「封鎖された本丸を調査してほしい」
時の政府内にある大法典が管轄する部署から、その任務が降りた。
突如解放されたゲート、
連絡が途絶えた先行調査員、
検知された魔力の反応。
本丸に足を踏み入れたあなた達が目にしたのは――
刀剣乱舞×魔道書大戦RPG マギカロギア
Pixiv版(内容はこのページと同じ)
人数:1~2人
リミット:1人8サイクル/2人4サイクル(8シーン)
レギュレーション:基本ルールブックのみで遊べます
推奨PC:第3~4階梯
難易度:普通
※刀剣乱舞の世界観に関する独自の解釈が含まれます
表の顔が「審神者」もしくは「刀剣男士」のPC用のシナリオです。推奨経歴・機関は特にありません。
ソロの場合は第4階梯/功績点15点を使用したPC(継続推奨)、二人の場合は初期作成~功績点10点を使用したPCを想定しています(マギカロギアに慣れていないPLは初期作成非推奨です)。
本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社アークライト」「株式会社新紀元社」が権利を有する『魔道書大戦RPG マギカロギア』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/アークライト/新紀元社
また、本作は「ニトロプラス」が権利を有する『刀剣乱舞-ONLINE-』の二次創作にもあたります。
本作を遊ぶのにマギカロギアの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。
この先はGMをする方のみ読み進めてください。
――― × ――― × ――― × ―――
6年前、本丸を守る結界システムの弱点を突いて、禁書<昔日栄華虚像>はとある本丸に侵入した。その本丸を選んだ理由は単純だ。主である審神者「幸枝」が魔法使いであるため、彼女の魔力に引き寄せられたのだ。
幸枝本丸の刀剣男士は全員魔法使いではないため、禁書に対処できるのは審神者のみだった。しかし禁書の力はあまりに強大で、幸枝が全力を尽くしても敵わなかった。救援を呼ぶこともできず、彼女は最後の力を振り絞り、本丸を覆う結界の力まで利用してなんとか禁書を本丸に縛りつけた。その後、刀剣男士を全員時の政府に転送し、本丸の出入り口をすべて封鎖した幸枝は無念を抱えながら消滅した。
幸枝の刀剣男士たちは一旦時の政府に保護された。審神者の消滅が観測されたため、彼女に関する記憶は近いうちにすべて消えてしまうだろう。刀剣男士たちにそう説明した時の政府は、彼らに今後どうしたいかを尋ねた。刀解を希望する、別の本丸へ異動したいとそれぞれ決断していく中、近侍だった物吉貞宗だけは「主の望みだから」と言って政府に勤めたいと申し出た。政府にいてこそ、違う本丸へ散り散りになった仲間たちを全員サポートして、幸運をお届けできると彼は考えたのだ。
幸枝とともに、彼女の痕跡が残っている重要な記録やデータが消えてしまわないために、大法典側からある程度の資料改ざんがその後行われた。物吉が本丸に所属していた頃の記録もまた抹消され、彼は政府所属の普通の刀剣男士として生活することになった。
月日が流れ、幸枝の存在は記録からも、人々の記憶からも消え去った――禁書の封印が解かれ始めた、その時までは。
「封鎖本丸の元審神者は魔法使いだった」という情報がもうどこにも存在していないため、当初は「幸枝」という名前だけが見つかり、彼女について思い出せる人もいなかった。本丸が封鎖された原因が禁書にあると気づかずに、時の政府はいつものように刀剣男士を先行調査員として派遣した。
そうして選ばれた物吉貞宗は、彼が顕現された本丸に再び足を踏み入れたのだ。
※このシナリオでは、審神者の霊力と魔法使いとして能力(魔力)は別物として扱われるが、シナリオの展開においてはそこまで重要な設定ではない。
