魔道書大戦RPG マギカロギア
人数:1〜3人
リミット:6シーン
レギュレーション:スタートブックだけでも遊べます(GMは基本ルールブック推奨)
推奨PC:第3階梯
難易度:簡単~普通(複数PCの場合は初心者向け)
※メインフェイズ戦闘はありません。
任務が降りたとの知らせを受け、あなたが大法典へ向かうと、
そこには魔法使いでありながら演奏家である友人が待っていた。
彼女がよく訪れる街で、音楽にまつわる不思議な事件が発生しているらしい。
ピアノの音が聞こえるたびになにかが起きる――それがとある禁書による仕業のようだ。
経歴・機関ともに制限はない。初期作成から問題なく遊べます。継続の場合は適用経験点が10点までのPC推奨です。
本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社アークライト」「株式会社新紀元社」が権利を有する『魔道書大戦RPG マギカロギア』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/アークライト/新紀元社
本作を遊ぶのにマギカロギアのスタートブックもしくは基本ルールブックが必要です。本文中の「スタブ」表記は「スタートブック」、「基本」や「基本ルルブ」表記は基本ルールブックを指しています。
※この先はGMする方のみ読み進めてください。
――― × ――― × ――― × ―――
元々は有名なピアノ楽曲を集めた楽譜だった禁書<ピアノのためのクラシック名曲集>が、いくつか小さな魔法災厄を引き起こしている。大法典は被害が軽微であるうちに、PCに禁書の回収を頼む。
基本ルルブP68/スタートブックP219のシーン表を使用する。
基本ルルブP89/スタートブックP245にある通常の運命変転表を使用する。
このシナリオに憑依深度は設定されていない。
これ以降、※から始まるのはGM情報とする。
――― × ――― × ――― × ―――
このシナリオの導入はPC共通の1シーンのみ。
PCは「任務がある」との連絡を受け、大法典へ向かう。そこでPCを待っているのは、魔法使いでありながら演奏家である友人「倉光小夜(くらみつ さよ)」だった。
※小夜は拙作「晴れ空エチュード」でもPCの友人として登場した魔法使いで、本シナリオでも同じ設定で登場している。また、本シナリオに登場するNPCはすべて作者のシナリオに登場したことのあるキャラクターだが、シナリオのネタバレはない。
PCが着席したのを見て、小夜が説明し始める。
「今回の任務を担当することになったの。というのも、最初に魔法災厄に気づいたのが私だからよ」
「私が手伝っている音楽教室で、おかしなことが起きているの。少し調べたところ、どうやらそれは禁書の仕業だったみたい」
そう言って小夜は、以下のことをPCに教える。
・音楽教室のある碧浦(あおうら)町で魔法災厄が発生している。
・音楽教室の教師が断章に憑依されていたため、禁書の仕業だと考えられる。
・魔法災厄は宿主の周りに発生する。その際、決まってピアノの音が突然聞こえて、音楽と共におかしな事象が起きる。
・音楽教室の教師の場合、地面に小さな亀裂が走ったり、小石が転がってきたりと、危うく転んでしまいそう(実際転んだこともある)になる魔法災厄が発生した。
※6つの断章が引き起こす魔法災厄は6つの変調に対応している(と言っても、字面通りのみの効果になる)。音楽教室教師に憑依した断章は「綻び」に対応している。
「被害が少ないうちに禁書を回収したいから、大法典に報告して、任務として(PC)に依頼することになったのよ」
「私もできる限り協力するわ。まずは、断章に憑依されている可能性が高い二人の資料を渡すね」
小夜が事前に調べてくれたようで、まとめられたデータがPCに渡される。
GMは「火口 直人」と「鈴木 蘭花」のハンドアウトを公開してください。シナリオアンカーは、「火口直人」と「鈴木蘭花」からPCが自由に決める(被っても問題ない)。属性は自由に決めて構わない。
最後に、小夜は以下のことをPCに伝える。
「それでね、音楽教室の先生に憑依した断章は私が回収したけれど、ちょっと変……と言ったらいいのかしら」
「いつものように断章から魔法を剥奪することができなかったの。代わりに魔素を手に入れたけれど」
「断章に手を加えたら存在があやふやになってしまうみたいで、このまま集めて禁書を封印するしかなさそうね」
GMは、以下の処理をPLに伝えてください:
