府主催のイベントにも出陣していて、新しい仲間を確保するために奔走し、もう疲労困憊だ。今後非番の日を増やすためにも、ぜひ本丸の刃員を増やしたいと思っている。
あなたの【使命】は、審神者の鍛刀を応援することだ。

【秘密】
ショック:なし
最近開催されたイベントに詳しいあなただが、鍛刀キャンペーンについては何一つ知らなかった。急遽決まったものだろうか?こんのすけからもお知らせが来ていないようだが、仲間になる刀剣男士は誰だろう?
あなたの本当の【使命】は、鍛刀キャンペーンについて調査し、顕現する予定の刀剣男士について知ることだ。

※「火雁藤四郎」の秘密を入手できれば使命達成になる。

●PC2

あなたは本丸が創立した初期から顕現している刀剣男士で、レベルもカンスト済みだ。新しい仲間が顕現するのなら、先輩として歓迎してあげないと。
あなたの【使命】は、審神者の鍛刀を応援することだ。

【秘密】
ショック:PC1
審神者は鍛刀が苦手であることを、あなたは知っている。過去に開催された鍛刀キャンペーンで新しい仲間を迎えたことはなかったし、きっと今回も資源を無駄にするだけの結果になる。落ち込む主のために、何かできることがあればいいのだが…。
あなたの本当の【使命】は、鍛刀を諦めさせるために、審神者(とPC1)が納得できる理由を探すことだ。

※エンディングによっては別の鍛刀キャンペーンが開催されるが、PC2の【使命】は「火雁藤四郎の鍛刀を諦めさせる理由を探す」のみである。理由があればいいので、実際に審神者を止められなくても達成できる(マスターシーンでの強制鍛刀もあるため)。「火雁」や「鍛冶場」などの【秘密】を入手できれば使命達成になる。

◆NPCについて

●審神者

刀剣男士と直接に言葉を交わすことができる、また見た目(顔色)から体調が芳しくないとわかることがある、を前提としている。本文の中では人間として描写するが、以上の条件を満たしていれば自由に変更して構わない(GMが適宜に描写を変えてください)。
戦闘には参加しない。

●近侍

審神者の護衛になるNPC、戦闘には参加しない。デフォルトは薬研藤四郎。以降、薬研を言及した場合、近侍NPCを指していることとする。
近侍を別の刀剣男士に変えても構わないが、新しく鍛刀できる「刀剣」に「藤四郎」の名前をつけたため、粟田口の刀剣男士であるほうが情報を渡しやすいだろう。

◆シーン表

ワールドセッティング「狂気乱れ舞う二二〇五」の「本丸シーン表」を使用する。

◆狂気カード

8枚使用。ランダムで選出しても構わない。
例:依存、疎外感、盲目、血への渇望、絶叫、恐怖症、暴力衝動、(ワールドセッティング:狂気乱れ舞う二二〇五から)モノへの回帰
※あくまで一例であって、ほかの狂気カードを使っても構わない。




――― × ――― × ――― × ―――

◆展開

●導入フェイズ

PCたちが非番の日の朝。休日の予定を決めていなかった二振りは、いつものように朝ごはんを食べて、これからどうするかを考えていた。同じく非番の仲間たちはそれぞれ用事があるようで、二振りが取り残された。
PCたちが悩んでいるうちに、バタバタと足音が聞こえてくる。音の方を振り向けば、焦った表情の薬研藤四郎が急いで廊下を走っていった。その手には一枚の紙が握られている。薬研が通り過ぎた際に、PCたちは紙に書かれた一文を目にする。

《新刀剣男士 期間限定鍛刀キャンペーン開催!》
何度か見たことがある、政府からの通達に使われる見出しの文言だ。そして薬研が向かった方向には、鍛刀部屋がある。
PCたちはそれぞれ(ハンドアウト)の理由で、薬研を追いかけることになる。
※必要ならここで改めてPCハンドアウトの確認を、または紹介を行ってください。

鍛刀部屋へ向かうと、審神者が既に鍛刀を始めていた。「絶対お迎えしようね!」と意気込んで資源を炉に放り込む審神者を見守りながら、薬研がどこか不安な表情を浮かべていることに気づく。
PCたちが尋ねる、または薬研がPCたちが来ていたことに気が付くと、「いつものキャンペーンとやらだと、大将は言っているが……」と話し、通達を見せてくれる。