これ以降、※から始まるのはGM情報とする。
――― × ――― × ――― × ―――
導入にはPCが大法典に召集されるシーンと、封鎖本丸へ向かうシーンの2シーンがある。
PCが1人の場合、刀剣男士(魔法使いであることが望ましい)を護衛としてつけることができる。詳細は【メインフェイズ】の項目をご参照ください。
ある日、PCは大法典の上司に呼ばれて時の政府の支部に訪れた。上司は借りていた会議室にPCを案内し座ってもらうと、「大法典から任務が降りた、とある封鎖された本丸の調査をしてほしい」と告げ、以下のことを説明する。
・該当本丸は6年前、審神者「幸枝(ゆきえ)」の死亡をきっかけに封鎖された
・所属していた刀剣男士の多くは刀解を選び、選ばなかったものは他の本丸へ移籍した
・3日前、幸枝本丸のゲートが解放されたことを政府のシステムが検知した
・状況を確かめるために、政府はその翌日に本丸へ先行調査員を派遣した
・到着した知らせを受けたものの、それ以降先行調査員から連絡が途絶えた
・先行調査員が到着してすぐ、本丸から魔力の反応を検知した
・政府は先行調査員に連絡を取ろうと試み続けているが、返信はない
以上の報告が大法典の管轄する部署に届けられ、常人や普通の刀剣男士には手に負えない事態が発生している可能性も考慮し、大法典の任務としてPCを招集することになった。
PCの使命は【封鎖本丸の魔力反応に対処すること】になる。
○質疑応答
以下の情報はPCが尋ねた場合、上司が答えてくれる。「封鎖本丸の審神者について」と「封鎖本丸について」は任務の説明を行う際、聞かれずとも事前情報として開示して構わない。先行調査員に関しては最低限の情報に留めたほうがいいだろう。
※幸枝及びその本丸に関する資料は改ざんされたため、上司の語る情報には嘘が含まれている(ルルブP201「記憶の消失」の項目もご参照ください)。
・先行調査員について
規定により刀剣男士が派遣された。時の政府も慌ただしかったため、誰なのかまでは聞いていない。魔法使いではないと聞いている。
・なぜ〈愚者〉に調査を任せたのか
本丸の封鎖が解除された時点で魔法の反応がなかったため、時の政府が規則の通りに処理し、まずは先行調査員が状況確認のために派遣された。
・封鎖本丸の審神者について
審神者名は「幸枝」、女性である。6年前、本丸が時間遡行軍の襲撃を受け、刀剣男士たちが奮戦したものの彼女を守り切れず、本丸内にて死亡。当時は25歳だった。
※魔法使いとしての彼女の痕跡はすべて消されている。年齢は見た目年齢が記録されていた。
・封鎖本丸について
審神者の死後、政府は修繕を試みたが、何度試しても本丸の防衛システムを修復できなかった。本丸を守る結界を維持できず、このままではいつまた遡行軍に襲われるかわからないため、本丸自体を放棄し封鎖することにした。封鎖されてから先日ゲートが解放されるまで、人間や刀剣男士が立ち入ったことはなく、異常も検知されていない。
・所属の刀剣男士について
審神者の死後、半数ほど(初期刀含む)は刀解を選んだ。残った刀剣男士は別の本丸へ移籍し、本丸が封鎖されて以降一度も戻ったことがない。
※政府所属になったのは物吉のみで、データ上では「元から政府によって顕現された刀剣男士」になっているため、幸枝本丸に所属していたことは誰も知らない。
--------------------
PC(と同行者)の準備が整ったら、上司の立会いのもと、時の政府支部の転送ゲートを使い封鎖本丸へ赴くことになる。
6年前に封鎖されて以来、掃除も手入れもされていない本丸だ。中は廃墟と化していてもおかしくない。ところが、ゲートを潜った先にある風景は予想を裏切るものだった。
普段見慣れた和風建築と同じような建物が真っ先に目に入る。賑やかに談笑する声も聞こえて、どう見ても普通に稼働している本丸だ。
