魔道書大戦RPG マギカロギア
人数:1人
レギュレーション:基本ルールブック(大判)使用
推奨PC:第4階梯(初期作成非推奨)
難易度:やや難しい(経験者向け)
※本シナリオは特殊ルールを採用しており、「リミット」は適用されません。
また、自由度の低い一本道な作りになっております。
「我が子よ、勇気を持って前へ進むといい」
星空に囲まれた部屋で、あなたはその言葉で眠りから目覚めた――。
経歴:外典は非推奨。
また、蔵書を装備魔法で固める、あるいはコストが一種類の領域に偏るような組み方はおすすめしない。
新規作成の場合、功績点15点を配布して第4階梯で作成し、運命1点のアンカーを1人追加してください。
本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社アークライト」「株式会社新紀元社」が権利を有する『魔道書大戦RPG マギカロギア』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/アークライト/新紀元社
本作を遊ぶのにマギカロギアの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。
※この先はGMする方のみ読み進めてください。
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禁書<勇敢なる叡智の凱旋>は、ギリシャ神話に伝わる英雄「ペルセウス」の一生を記していた書籍だった。大破壊の後、その力を借りようとした書籍卿が禁書を捕まえたのだが、禁書は自らの意思で逃げ出した。
禁書は小さいながらも異境を作る力を持っている。自身の物語を模して作った異境に魔法使いを招き入れて、禁書は自分を御するのに相応しい主を探していた。しかしそううまく行くはずもなく、幾人もの魔法使いを喰らい、禁書は今日もさまよい続けている。
そしてとうとう、魔法使いであるPCがその次の狙いとなった――。
※ギリシア神話においてのペルセウスの物語にはいくつものパターンがあるが、ここではその中の一つを採用した上で、シナリオに合わせて独自に改変している。
なし。ハンドアウトの内容にシーン描写も含まれているので、GMが必要と感じた場合はそれに合わせて描写を追加しても構わない。
通常の運命変転表を使う。
断章たちは誰かに憑依しているわけではないので、このシナリオには適用しない。
世界法則:不干渉、魔素濃密、復活支援
禁書が自身に記された物語を模して作り出した異境。迷い込んだ人に物語にある風景を見せている。
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「我が子よ、勇気を持って前へ進むといい」
その声を耳にして、PCは目覚めた。目の前にあるのは見知らぬ部屋で、壁には星空が描かれている。上を見ればそこには天井がなく、漆黒の空から黄金の雨が降り注いでいる。
PCは自分のことも普段の生活も覚えているが、どうやってこの部屋に来たのか、意識を失う直前の記憶を思い出せない。
しかし魔法使いであるPCは、この空間のいたるところに魔法の気配を感じ取る。常人の世界と比べてかなり異質であり……一種の異境ではないかと考えられる。
黄金の雨はすぐに止み、何もなかった壁にはいつの間にか一つの扉が現れている。
PCが扉を調べるのなら、特に仕掛けは施されていないが、扉の向こう、遙か先に何か魔法的な存在がいることに気づく。ただし、それにたどり着くまでにいくつもの障害を乗り越えなければならないようだ。
だが、他に道がない以上、PCは進まなければずっとこの世界に囚われたままになってしまうだろう。
PCが扉を開けると、風が吹き荒む音を耳にしながら、視界が白く染まっていく。
PCに魔力を決めてもらい、シナリオアンカーとして「謎の声」(最初にPCが聞こえた声)を追加してください。推奨する属性は、PCが声に対して好奇心を持つなら「興味」、警戒するなら「宿敵」である。
PCの使命は【この異境から脱出する】になる。
以上の準備を終えたら、メインフェイズへ進んでください。