GMは「政府からの通達」、「審神者」及び「火雁藤四郎」のハンドアウトを公開し、メインフェイズへ進んでください。


●メインフェイズ


○ゾーキングに関して
ゾーキングによって開示される重要な情報はない。
本丸に関しては、初期に顕現された刀剣男士はレベル99になり、また高いレベルに達している刀剣男士も多数いる中堅本丸を想定している。本丸内にある施設は、GMがシーン表に合わせて、またはPLの要望に合わせて描写して構わない。

○審神者の行動
審神者は基本的に鍛刀を繰り返し行っている。マスターシーンで鍛刀した、もしくはクライマックスフェイズに入る前に最後に鍛刀した刀剣が「ひがんさま」の依り代になる。
しかし、PCたちがちゃんとした理由を持って鍛刀を止めようとするなら(「審神者」の【秘密】を獲得し、体調を心配する;「火雁」の【秘密】を獲得し、おまじないについて説明するなど)、審神者は鍛刀を(一時的に)中断すると描写してもいい。ただしその後マスターシーンが発生した場合、必ず理由をつけて最後の鍛刀を行わせてください。

○近侍の行動
PCたちには友好的に接する。もし尋ねられたら、通達が届いた以外に本丸におかしな点はないと答える。また、「火雁藤四郎」についても知らいないと答える(粟田口の刀剣が近侍の場合、「兄弟全員を把握していない。だがその名前は聞いたことがない」と答える)。
審神者の顔色が悪い、疲れているように見える、などと教えた場合、PCたちが審神者の鍛刀を止めようとするとき説得に協力してくれる。

○こんのすけについて
NPCとして登場させることができるが、通達について何も知らないので調査に役立つ情報は持っていない。「この一件に時の政府は一切関与していない」ことが確認できる。
GMが説明したい設定があるとき、また状況整理が必要な場合、こんのすけを使って説明するといいだろう(もちろん近侍でも構わない)。

○マスターシーン「お導き」
「政府からの通達」「火雁」両方の秘密が公開されたら、このシーンが発生する。
PCたちが鍛刀部屋で調査をしている、または鍛刀部屋に戻ってきたところだ。「ひがんの導きあらんことを」と唱えながら、鍛冶場の炉に資源を放り込んでいた審神者は「あっ!」と声を上げる。近寄ってみれば、刀剣が完成するまでの時間が「00:44:39」となっている。
※PCの行動に合わせて、GMが残り時間を変更してください。
残り時間の表示を見た審神者は「今までに見たことのない数字!成功したのかもしれない!」と喜ぶが、薬研はやはりどことなく不安そうに見える。
「残り時間、最初は44分44秒と表示されたように見えたが、今までそんな中途半端な数字があったか?」と薬研が疑うも、審神者は「きっと今回の特別仕様だよ!鍛刀の方法もいつもと少し違うし」と能天気に答える。
薬研はPCたちに「急な通達といい、なんだか嫌な予感がするんだがな……」と零す。鍛刀キャンペーンとともに鍛冶場の調査もしてほしい、とPCたちに頼む。
GMはシーンの最後に「鍛刀の儀式」と「鍛冶場」のハンドアウトを公開してください。


●クライマックスフェイズ

リミットの3サイクル目が終了した後、クライマックスフェイズに移行し、「ひがんさま」との戦闘処理に入る。

鍛刀部屋に戻ってみれば、一振りの刀剣が完成したようだ。マスターシーン「お導き」が発生していればそのときに鍛えた刀が、そうでなければ審神者が最後に鍛えた刀が完成したことになる。
「見たことのない刀……この子が新しい刀剣男士…!」と審神者が刀に触れた途端、禍々しい気配が部屋を充満する。刀は黒く変色し膨張する、そして人に近い姿に変化していくが、人間の体にはならず、輪郭がぼやけた黒い影になってしまう。

近侍の薬研は審神者を守るために影から引き離す。なおも影は審神者を「連れて行こう」とするので、「そいつを倒してくれ!」とPCたちに頼む。PCたちの準備ができたら、「ひがんさま」との戦闘を開始する。

○戦闘について
参加者は「ひがんさま」とPC二名のみ。審神者と近侍は前述通り戦闘に参加しないので、「ひがんさま」の攻撃対象はPCたちのみになる。単体攻撃の場合、対象はPCからランダムに選ぶ。
「ひがんさま」のステータスは【エネミーデータ】の項目を参照してください。