PCがこの明らかに不自然な光景を眺めていると、誰かが近づいてくる。
「あれ、お客さんが来るなんて聞いてないけれど、何か用かな?」
ここにいるはずがない、刀剣男士の蜂須賀虎徹だ。
PCが返事をすれば(正直に答えても、誤魔化してもどちらも問題ない)、蜂須賀は特に疑わずに「俺は何も聞いていないから、まずは主に確認しようか」と、近くにいる五虎退に審神者を連れてくるように頼む。
ほどなくして、一人の女性が物吉貞宗とともに現れた。20代半ばに見える彼女は「幸枝」と名乗り、PCを歓迎する。
「お客さんが来るなら事前に連絡をくれてもいいのに……ともかく、ようこそわが本丸へ」
幸枝はそう言って、近侍である物吉にPCをもてなすように命じた。まるでなにもおかしいことはないかのように。
GMは【本丸】【刀剣男士】【審神者】のハンドアウトを公開してください。また、PCの【魔力】決定を行ってください。
PCのシナリオアンカーは審神者の幸枝になる(PCが複数いる場合でも共通)。属性は自由に決めて構わない。
以上の処理が終わったら、メインフェイズへ進んでください。
※物吉以外の刀剣男士は自由に差し替えても構わないが、源氏兄弟のあとに実装された刀剣男士は顕現されていない。出迎えに来てくれた刀剣男士は初期刀にするといいだろう。
――― × ――― × ――― × ―――
シーン表は下記の表を使用する。
運命変転表はルールブックに記載された「精神的災厄」表を使用する。
○封鎖本丸シーン表(2D6)
2:出陣用のゲートが稼働している。目的地は不明と表示されているが……一体どこへ接続しているのだろうか?そのシーンに星の魔素が1点発生する。
3:柔らかな日差しに照らされて、畑の作物がすくすくと育っている。そのシーンに夢の魔素が1点発生する。
4:誰かの雄叫びが聞こえた……道場で鍛錬している刀剣男士がいるようだ。そのシーンに力の魔素が1点発生する。
5:美味しそうな匂いが漂ってくる。厨で料理をしている刀剣男士でもいるのだろうか。
6:蔵の周りはしんと静まり返っている。調査の邪魔が入らなさそうだ。
7:周囲で〈断章〉が引き起こした魔法災厄が発生する。ランダムに特技一つを選び、判定を行うこと。成功すると、そのシーンに好きな魔素が1点発生する。失敗すると、「運命変転表」を使用する。
8:季節の花が咲いている庭、池にかかっている橋……執務室から見える風景はどの本丸でも似たようなものだ。
9:書庫を覗いてみれば、歴史書や専門書、趣味の本に紛れて、帳簿や戦績の資料があった。
10:子供の笑い声が聞こえる。どこかで短刀たちが遊んでいるようだ。そのシーンに歌の魔素が1点発生する。
11:馬小屋では、数頭の馬が穏やかな寝息を立てている。そのシーンに獣の魔素が1点発生する。
12:朽ち果てた本丸の風景が一瞬見えた。荒廃した様子は幻なのか、それとも…。そのシーンに闇の魔素が1点発生する。
このシナリオに憑依深度は設定されていない。GMが難易度を調整する場合、憑依深度のルールを取り入れても構わない。
同行者として、PCと同じ本丸の刀剣男士をNPCとして登場させてもいい(PCが審神者の場合、護衛として同行する)。魔法災厄の性質上、〈愚者〉は禁書の影響を受けてしまうため、同行NPCは魔法使いであることが望ましい。
以上を踏まえて、魔法使いの同行NPCは立会人として魔法戦に参加できる(代表にはなれない)。PC側の防御プロットが公開されたあと、PLに1D6を振ってもらい、それを立会人のプロットとして扱ってください。
このシナリオに発生するマスターシーンは1つのみ。断章<虚像>を回収した後にマスターシーン「シロツメクサの夢」を行い、秘密を公開してください。
また、ゾーキング要素はない。本丸にある施設についてはシーン表を参考にしつつ、GMが自由に描写してもかまわない。