本シナリオで断章をプライズとして獲得する際、断章から魔法や魔力を剥奪することができない。代わりに、断章を獲得したPCは好きな魔素を1点、もしくは一時的魔力を1点獲得する。どちらにするかは獲得した本人が選んでいい。
「ともかく、これが私が回収した断章よ。残りはお願いね」と小夜は断章<グノシェンヌ>をPCに渡す。同時に、PCは自分の領域の魔素を1点獲得する。
※複数PCの場合、PL間で相談して断章を受けとるPCを決めてください。魔素はそのPCの領域のものになる。
断章<グノシェンヌ>のデータを公開し、PCの魔力決定を行ってください。
PCの使命は【禁書の回収】になる。
以上の処理が終わったら、メインフェイズへ進んでください。
――― × ――― × ――― × ―――
このシナリオのリミットは6シーンであり、PC1人の場合は6サイクル、2人の場合は3サイクル、3人の場合は2サイクルになる。マスターシーンはなく、すべてのハンドアウトの【秘密】が公開された時点でクライマックスフェイズへの突入が可能になる。
ハンドアウトに記載されている魔法災厄が発動する場面は、PCが実際に遭遇することができる。調査しやすいようにそれらを演出として使っても構わない。
憑依した断章を回収すれば、そのNPCに付きまとう魔法災厄もまた収束するだろう。
【秘密】が開示された時点で、そのハンドアウトを調査したPCは憑依した断章を回収したことになる。魔法戦を行う必要はない。
ルールブックによれば回収した断章は関係欄に書く必要があるが、本シナリオには断章が6つあり、PLが想定した数よりも多いはずだ。継続PCの参加やPCが1人のみなど、PCの関係欄に断章が収まりきらない可能性がある場合、GMは状況に応じて「本シナリオに限ってそのルールを取っ払う」ことにしてもいい。そうした場合、あらかじめPLに告げておくといいだろう。
6つの断章がすべて揃ったら、PCには「断章はこれで全部揃った」と気づく、PLには「クライマックスフェイズへ突入可能」と伝えてください。
――― × ――― × ――― × ―――
調査や断章の回収を終えたPCに、小夜からの念話が届く。
「任務は順調?」と確認したあと、彼女は町にある広場に編纂の魔法陣を用意したことをPCに伝えて、準備ができ次第そちらへ向かってほしいと告げる。
クライマックスは禁書<ピアノのためのクラシック名曲集>との魔法戦を想定している。
編纂の魔法陣に足を踏み入れると、6つの断章が集まり一冊の楽譜に姿を変える。《ピアノのためのクラシック名曲集》と記されている禁書は宙に浮くが、直後に現れるグランドピアノの譜面台に収まるだろう。禁書は魔法戦の間、「自身」に収録されている楽曲を演奏し続ける。
下記のデータはPC2人(初期作成)向けのものになる。また、説明のためだけに番号を振ってある。
PCが3人の場合、すべての断章の魔力を3に、禁書の魔力を18にして魔法戦を行ってください。
PCが1人の場合、攻撃力4の断章と禁書をすべて攻撃力3に変更する。断章①②の魔力を1に、断章③④⑤⑥の魔力を2に、禁書の魔力を10にして魔法戦を行ってください。
以上を踏まえて、継続PCがいる場合はGMが適宜調整してください。
攻撃2 防御2 根源2 魔力2
領域:力 特技:《円環》
【修復】 呪文 《円環》 スタブP197/基本P119 (書工)
攻撃2 防御3 根源2 魔力2
領域:歌 特技:《旋律》
【騎士召喚】 召喚 《旋律》 スタブP190/基本P97
攻撃4 防御2 根源3 魔力2
領域:星 特技:《静寂》
【沈黙】 呪文 《静寂》 スタブP192/基本P104
攻撃3 防御3 根源3 魔力2
領域:歌 特技:《旋律》
【呪具】 呪文 《旋律》 スタブP191/基本P103
攻撃4 防御3 根源3 魔力3
領域:歌 特技:《旋律》
【霊薬】 装備 基本P112
攻撃3 防御3 根源3 魔力3
領域:力 特技:《円環》
【凶運】 装備 基本P121 (訪問者)
攻撃4 防御3 根源3 魔力14
領域:歌 特技:《静寂》《円環》《旋律》
【騎士召喚】 召喚 《旋律》 スタブP190/基本P97
【呪具】 呪文 《旋律》 スタブP191/基本P103
【沈黙】 呪文 《静寂》 スタブP192/基本P104
【修復】 呪文 《円環》 スタブP197/基本P119 (書工)
【霊薬】 装備 基本P112
【凶運】 装備 基本P121 (訪問者)
※【霊薬】【凶運】は基本ルールブックにのみ掲載されている装備魔法だが、フレーバーで持たせているだけで、禁書が実際に使うことはない。この旨をPLに説明しておくといいだろう。