○終了条件
1)「除霊の儀」の儀式判定に成功した
2)「ひがんさま」の生命力が0になった
3)PC全員の生命力が0になった、またはPC全員が脱落した


●エンディング


○「除霊の儀」の儀式判定に成功した
「ひがんさま」を送還すると、影は消え去り、怪異の気配も徐々に浄化されていく。床に落ちた「本体」の刀も、灰になるように砕け散った。
審神者がPCたちの状態を確認(重傷者がいれば手入れ部屋に放り込んだり)したら、「刀剣男士ではないと分かったけど、せっかく成功したと思ったのに……」と少し残念そうにつぶやく。
PCたちや薬研が励ましの言葉(もしくはお叱りの言葉)をかけようとするとき、ポンッ!の音と共にこんのすけが現れる。
「主様!政府より新しい通達をお届けに参りました!」
元気よく一枚の紙を差し出すこんのすけ、それを受け取る審神者。広げてみれば、PCたちの目にもその内容が映った。

【「期間限定鍛刀キャンペーン」開催!】
○○月××日(翌日)0:00より、期間限定鍛刀キャンペーンを開催いたします!今回は「鬼丸国綱(おにまるくにつな)」が各資源400の鍛刀に登場です!
<開催期間>○○月××日 0:00~○○月△△日 23:59

「鍛刀キャンペーン!?今度こそ本物だよね?!準備しなければ!」
残りの資源を確認しないと、と審神者は慌てて資源保管庫へ走っていく。「まだ懲りないのか」と薬研もやれやれといった様子で追いかけていった。
一難去ってまた一難――その言葉を思い浮かんだPCたちは、今度こそ無事に鍛刀キャンペーンを終えられることを祈るしかないだろう。

【END:鍛刀キャンペーンは終わらない!】
※セッションの時期にゲームに鍛刀キャンペーンが開催されていれば、その告知を参考して変更するといい。


○「ひがんさま」の生命力が0になった
どうにか「ひがんさま」を撃退したPCたち。影は消え去り、怪異の気配も徐々に浄化されていく。床に落ちた「本体」の刀も、灰になるように砕け散った。しかし随分と暴れまわったせいで、鍛刀部屋のあちこちを傷つけてしまい、PCたちも少なからず怪我を負ってしまった。
状況を確認した審神者は眉をひそめた。「鍛刀用の資源もここに運んできた分はダメになっているみたいだね。鍛刀部屋を修復するのにお金も資源もかかってしまうな……でもまずは手入れだ」と、PCたちを手入れ部屋まで連れて行く。
「追加で資源を集めたほうがいいよね。二振りとも、怪我が治ったら遠征を頼んでもいい?」と審神者が尋ねる。これから重労働に駆り出される予感に慄きながら、PCたちの休日は終わりを迎えた。

【END:遠征マラソンの始まり】


○PC全員の生命力が0になった、またはPC全員が脱落した
相手の攻撃に耐えきれず、あなた達は倒れた。体から霊力が抜けていくのを感じて、その霊力は「ひがんさま」に取り込まれたのを直感的に理解した。

審神者の悲鳴が聞こえて、霞む視界の片隅に薬研が悔しそうに主を連れて鍛刀部屋から逃げようとしているのを捉えた。しかしあなた達の力を喰らった怪異は姿を変え審神者たちを追いかけていく。
触れたものを全て薙ぎ倒していく怪異を止める術がなく、倒壊する音、本丸中に上がる悲鳴や怒号を最後に、あなた達は意識を失った。その後本丸はどうなったのか……あなた達は知る由もなかった。

【END:彼岸への導き】
※キャラロスト




――― × ――― × ――― × ―――

◆ハンドアウト

●政府からの通達

《新刀剣男士 期間限定鍛刀キャンペーン開催!》
本日9:00より「期間限定鍛刀キャンペーン」を開催いたします!
新刀剣男士「火雁藤四郎(ひがんとうしろう)」が各資源「444」の鍛刀に登場です!
<開催期間>本日9:00~20:59
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
この通達はこんのすけ経由ではなく、直接に本丸のポストに届けられたようだが、通達が入っていた封筒には宛名が書かれていなかった。
また、よく見れば、一番最後にこのような文章が書かれていた:
「鍛刀を実行する際、『火雁の導きあらんことを』と唱えながら実行すれば成功率が上がります、ぜひお試しください。」