先述した通り、本丸が封鎖された時期からして、源氏兄弟よりあとに実装された刀剣男士は顕現されていない。
物吉以外の刀剣男士はすべて幸枝の知識と記憶から作り出された幻であるため、幸枝が知らないことは刀剣男士たちも知らない。例えば、同派だけど未実装の刀についての知識がなかったり、歴史上の出来事や元の主について聞かれても一般的に知られていることしか答えられない、など。なおPCと行う一般的な会話、受け答え自体は特に問題はない。
物吉に関しては、記憶が一部封じられているとはいえ、「物吉貞宗」として元々持ち合わせている知識は覚えている。しかし時の政府での勤務、先行調査に関しての記憶は失われているので、PCに尋ねられてもわからないと答える。
断章<虚像>を回収すれば、このマスターシーンが発生する。
PCがお守りを回収すると、それに付着した幸枝の魔力によって、彼女の記憶は映像のように脳内に流れ込む。
「主様、こちらをどうぞ!幸運の象徴、だそうですよ」
目の前に差し出されたのは四つ葉のクローバー。受け取れば、声の主である物吉はにっこりと笑顔を浮かべた。
「わざわざ探してくれたの?ありがとう」
「いえ。ボクがお傍にいないときは、この子が主様に幸運をお届けします!」
「頼もしい。物吉くんが本丸にいない間も安心ね」
物吉は嬉しそうに頷いた。彼を見た幸枝は下を向いて、手にしたクローバーを眺めながら語り出す。
「私の頼れる刀、物吉貞宗。私が傍にいない間は、あなたの仲間たちに幸運を届けてくださいね。あなたなら、きっとこれからも彼らを導くことができるでしょう」
「……主様のお望みであれば!」
物吉の返事を最後に、記憶が途切れてしまう。代わりに、PCが持っているお守りのひもがほどけた。中を覗けば、押し花になった四つ葉のクローバーが入っていた。
GMは「お守り・2」の秘密を公開してください。以上でマスターシーンは終了する。
※物吉が守ろうとしている「審神者の望み」をPCに伝えるためのシーンである。
――― × ――― × ――― × ―――
断章<昔日>に魔法戦を挑み、禁書<昔日栄華虚像>との魔法戦を想定している。禁書側に立会人はいない。
※リミットの前に魔法戦を挑んだ場合、突入ボーナスを得ることができる。
PCが名乗れば、断章たちはクローバーの押し花に集い、憑依されたそれはみるみるうちに姿を変えていく。
禁書は大きな鏡(姿見)となって現れ、鏡面には幸枝と刀剣男士たちが幸せに過ごしていた過去の記憶が、絶え間なく映し出されるのだろう。
禁書が本丸から逃げ出そうとするため、邪魔になるPCたちに襲いかかってくる。PCの前に現れて魔法戦を挑むため、禁書が先攻になる。
※ここで記した断章の【魔力】は、禁書魔法の修得による減少が含まれていない値である。そのため、魔法戦を行うときGMは減少を忘れないように調整してください。
●断章<昔日>
攻撃2 防御4 根源3 魔力5
領域:歌 特技:《時》
【双剣】 装備 P115 (書警)
【報復】 呪文 《時》 P108
【時還】 呪文 《時》 P116 (司書)
●断章<栄華>
攻撃4 防御2 根源3 魔力5
領域:星 特技:《黄金》《幻》
【黄金律】 装備 P113
【幻影】 呪文 《幻》 P109
【改竄】 呪文 なし P162 (禁書魔法)
●断章<虚像>
攻撃3 防御3 根源2 魔力6
領域:夢 特技:《追憶》
【魔剣召喚】 召喚 《追憶》 P97
【虚身】 呪文 《追憶》 P162 (禁書魔法)
●禁書<昔日栄華虚像>
攻撃4 防御4 根源3 魔力16
領域:夢 特技:《黄金》《時》《追憶》《幻》
【魔剣召喚】 召喚 《追憶》 P97
【黄金律】 装備 P113
【双剣】 装備 P115 (書警)
【報復】 呪文 《時》 P108