火口 直人:自分のことを無視しないでほしい *
鈴木 蘭花:前のように客と普通に話せるようになりたい *
篠原 澪:教会に訪れる困った人たちの役に立ちたい
吹田 千里:みんな健康でいてほしい
夕永 響:自分に何か幸運なことが起きてほしい
倉光 小夜:音楽教室のみんなが無事でいてほしい *
※クライマックスフェイズで禁書を回収したら、* がついてる願いは達成できたとする。
――― × ――― × ――― × ―――
禁書を回収すれば、碧浦町に発生する魔法災厄もすべて収まり、NPCたちは再び日常を送ることができる。もしPLから要望があれば、彼らのその後を適宜描写してください。
小夜に報告すれば、「これで一安心ね」と労いの言葉をかけてくれる。
「音楽はみんなで楽しむべきものよ。魔法災厄の予兆として使われるなんて悲しいものね」
「本当にありがとう。お礼になるかわからないけれど、今度、ちゃんと演奏を楽しめるピアノコンサートにぜひ招待させてくださいね」
小夜は改めて感謝を伝えると、大法典に禁書を届けてくれる。PCは後日大法典から報酬を受け取り、無事任務を終えることになる。
禁書のもたらす魔法災厄はさらに多くの人を巻き込む。他の〈愚者〉にも「ピアノの楽曲が聞こえるとトラブルが起きる」事象が発生するようになる。
PCが望むなら、準備しなおして(あるいは別のセッションにて)改めて禁書に挑むといいだろう。
――― × ――― × ――― × ―――
導入の終了時に「火口 直人」と「鈴木 蘭花」のハンドアウトが公開される。
「鈴木 蘭花」の【秘密】が公開されると、「篠原 澪」と「吹田 千里」のハンドアウトが公開される。
「吹田 千里」の【秘密】が公開されると、「夕永 響」のハンドアウトが公開される。
小夜が手伝う音楽教室に通っている小学生の男の子。無口でクールな性格だが、最近は「ピアノの音が聞こえると、周りの人が自分を無視してしまう」と困惑している。
【秘密】
断章<別れの曲>に憑依されている。魔法災厄が、彼を人々の視線から遮断した。
○この秘密を調査したPCは断章と、1点の一時的魔力または魔素を獲得する。
○断章<別れの曲>
攻撃2 防御3 根源2 魔力2
領域:歌 特技:《旋律》
【騎士召喚】 召喚 《旋律》 スタブP190/基本P97
※作者セレクト版では「断章<ラ・カンパネラ>」になる。
碧浦町でおしゃれなカフェを経営している。優しい性格に美味しいコーヒーを淹れるテクニックが高く評価されているが、最近は「とある店内BGMが流れると話しかけても一切返事しない」と噂されている。
【秘密】
断章<超絶技巧練習曲「回想」>に憑依されている。魔法災厄が、彼女の声と言葉を一時的に封印したため、返事しようとしてもできなかった。
○ハンドアウト「篠原 澪」と「吹田 千里」を公開する。
○この秘密を調査したPCは断章と、1点の一時的魔力または魔素を獲得する。
○断章<超絶技巧練習曲「回想」>
攻撃4 防御2 根源3 魔力2
領域:星 特技:《静寂》
【沈黙】 呪文 《静寂》 スタブP192/基本P104
※作者セレクト版では「断章<初心者のためのソナタ>」になる。
カフェの常連である高校生の少女。碧浦町にある教会を手伝うためによく出入りしているが、時々ピアノの音が聞こえて、そのたび力が抜けてしばらく動けなくなるようだ。
【秘密】
断章<悲愴ソナタ>に憑依されている。魔法災厄が、彼女の体力を奪い虚弱にした。
○この秘密を調査したPCは断章と、1点の一時的魔力または魔素を獲得する。
○断章<悲愴ソナタ>
攻撃3 防御3 根源3 魔力2
領域:歌 特技:《旋律》
【呪具】 呪文 《旋律》 スタブP191/基本P103
※作者セレクト版では「断章<羊は安らかに草を食み>」になる。
カフェの常連であるドラッグストア店員。最近、店で聞き慣れないピアノのBGMが流れるとめまいがするようになり、自分は変な病気にかかったのかと疑っている。
【秘密】
断章<ラ・ヴァルス>に憑依されている。魔法災厄が、彼が病魔に冒されるように仕向けた。
○ハンドアウト「夕永 響」を公開する。
○この秘密を調査したPCは断章と、1点の一時的魔力または魔素を獲得する。
○断章<ラ・ヴァルス>
攻撃4 防御3 根源3 魔力3
領域:歌 特技:《旋律》
【霊薬】 装備 基本P112
※作者セレクト版では「断章<夢想>」になる。