※導入では、禁書がゼウスのセリフを話し、ペルセウスが誕生したときの話を再現しようとしている。
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メインフェイズ開始時、この項目の内容をPLに伝えてください。
・メインフェイズ開始の時点で、PCは好きな魔素を1点獲得できる。
・PCは現在、知らない異境に閉じ込められている。この異境の世界法則は以下の通り
【不干渉】【魔素濃密】【復活支援】
・この異境は25のエリアに分けられている。それぞれのエリアに対応するハンドアウトがある。PCがエリアに到達すれば、判定なしで対応するハンドアウトが開示される。
・この異境では魔法による妨害があるため、PCが移動するのにコストを支払って、「移動判定」を行う必要がある。なお、すでに通過したエリアには戻れなくなるため、この移動は一本道になる。
・「移動判定」は、魔法戦の最中以外はいつでも行うことができる。
・「移動判定」を行うたびに、コストとして以下のいずれかを支払い、指示通りに判定する
1)魔素1点→2D6で判定する
2)魔素3点→1D6+7で判定する
3)【魔力】1点(【一時的魔力】は不可)→2D6で判定する
・「移動判定」の出目は「行動可能回数」に加算される。「行動可能回数」はメインフェイズ開始時点では0点である。回数を1点を消費するたびに1エリア前進できる。
・「移動判定」を2D6で行う場合のみ、一般の判定同様ゾロ目で魔素が発生する(魔素濃密の効果も適用される)
・魔法戦が発生しないエリアでは、ドラマシーンにできる手番を消費しない行動は自由に行える(ドラマシーンで使える魔法については同名の魔法の場合、エリア毎ではなく、次の魔法戦が発生するまで1回のみ使用できる)
・魔法戦が発生したエリアは、戦闘シーンとして扱う
ハンドアウトに番号が振ってあるので、PCがエリアを移動するたびに番号順でハンドアウトを開示し、書かれた処理を行ってください。
ハンドアウトに書かれた判定はすべて通常通り、魂の特技で代用することができる。また、判定を放棄することもできるが、ペナルティーが発生する場合もある(その処理もハンドアウトに書かれてある)。
スタート地点にはハンドアウトがないので0番とみなし、メインフェイズの開始時(「行動可能回数」を消費して)最初のエリアに移動し、1番のハンドアウトから開示していってください。
簡単に言えば、途中のマスの効果もすべて発動されるすごろくである。
クリア報酬に関わるので、GMは移動判定を行った回数を記録してください。
行動可能回数が0になる前でも移動判定を行えるが、必要であれば「移動判定を行った回数はクリア報酬に関係する」とPLに教えても構わない。
最後(25番)のハンドアウトは禁書戦に関するもので、開示された時点でクライマックスフェイズに突入する。残りの行動可能回数に関わらず、勝利すれば異境から脱出できる(【エピローグ】へ)。
GMは、24番のハンドアウトが開示されたあと、「魔法の気配が一層強くなったと感じる」などの描写を挟んで、禁書の存在を匂わせてもいい。PCが万全な状態でなければ、回復や手当などを提案してみてください。
メインフェイズ中、PCが移動しない・出口を探さない(できない)など「リタイア」を宣言した場合、即座にセッションを終了し、エピローグに移行する。
PCは永遠に禁書が作り出した世界の中で彷徨い、やがて消耗し、自分自身の存在が世界と同化していくことを感じる。PCロスト。
※出口にたどり着けば異境から脱出できる。この禁書に「喰らわれる」魔法使いはリタイアしたもののみである。
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シーン描写は25番目のハンドアウトの通り。禁書<勇敢なる叡智の凱旋>はギリシア神話の主神である「ゼウス」の姿でPCの前に現れる(古代ギリシャの彫像のような見た目を想像すれば描写しやすいかもしれない)。
編纂ではないが、禁書が自分に相応しい主を探しているため、「ゼウス」に勝利すれば禁書は元の姿に戻り、PCに従うようになる。