【幻影】 呪文 《幻》 P109
【時還】 呪文 《時》 P116 (司書)
【虚身】 呪文 《追憶》 P162 (禁書魔法)
【改竄】 呪文 なし P162 (禁書魔法)
※【時還】と【黄金律】は断章や禁書に使われることはないが、フレーバーとして持たせている。
幸枝:禁書を封印してほしい
物吉貞宗:主様(幸枝)が幸せでいてほしい
※ほかの刀剣男士をアンカーにすることは想定していないが、万が一そうなった場合、GMが適切な願いを決めて構わない(日常生活/出陣についてのちょっとした悩みがいいだろう)。
――― × ――― × ――― × ―――
禁書を封印し、呪圏を解くと、目の前の本丸は全く違う様相を呈した。建物は朽ち果て、庭や畑の植物は枯れ、動物の鳴き声も聞こえなくなり……何より、刀剣男士たちの姿がどこにも見当たらない。
過去を模した幻が消え、この場に残されたのはPCと、呆然と本丸を眺めている物吉貞宗、そして幸枝の姿を作り出した僅かな魔力の残滓だけだ。
「禁書を封印してくれて、ありがとう。私の不手際で後始末をしてもらうことになってしまって、ごめんなさい」と幸枝は申し訳なさそうにPCに謝る。
残り時間は少ないが、もしPCからなにか質問があれば幸枝は答えてくれるだろう。幸枝の消滅、及び本丸が封鎖された経緯については【背景】を参照して答えてください。
最後に、幸枝は物吉と向き合う。
「私の代わりに、ずっとみんなを導いていたんだね。ありがとう、物吉くん。でも、あなたはもう十分頑張ってくれたよ、これからは好きなように……」
「ボク、皆さんの役に立てられることが本当にうれしいんです。だから、主様、これからも、あなたの分までボクが皆さんを見守っていきますよ」
泣きながらも微笑んでそう答えた物吉に幸枝は自分が作ったお守りを持たせて、彼をぎゅっと抱きしめた。だんだんと消えていく幸枝の姿が完全にいなくなるまで、PCはしばらく二人を見守っているだろう。
※物吉が政府で働くようになった経緯も【背景】にあるので、GMがもう少しRPしたい場合はそちらをご参照ください(PLを置いてけぼりにしない程度に)。
※クローバーの押し花は禁書とともに封印されたが、手作りのお守り自体は残っている。
物吉とともに支部まで戻れば、上司が出迎えてくれる。上司は事情を聞けば、PCに労いの言葉をかけ、物吉を彼が所属している部署まで連れていく。また、禁書を引き取り大法典まで届けてくれるだろう。PCの任務はこれにて完了となる。
後日、PCが用事で時の政府支部に訪れる際、首にお守りをかけている物吉貞宗の姿を見かける。これからも彼は政府所属の刀剣男士として、同じ本丸にいた仲間たちや、PCのような味方のために力を尽くしてくれるのだろう。
※幸枝は完全に消滅したため、彼女に関する記憶はいずれ消えてしまうが、「物吉には過去に主がいた」ことと、お守りがその形見である事実は今後忘れられることはない。
セッション中以下のキャラクターをアンカーにした場合、アンカーから消去してください(疵にはならない)
・幸枝
・幸枝本丸に所属する「物吉貞宗」以外の刀剣男士
禁書はPCを本丸から追い出してしまう。力を取り戻しつつある禁書は、自らも本丸からの脱出を試みるだろう。他の本丸に被害が及ぶ前に、緊急任務として別の分科会が結成され、本丸へ派遣されることになる。
――― × ――― × ――― × ―――
メインフェイズが始まる時点で公開されたハンドアウトは「本丸」、「刀剣男士」、「審神者」の3つになる。
「刀剣男士」の秘密開示によって「物吉貞宗」が、「審神者」の秘密開示によって「お守り」が公開される。「お守り」の秘密開示によって「お守り・2」が公開される。
6年前に封鎖されたはずが、普通に稼働中の本丸と同じように見える。刀剣男士たちが生活するのに快適な環境を保っている。