※「政府からの通達」「火雁」両方の秘密が公開されたら、マスターシーン「お導き」が発生する。

●審神者

あなた達の主。通達で鍛刀キャンペーンの存在を知り、新しい刀剣男士を手に入れようと躍起になっている。あなた達が集めてきた資源が見る見るうちに消えていく……。
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
朝食の時に比べて、顔色が優れていないように見える。緊張感による疲れなのか、それとも……?
審神者は資源と共に、霊力を込めた御札を使って鍛刀を行っている。効果は如何ほどのものだろうか。
○この秘密を調査したPCは【プライズ:御札・富士】を獲得する。

●プライズ:御札・富士

審神者の霊力が込められた御札。
このプライズはクライマックスフェイズにて使用できる。任意の判定またはダメージロールの前に使用することで、その出目に補正をつけることがきでる(1サイクル目にこのプライズを獲得した場合は+3、2サイクル目なら+2、3サイクル目なら+1の補正になる)。このプライズは一度使用すればなくなる。
○このプライズに秘密はない。

※鍛刀を行えば行うほど審神者の霊力が消耗するので、入手が遅い場合は効果も薄くなる。

●火雁藤四郎

《新刀剣男士 短刀「火雁藤四郎(ひがんとうしろう)」》
粟田口吉光作の短刀、藤四郎兄弟の一員。
名の由来は刀身にある鳥の彫り物から。鳥のように舞い、軽やかに戦う。
一時期行方不明になっていたため、来歴や文献に記載されることは少ない。
「迷子ではありませんよ!主さま、これからずっとついていきますからね!」
【秘密】
ショック:なし
そのような刀剣は存在しない。現存しないのではなく、最初からなかったのだ。
なら通達はなぜ送られてきたのか。審神者が鍛刀しようとしているものは一体何か?
○《歴史》で恐怖判定を行う。
○ハンドアウト「火雁」を公開する。

●火雁

知らない名前のはずだが、なんとなく聞き覚えのある言葉だ。どこかで聞いたことがあるのだろうか。
【秘密】
ショック:全員
最近、ネット上では「ひがんさま」というおまじないが流行っている。
「あの世に行ってしまった人に会いたいのなら、お供え物(燃やせるもので大丈夫)を用意して、『ひがんの導きあらんことを』と唱えながらお供え物を火にくべる。100回繰り返せば、ひがんさまがその人に会わせてくれるよ」
このような内容が広まっており、「ひがんさま」を行った報告も何件か見つけられるが、会いたい人に会えたかは報告されていないようだ。
○《死》で恐怖判定を行う。

※「政府からの通達」「火雁」両方の秘密が公開されたら、マスターシーン「お導き」が発生する。

●鍛刀の儀式

審神者の鍛刀は霊力の消費を伴う。今回はいつもより余分に霊力を使っているように見えるが、その霊力はどこに消えてしまったのか?
【秘密】
ショック:なし
刀剣男士の励起には霊力が必要。ならば儀式に使った霊力は呼ばれたものに宿るだろう。
宿った霊力を取り上げることができれば、呼ばれたものの動きを止められるはずだ。
○この【秘密】を知ったPCは儀式「除霊の儀」を入手する。

●鍛冶場

審神者の日課でもある、鍛刀が行われる場所。新しい仲間を迎えるために、現在も鍛刀が行われている最中だ。
【秘密】
ショック:全員
〈拡散情報〉
知らずに「ひがんさま」のおまじないを行ったせいで、刀剣男士ではない、「何者か」の不浄な気配が炉に集ってきている。
クライマックスフェイズの開始時、「ひがんさま」が鍛冶場に召喚され、審神者を連れ去ろうとする。「ひがんさま」を阻止できない場合、主をなくした本丸は解体され、PCはロストする。




――― × ――― × ――― × ―――

◆儀式

儀式名:除霊の儀
参加条件(すべての手順):儀式を取得した上、対象と同じ霊力を持つ者
手順1 経路を断つ 指定特技:《切断》
    ペナルティ:なし
    対象が召喚者(審神者)から霊力を取り込む経路を断つ。
手順2 霊力を取り上げる 指定特技:《霊魂》もしくは《分解》
    ペナルティ:正気度を1点減少。
    対象が活動するために必要な霊力を取り上げる。
手順3 送還 指定特技:好きな怪異分野の特技
    ペナルティ:正気度を1点減少、未公開の狂気カードがある場合、トリガー関係なく1枚を選んで公開する。
    無力化された対象をあるべき場所へ送還する。

※「同じ霊力を持つ」は、「ひがんさま」と同じく審神者に呼ばれた刀剣男士であるPCたちなら問題なくクリアできる条件であるため、儀式の情報を獲得したPCなら参加条件を満たしている。