『幸せの運び手』を倒せずにクライマックスフェイズが始まった場合、彼は姿を現し、PCたちと魔法戦を行う。分科会を分断して同時に戦うことになるだろう。その際どのように分断するかはGMとPLが相談して決めてください。
なお、村井を倒したが捕縛できなかった場合、彼はそのまま逃げてしまうので、クライマックスに現れることはない。
※禁書魔法の修得による断章の魔力軽減を忘れないようにご注意ください。
○断章<勇敢>
攻撃5 防御3 根源4 魔力5
領域:獣 特技:《牙》《波》
【武勇】 呪文 なし P103
【咬傷】 呪文 《牙》 P106
○断章<叡智>
攻撃4 防御3 根源3 魔力6
領域:星 特技:《静寂》《謎》
【沈黙】 呪文 《静寂》 P104
【妖革】 装備 P165 (禁書魔法)
○断章<凱旋>
攻撃4 防御4 根源4 魔力6
領域:歌 特技:《物語》《別れ》
【軍団召喚】 召喚 《物語》 P98
【送別】 呪文 《別れ》 P108
【凶兆】 装備 P164 (禁書魔法)
○禁書<勇敢なる叡智の凱旋>
攻撃5 防御4 根源4 魔力17
領域:歌 特技:《静寂》《牙》《波》《物語》《別れ》《謎》
【軍団召喚】 召喚 《物語》 P98
【武勇】 呪文 なし P103
【沈黙】 呪文 《静寂》 P104
【咬傷】 呪文 《牙》 P106
【送別】 呪文 《別れ》 P108
【凶兆】 装備 P164 (禁書魔法)
【妖革】 装備 P165 (禁書魔法)
謎の声(禁書):この地での試練を乗り越えられる魔法使いに出会いたい
※PCが禁書戦に勝った時点でこの願いは達成されたと見なす。
※他のNPCと運命を結ぶことは想定していないが、想定外の処理はGM判断に任せる。
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「ゼウス」に勝てば、その姿は消え、代わりに元の禁書がPCの手に収まる。
「見事だ。その実力があれば、我が主として申し分ないだろう」
「ようやく見つけたな……」
この言葉を最後に、PCの視界は真っ白に染まり、やがて意識を失う。
再び目覚めると、そこは見慣れた自室だった(またはPCがよく訪れる場所)。そういえば元々くつろいでいたのを思い出し、ふと手元に視線を落とせば、今さっき回収した禁書がそこにあった。
禁書の処遇はPCに任せる。大法典に渡したとしても、気づけばPCの元に戻ってくるため、大法典も諦めて「力を悪用しなければ所有していても構わない」との許しが出るだろう(PCが禁書のアンカーを消しても変わらないし、消したからといって制御不能になることもないので自由に決めていい)。
「期待外れだったか……」
「ゼウス」の言葉を最後に、PCの視界は真っ白に染まり、やがて意識を失う。
再び目覚めると、そこは見慣れた自室だった(またはPCがよく訪れる場所)。そういえば元々くつろいでいたのを思い出したが、いつの間にか寝てしまったのだろうか。とても長い冒険の夢を見た気がする。
魔法の残滓のようなものが残っているのを、PCは感じ取ることができるが、今までのことは現実なのか、はたまた夢の出来事なのか、もはや判別するすべがなかった。
※禁書戦に負けたPCを現実世界に帰すが、主としては相応しくないと判断した禁書はそのまま次の候補を探すべく姿を消した。
※PCが死亡から復活できなかった場合、現実世界に帰されてから消滅することになるので、禁書に「喰らわれる」ことはない。
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ルルブにある獲得条件の通りに功績点を配布し、その上移動判定を行った回数に応じて、以下の報酬を渡してください。
2回:功績点2点 + 魔貨5点
3回:功績点1点 + 魔貨5点もしくは功績点1点(選択可能)
4~5回:魔貨5点もしくは功績点1点(選択可能)
6~7回:魔貨3点
8回以上:なし
シナリオアンカーの「謎の声」を維持する場合、「禁書〈勇敢なる叡智の凱旋〉」に書き換えてください。
また、セッション中でアンカーを増やすことを想定していないが、万が一増やした場合はすべて消去してください。NPCも禁書の一部なので、アンカーとして残せるのは禁書のみです。