ドラッグストアの近くに住んでいるサラリーマン。近頃、どこからともなくピアノの音が聞こえると、ポケットから小銭が消えてしまうという不思議な現象に嘆いている。
【秘密】
断章<子供の情景>に憑依されている。魔法災厄が、彼に不運をもたらした。
○この秘密を調査したPCは断章と、1点の一時的魔力または魔素を獲得する。
○断章<子供の情景>
攻撃3 防御3 根源3 魔力3
領域:力 特技:《円環》
【凶運】 装備 基本P121 (訪問者)
※作者セレクト版では「断章<華麗なる大円舞曲>」になる。
――― × ――― × ――― × ―――
ここにある設定は、GMがシナリオを回す際に参考にしてもいいし、回しやすいように改変を加えても構わない。
PCの友人。見た目年齢は20代後半~30代前半。魔法使いでありながら、ピアノの演奏家。普段はコンサートに出ることもあるが、音楽教室の手伝いもしている。物腰が柔らかく、いつも生徒たちを優しく見守っている。
「私も少しは役に立てたようで、よかったわ」
「子供たちが酷い目に遭わずに済むのなら、本当によかったわ」
11歳の男の子。音楽教室でピアノを習っている。無口でクールだが礼儀が正しく、声をかければ淡々とではあるが返事をしてくれる。容姿がそこそこいいが、周りに興味を持たないタイプなのでモテているわけではないようだ。
「はじめまして。火口直人と言います。よろしくおねがいします」
「普段どおりに練習しているだけです」
20代後半の女性、カフェ店主。笑顔がとてもチャーミングで、コーヒーとは別に彼女の笑顔を目当てにカフェに来ている客もいるとか。至高の一杯を淹れるために常に試行錯誤をしている。趣味も兼ねている仕事を、今は一番優先している。
「カフェオレはいかがでしょう?心温まる優しい味が素敵ですよ」
「かしこまりました。少々お待ち下さいね」
18歳の少女。学業に励んでいる傍らほぼ毎日教会に出入りしており、そこに勤めているシスターと親しい。信心深いというよりは、自身が努力するための心の支えがほしいから、神様に祈りを捧げている。教会には観光客がよく訪れるのでその対応にも慣れている。
「神様はいつも私たちを見ていますから、普段からいいことをたくさんして、その積み重ねが大事……ですね」
「せっかく来てくれたのにすみません。ゆっくり見ていってくださいね」
30代前半の男性。ドラッグストアの店員で、レジの仕事をしていることが多い。仕事はちゃんとしているが、無理せずに適度に手を抜くことも必要だと考えている。そこまで社交的ではないが、何人かいる仲のいい友人とは定期的に会っている。
「うわ、なにこれ?何が起きてんの…?」
「ありがとうございましたー……っと、休憩するか」
20代後半の男性。碧浦町に住んでいるサラリーマンで、最近恋人と結婚したばかり。良くも悪くも普通の人だが、優しくて誠実なので人望がある。休日は妻と一緒に出かけたりして、碧浦町についてはいつの間にか結構詳しくなっている。
「あれ、また小銭がなくなってる……なんで?」
「うーん、最近はなんだか、ついてないというか……なにかがおかしいんですよね」
※拙作「幸福へと導く光」よりあとの時系列を想定しているが、もし逆にして回す予定がある場合は適宜に変更してください。
――― × ――― × ――― × ―――
各断章の名前に使われたクラシック楽曲を紹介する。PCが調査するときに実際にBGMとして流すと魔法災厄の再現をできるだろう。
<グノシェンヌ>
Gnossienne No. 1 (Satie)
グノシェンヌ 第1番(サティ)
<別れの曲>
Étude Op. 10, No. 3 "Tristesse" (Chopin)
練習曲作品10-3 ホ長調 別れの曲 (ショパン)
<超絶技巧練習曲「回想」>
Transcendental Étude No. 9 in A-Flat major, "Ricordanza" (Liszt)
超絶技巧練習曲 第9番 変イ長調 「回想」 (リスト)
<悲愴ソナタ>
Piano Sonata No. 8 in C minor, Op. 13 "Pathétique" - II. Adagio cantabile (Beethoven)
ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」 第2楽章 (ベートーヴェン)
<ラ・ヴァルス>
La valse, poème chorégraphique pour orchestre (Ravel)