◆エネミーデータ

「ひがんさま」

「ひがんさま」
脅威度:4 属性:怪異 生命力:16
好奇心:怪異 特技:《死》、《終末》、《悦び》、《罠》
アビリティ:【基本攻撃】 攻撃 《罠》
      【お導き】 攻撃 《死》 全体攻撃。目標が回避判定に失敗した場合、2D2点のダメージを受け、怪異分野からランダムで特技を決めて恐怖判定を行う。
解説:彼岸に渡ってしまった人に会いたい、その願いを叶うために、祈ったものを彼岸へと導く「死」の存在。

※【お導き】の恐怖判定は、PCが二人とも回避失敗した場合でも一度だけランダムで特技を決めて、両方その特技で判定を行う。




――― × ――― × ――― × ―――

◆あとがき

※読まなくてもシナリオを回せます。

とうらぶ関連のシナリオはCoCとマギカロギアでいくつか書いてきましたが、インセインは初めてなので、シンプルでわかりやすい話に挑戦してみました。いかがだったのでしょうか?

今回のコンセプト、実は「Pixivのとうらぶホラー小説にありそうな展開」でした。あらすじは一言で言えば「変な手順で鍛刀をしたら悪いものを喚んでしまった話」なので、この題材を私なりに料理してできたのがこのシナリオでした。特定の作品を参考にしているわけではありませんので、この展開自体のオマージュ、というべきでしょうか?とうらぶホラータグの作品をいつも楽しく読ませていただいてますし、自分でも書いてみたいけど、ホラー小説を書くのは苦手なので、今回はシナリオという形に落とし込みました。

怪異について、「ひがんさま」は単純に私が「彼岸」という言葉を借りて作り出したフィクションです。やたら「4」という数字が出てくるのも発音から「死」を連想できるからです。あまりひねりがないけどそこはわかりやすさ重視で。
藤四郎にしたのは、藤四郎短刀の数が多いから一振り紛れ込んでも気づかれないかもしれないという理由です。一応ネットで検索して実際に存在していないことを確認した上ハンドアウトを書きましたが、もし見落としがありましたら、シナリオの世界線では歴史改変されて存在しないことになっていたということにしてください……!

拙いシナリオですが楽しんでいただけたら幸いです。機会があればまたとうらぶ×インセインに挑戦してみたいと思います!


●裏話

あとがきではシナリオのコンセプトや怪異の構想について書かせてもらいましたので、こちらでは初期のシナリオ案について書こうと思います。

実は昔、Twitterでなんとなくつぶやいたことがこのシナリオを書くきっかけとなりました。
「この度新たな刀剣男士が鍛刀可能になりました、という政府通達から始まるCoCシナリオ(SANチェックするのは主)」
大体そんな感じの内容だったと思います。そのときはとうらぶシナリオも含めてクトゥルフ神話TRPGのシナリオを主に書いていましたので、ホラーといえば真っ先にそちらを思い出しました。けどCoCならクトゥルフ神話的な事象を必ずどこかに入れたい、という個人的なこだわりがありまして、鍛刀をテーマとする本作に組み込むのは難しいと感じました。また、PCは刀剣男士だと想定していますが、元のアイデアのようにNPCである審神者にSANチェックをさせたら、KPの処理も大変だしゲーム的にもあまり意味がない気がして。以上の理由から、最初の案は没になりました。

ちなみに、CoCで書こうとした頃に残したメモは大体こんな感じです:
「裏で主が定期的に鍛刀する。配合はPCたちが決めて、数に応じて刀種などをランダムに決める。(1D100でクリティカルのみレアが出るとか、100のみが神話生物とか)。
新刃が出ないたび審神者のSANを1ずつ減らしていくが、神話生物を引いたらでかいSANチェックを挟む」
あまりに処理が面倒なのでやはり無理があるよね……と思った次第です。これをうまく料理できる方がいればぜひお使いください…!

神話事象ではなく、単純に呪いとか謎の儀式の方向にシフトしたら、インセインのほうが合っているのでは?と気づいて今の形になりました。GMとしても回しやすくできたのかなと思います。ゲームの鍛刀イベントが開催されるたび、本当にSAN値を削りながらボタンをひたすらクリックしてた部分は表現できなくなりましたが……鍛刀キャンペーンでの苦労を思いだして共感していただけたら幸いです。そして皆さんが次の鍛刀キャンペーンでいい結果を収められますように…!