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※から始まる部分はGM情報です。
「俺を止めたいってか?……はは、そうだな、メドゥーサの首を持ってきてくれたらいいぜ!」
その声に目を開けると、あなたは荒れ果てた平原の真ん中に立っていた。周りには大小さまざまな石が落ちており、動植物はどこにも見当たらない。
あなたは「メドゥーサ」を知っている。それは美しい女性であったが、神の怒りに触れ、醜い姿に変えられた上に、髪の毛をすべて生きた蛇にされた。彼女の目を直接見た人間は、たちまち石になってしまう。
あなたはメドゥーサを倒さなければならないようだ。この道の先に、あなたの手助けになるものを見つけられるかもしれない。
「メドゥーサ退治か……冥王ハデスの力を借りたいというのなら、その資格があることを証明しろ」
西洋風の兜があなたの目の前に現れた。それを身につけることができれば、敵から察知されにくくなる。しかし、あなたの実力を示さなければ、兜を手に入れることができないようだ。
あなたは好きな特技で判定を行うことができる。成功すれば、あなたはこのセッション中、判定の結果を一度振り直すことができる(移動判定には適用しない)。失敗、または判定しないのなら、「病魔」の変調を受けてしまう。
近くまで来たあなたに、鎖で括りつけられた女性が話しかける。
「私はアンドロメダと言います。母が海神ポセイドン様を怒らせたため、海獣ケートスが送られてきて、この地に襲いかかろうとしています。その怒りを鎮めるために、私は生贄として差し出されたのですが……勝手なお願いではありますが、どうか、助けていただけないでしょうか……!」
恐怖に震える彼女の言葉から、あなたは海から近づく影の正体を知る。同時に、海獣から強烈な魔法の気配を感じる。どうやら先へ進むために、海獣ケートスとの対峙は避けられないようだ。
陸地と海の境界には、波に引き寄せられたかのように魔素が多く発生しているようだ。
あなたは以下の行動から一つだけ選び、実行できる。
1)好きな魔素を1点獲得する。
2)調律を行う。
まるで巨大化された蛇のような体を持ち、しかし蛇より大きな頭にある口を覗けば、鋭い牙がずらりと並んでいて、体から生えた前足には爪がついている。クジラのような尾ひれを持つ異形はあなたやアンドロメダを飲み込もうとする。
しかしあなたにはわかる。メドゥーサと同じように、どうやら目の前の脅威も禁書の一部のようだ。
魔法戦でケートスに勝利すれば、断章<勇敢>を入手できる。
○断章<勇敢>
攻撃5 防御3 根源4 魔力5
領域:獣 特技:《牙》《波》
【武勇】 呪文 なし P103
【咬傷】 呪文 《牙》 P106
※メドゥーサ戦同様、「ケートスの姿を取る断章」であるため、断章戦として処理する。
ケートスの姿が消え失せ、どうやら危険は去ったようだ。
「あなたが来てくれたおかげで、私は今もこうして生きていられます。この御恩を返すためにも、ぜひあなたの旅にお供させてくださいませ」
アンドロメダが縛られていた鎖もいつの間にか消えていた。彼女の力はきっとこの先へ進むための助けになるだろう。
あなたはアンドロメダを同行者にすることができる。その場合、彼女は次の魔法戦で立会人として参加してくれる(PLは自分の防御ステップで1D6を振り、出目を立会人のプロットとして扱う)。
※魔法戦以外でアンドロメダがPCを助けることはないが、同行する場合、PCの話し相手になっても構わない。RPで話しかけたらGMが必要に応じて返事するといいだろう(なお、このあと出てくる競技場そのものについては、彼女は知識こそあるが、試合に関しては何も知らない)。
渡された円盤は石製でずっしりと重い物だった。上手に投げるためには技術が必要だ。
あなたは好きな特技で判定を行うことができる。成功すれば、円盤投げのコツを会得する。失敗、または判定しないのなら、うまく投げられず自分の腕を痛めてしまい、【魔力】が2点減少する。
いよいよ試合が始まる。あなたが投げた円盤はまっすぐに飛んで行ったが、その軌道の先に突然人影が現れた!衝突は免れないようだが……?