【秘密】
断章〈栄華〉に憑依され、「封土」と化している。そのため、本丸の敷地内は封鎖される前の景色を見せている。
○断章<栄華>
攻撃4 防御2 根源3 魔力5
領域:星 特技:《黄金》《幻》
【黄金律】 装備 P113
【幻影】 呪文 《幻》 P109
【改竄】 呪文 なし P162 (禁書魔法)
※封土の元型はGMが決めていい。テストプレイでは「幻の乙女」を召喚した。
審神者名は「幸枝(ゆきえ)」。6年前、時間遡行軍の襲撃により命を落としたとされている。
【秘密】
幸枝は魔法使いだった。6年前、彼女は遡行軍ではなく、禁書に敗れて消滅した。魔法使いの消滅とともに本丸に関する記録が改ざんされたため、今や真相を覚えている人はいない。
ここにいる審神者は霊力も魔力も持たず、幸枝の姿と記憶を写しただけの存在であり、幻である。しかし、彼女が持つお守りからは幸枝の霊力と魔力を検知できたようだ。
○ハンドアウト「お守り」を公開する。
――― × ――― × ――― × ―――
※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。
審神者PC向けシナリオ、本作で3作目になります。過去のシナリオはPCの本丸に所属する刀剣男士が直接関わっていた話ですが、今回はよその本丸の調査なので、刀剣男士PCも参加可能となりました。楽しんでいただけたら幸いです。
振り返ってみれば、このシナリオを思いついたのは2020年9月でした。色々影響は受けましたが、「魔法使いの消滅」に関するシナリオを多く遊んだことによって、自分なりにこのテーマを料理したくなったのが大きいと思います。魔法使いが消滅すると、その存在が記された資料も忘れられてしまう。防ぐためには手ずから記述を消さなければならない、という事実を考えれば考えるほど悲しくなるし、せめてものの救いが欲しいとつい思ってしまうんですよね。だからこのシナリオはある意味「私なりに考えた『救い』の形」とも言えます。それに刀剣男士は人間とはまた違う存在だから、アンカーよりももっと強い、例えば霊力によるつながりがもしあれば……などを考えると夢が広がりますね。大団円ではないかもしれませんが、この結末をお気に召していただけたら嬉しいです。
あとは、「先行調査員」というコンセプトをくれたとうらぶ公式さんにも感謝です。おかげさまでこのシナリオが形になりました。特命調査、いいイベントでしたね…。
ちなみにタイトルですが、白詰草(クローバー)は物吉くんの象徴、と見せかけて押し花(に残された幸枝の想い)というちょっとしたミスリードを入れてみました。ただ完成してみたら物吉くんを指してもある意味は合っているな~と思ったので、どちらかというとダブルミーニングのが正しいかもしれませんね。
さて、ここからはシナリオとは直接に関係のない話ですが、テストプレイの際にぜひあとがきに!と言われたので、幸枝本丸の裏話を少々。二次創作が苦手な方はここでお別れにしたほうが良いでしょう。ここまでお読みいただきありがとうございました!
PCが本丸に訪れた際に出迎えてくれる刀剣男士、刃選は変更可能ですが、デフォルトは初期刀の蜂須賀さんと(実は)初鍛刀の五虎退くんになっています。近侍じゃなくても、やはり初期の二振りには本丸の要でいてほしいという個人的な希望でした。そして、この設定は元々私が創作で書こうとしている別本丸から借りています。そちらは審神者が動物に異様に好かれていて、本丸の古参メンバーが全員名前に動物が入っているという本丸でした。幸枝とは全く別の審神者ですが、話のネタを思いつかないので実質書いたことがなく、設定のみずっと存在していました。今回シナリオを書くにあたって、せっかくだから設定だけでも日の目を見せようと、そのまま採用しました。いつか創作のほうも書けたらいいな…。