管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」 (ラヴェル)
※ラヴェル本人が編曲した「ピアノ2台版」と「ピアノ独奏版」が存在している。
<子供の情景>
Kinderszenen, Op.15: No. 1. Von fremden Ländern und Menschen (Schumann)
「子供の情景」 作品15 第1曲 見知らぬ国と人々について (シューマン)
<ラ・カンパネラ>
Grandes Etudes de Paganini, S. 141, No. 3 in G-Sharp Minor "La Campanella" (Liszt)
パガニーニ大練習曲集 S.141 第3曲 嬰ト短調 「ラ・カンパネラ」 (リスト)
<初心者のためのソナタ>
Piano Sonata No. 16 in C major, K. 545 - I. Allegro (Mozart)
ピアノソナタ第16番 ハ長調 K. 545 第1楽章 アレグロ (モーツァルト)
※モーツァルトが「初心者のための小さなソナタ」と注釈した楽曲。
<羊は安らかに草を食み>
"Schafe können sicher weiden" from Was mir behagt, ist nur die muntre Jagd, BWV 208 (Bach)
羊は安らかに草を食み 《狩のカンタータ》 BWV.208 (バッハ)
※ピアノ連弾用にアレンジされたVer.がある。
<夢想>
Rêverie (Debussy)
夢想 (ドビュッシー)
<華麗なる大円舞曲>
The Grande valse brillante in E-flat major, Op. 18 (Chopin)
華麗なる大円舞曲 変ホ長調 作品18 (ショパン)
――― × ――― × ――― × ―――
※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。
クラシック音楽が好きで(詳しくはないけど)、年に一度ぐらいはコンサートに行ってましたが、コロナのせいで開催自体がキャンセルされ続けて数年。2023年9月、私は久々に参加できたピアノのコンサートに感動して、「みんなにもいろんなピアノの楽曲を聞いてほしい!!」という思いだけでこのシナリオを書くと決めました。
きっかけとなったコンサートのテーマがピアノ連弾なので、今回の選曲もピアノのみになりました。「ラ・ヴァルス」と「羊は安らかに草を食み」はそのコンサートで聞いた曲で、他は作曲者が被らないように選びましたが、ピアノといえばショパンとリスト!とリスペクトも込めてこのお二方はあえて通常版と作者セレクト版両方に1曲ずつ入れました。
あと題名にちなんで「ソナタ」は両方とも入れてあります。モーツァルトのソナタは、「子供のころに実際習って弾いた曲」という思い出からの選出になりました。
「ピアノをたくさん聞かせたい」がために書いたシナリオなので、断章が多い割にメインフェイズ戦闘もなく、特殊処理で難易度は高くない…はず。拙作「晴れ空エチュード」から継続してもらえると嬉しいな~と思って共通NPCも登場させましたが、せっかくだから他のNPCも自作から引っ張ってこよう!となり、今の形になりました。PC自体は初期作成で参加可能ですが、もし他のシナリオにも興味を持ってもらえると嬉しいです!
(NPCは「碧浦町」が舞台のシナリオから選びました。「晴れ空エチュード」から倉光小夜と火口直人、「幸福へと導く光」から篠原澪と夕永響、「宵闇を照らすアステリア」から鈴木蘭花と吹田千里。当初は同じ舞台の「アマデウス」シナリオからも採用しようと考えましたが、「女性NPCばかりになってしまう!」と思って没になりました。)
ちなみに初期案は「変調」を取り扱っていなかったんですが、タイトルを考えるときに「変調って音楽的な意味もあるし、マギカロギアの用語でもある!」と気づき、どうにかハンドアウトに組み込もうと決めました。しかし愚者には変調が適用されないはずなのでかなり悩みましたし、綻びって、なに?ともなりましたね……断章の蔵書も安易に変調を付与するものばかり揃える、というわけにもいかず、そのバランスに一番苦労したかもしれません。
クラシックが大好きなので以前にも「晴れ空エチュード」をはじめとしたクラシック題材のシナリオを書きましたが、今後も何か機会があればまた書きたいなと思います。もし気が向いたら他のシナリオも遊んでいただけたら幸いです!