人影から魔法の気配がして、この場に魔法の力が充満していく。あなたは1D6を振り、出目に対応した領域の魔素を獲得できる。
扉をくぐると、あなたは目覚めたときにいた、星空が描かれた部屋に戻ってくる。すると、今まで出会った3つの断章が飛び出し、集まったそれらの姿が再構築される。宙に浮いているそれは、競技場にいた人々と似た服装を着ている。雷の槍を持ち、並々ならぬ威圧感を放っている壮年の男性だ。
「真に英雄になれるもの……我が主として相応しいかどうか、見定めてもらうとするか」
聞き覚えのある声は、この空間に来てからずっと導いてくれたものだった。彼こそが空間全体を支配しているものであり、禁書であることをあなたは理解するだろう。
魔法戦で「全知全能の神」ゼウスに勝利すれば、禁書<勇敢なる叡智の凱旋>を入手し、この異境から脱出できる。
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※読まなくてもシナリオを回せます。
ギリシア神話オマージュシナリオ、今作で3作目となります(前の2作はCoCです)。ペルセウスの武勇伝は私がギリシア神話の中で一番好きな話と言っても過言ではなく、以前からこれをテーマにしたシナリオを書きたいと思っていました。当初からマギカロギアにしたいと構想はあったものの、出来事の起きる順序が既に定まっている神話をハンドアウトに落とし込むことが困難だったので、シナリオ作りは難航していました。
そうして暫く経って、2018年10月、ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」にてイベント「特命調査 聚楽第」が実装され、サイコロを振って進められるマスの数が決まるというシステムはマギカロギアにも採用できるのではないか?とインスピレーションを受けました。はじめは新しく書き始めるシナリオに使えたらいいな、と思っていたのですが、あるとき、「前に書きたかったギリシア神話のシナリオと融合できるのでは?」と気づき、「謳われし神勅」が誕生しました。
製作するのに時間がかかり、気づけば「聚楽第」も2回目が終わって、「特命調査」もまた進化を遂げていきましたが、シナリオもようやく完成し、無事テストプレイも出来ました。この場を借りてシナリオを書くきっかけになってくれたことに感謝したいと思います。特に移動判定の部分はゲームのシステムをそのままお借りしているようなものなので、おかげ様でやりたかったことをようやく形にできたと思います。
最後に。星座にもなっているギリシア神話はいいぞ!少しでも興味を持ってくれたら、またシナリオを楽しんでいただけたら幸いです。
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※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。
シナリオの製作経緯はあとがきに書きましたので、ここでは初期の構想について書いていきたいと思います。
あとがきでも少し触れましたが、当初はハンドアウトの出し方について本当に悩みました。現在のシナリオも断章の回収を一区切りとし、大まかに3パート+クライマックスの構成になっていますが、当初はメインフェイズをおおよそ9シーンにして3パートに分ける、なども考えました。
3パートに分けるのなら1パートは3シーンで、パートごとに調べられるHOが変わり、公開済みのHOでも次のパートに入れば調べられなくなる仕組みにしようかと。これで3つの話(メドゥーサ、ケートス、アクリシオス)を順番通り辿ってもらえます。1パートに調べられるHOを3枚にし、うち一つはダミーで、他は回復したりお助けアイテムを獲得できるようにしたり、最後の一枚で断章の情報を出せたらシナリオとしては一応成立します。
しかしその場合、正解のHOを調べなかったら断章の処理をどうすべきか、また場合によっては神話と違う展開になるのもあり得るが、そうなるモチーフにした意味はあるのか?と悩みました。更に、パートが変わるタイミング(タイムリミット)をPLにどう伝えるかというのも難しいし、微妙に自由度を制限してしまうのも……と色々考えているうちにお蔵入りになりました。まあ今のシナリオは自由度を完全に捨てましたが。中途半端に残すならいっそう捨てるかと思いきった結果になりましたね。
ちなみにHOの内容は(ダミーの部分は消しましたが)今のシナリオに引き継がれていて、メドゥーサのところでは盾やサンダルをもらったり、ケートスのところではアンドロメダが助力してくれたり、アクリシオスのところでは予言の話をしたり、と当時の構想を入れることができたので、ある程度プロットを残してよかったなーと思いました。
最後に、ある意味関係のない話ですが、ペルセウスの神話って王道英雄譚な感じがして好きですよね。ギリシャ神話は血みどろな恋愛話や戦争も多いので……まあペルセウスもそんな話を経て生まれた半神なわけですが。(大体ゼウスのせい)