マルチジャンル・ホラーRPG インセイン

さよならを言いにきた

Pixiv版(内容はこのページと同じ)
Twitter発【同じシナリオタイトルでシナリオ書こうぜ企画】に参加する作品です。

◆概要

舞台:時代、国ともに任意(海があればOK)
プレイヤー人数:1人
リミット:3サイクル
狂気カード:4枚
タイプ:特殊型
レギュレーション:基本ルルブのみ
※ホラー要素がほぼありません
※とある有名な話のパロディーです


●トレーラー

海を背に立つ彼女は微笑みを浮かべ、
「久しぶり。…さよならを言いに来たよ」
優しい声色が紡いだ別れの言葉は、
波音にかき消され海に溶けていった。


●PCハンドアウト

あなたは夢を見た。暫く会っていない友人が、「さよなら」と別れを告げる夢だ。
ただの夢のはずなのに、なぜだか胸騒ぎがする。
あなたの【使命】は、友人の話を聞きに行くことだ。





本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社新紀元社」が権利を有する『マルチジャンル・ホラーRPG インセイン』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/新紀元社

本作を遊ぶのにインセインの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。

この先はGMする方のみ読み進めてください。




――― × ――― × ――― × ―――

◆背景

昔、あるお転婆な人魚は地上に住む人間に好奇心を持ち、深海に住む魔女に頼み熱帯魚になる魔法をかけてもらった。町の近くにまで遊びに来た彼女は、しかし誤って波にさらわれ、砂浜に打ち上げられて身動きが取れなくなった。このままでは命さえ落としかねない、と恐怖に震えていたところに、PCが現れたのだ。

熱帯魚姿の彼女に気づいたPCは、優しさからか、はたまた単なる気まぐれなのか、彼女を海に戻した。助けられた人魚は無事住処まで戻れたものの、どうしても恩返しをしたくて、再び町へ向かった。だが町にたどり着いたころには、PCは既に引っ越していた。

人間の世界に疎い人魚にとって、PCを探し出すのは非常に困難なことであり、相当な時間を要した。それでも諦めず、ようやくPCを見つけた彼女はまた魔女を訪ねた――今度は「人間になる」ために。こうして「海野詩帆」はPCと出会い、友人となり、PCが困ったときに必ず助けの手を差し伸べるようになった。

だが魔法の力には限界がある。魔法の力が尽きたとき、彼女は本当の姿に戻り、海へと帰らなければならない。時限が迫ってきていることに気づいた詩帆はPCと連絡を取らなくなった。そのまま姿を消すつもりだったが、最後に一言「さよなら」と言いたくて、夢を介してPCに別れを告げたのであった。

※このシナリオは人魚姫や日本のお伽噺によくある「恩返し」のテーマを参考にしたパロディーである。

◆PCハンドアウト

PC1

あなたは夢を見た。暫く会っていない友人が、「さよなら」と別れを告げる夢だ。
ただの夢のはずなのに、なぜだか胸騒ぎがする。
あなたの【使命】は、友人の話を聞きに行くことだ。

【秘密】
あなたは小さい頃海辺の町に住んでいたが、引っ越してからもう幾年も過ぎた。
友人と共に町を訪れたことはないはずが、夢で見た海は確かに昔、毎日のように見ていたあの景色だった。
あなたの本当の【使命】は、「友人が海辺の町にいる」理由を解明することだ。

◆NPCについて

PCハンドアウトを配るときに以下の情報も一緒に渡してください。また、GM裁量でNPCの名前や他の設定を変更・追加しても構わない。特に、PCとNPCが出会ってからの設定はRPの指針に関わる可能性が大きいため、ある程度相談して(GMが処理できる且つシナリオと矛盾しない範囲で)PLの希望を取り入るのがいいだろう。

●海野詩帆

PCが海辺の町から引っ越したあとに知り合った友人。困ったことがあれば必ず助けてくれるし、これまで何度も手を差し伸べてくれていた。現在PCの住む町と同じ町に住んでいるはずだが、ここ最近(1か月以上)見かけることも、電話などで連絡してくることもない。

◆シーン表(1D6)

1:雲間から差し込む日差しが海に反射され、キラキラと光っている。
2:吹き抜ける潮風の涼しさに、言い知れない寂しさを感じた。
3:近くに誰も居らず、押し寄せる波の音だけが聞こえてくる。
4:静寂を破るように、飛び去るカモメの鳴き声が浜辺に響く。
5:海からイルカが顔を覗かせている……この海域にイルカが棲息していないはずだが。
6:水平線の向こうに一瞬、西洋の城のような影が見えた気がするが…。

◆狂気カード

4枚使用。ランダムで選出しても構わない。
例:依存、広がる恐怖、パニック、恐怖症
※あくまで一例であって、ほかの狂気カードを使っても構わない。




――― × ――― × ――― × ―――

◆展開


●導入フェイズ

※以下の文章はそのまま描写として使えます。
※導入を含め、以降全ての描写をGMが展開に合わせて改変して構わない。


潮騒の音が静寂を破る。
目の前に懐かしい景色が広がる。昔住んでいた町、家から歩いてすぐのところにある浜辺。よく訪れていた場所だから、見間違えるはずもない。
海を背に一人、あなたの前に佇む女性がいる。
あなたは彼女を知っている。最近会っていないが、この町から引っ越したあとに出会った友人の海野詩帆だ。
……町にいた間に彼女と出会ったことはなく、町のことを彼女に詳しく話したこともなかった。なのにどうして彼女がここにいるのか。
不思議に思ったそのとき、詩帆が口を開いた。
「久しぶり。…さよならを言いに来たよ」

はっとしてあなたは目覚めた。視界に映るのは自分の部屋で、あなたは自分のベッドの上にいた。
どうやら、今まで見ていたのは夢だったようだ。
……だが、妙な胸騒ぎを覚える。
なぜ、別れを告げられる夢を見たのか。なぜ、彼女があの町いるのか。
あの海に向かえば、答えを手に入れられるのだろうか。
単なる漠然とした予感だった。しかし、そうに違いないとあなたはどこかで確信する。
彼女に会いに海へ向かおう――そう思ってあなたは出発した。

電車を乗り継いで(または車を運転して)あなたは目的地にたどり着いた。少し変わっていた町とは対照的に、浜辺の景色は記憶にあるままだ。
静かで人気のない場所。だからこそ、瞬時に見つけることができただろう――海を眺めている、海野詩帆の姿を。

(描写終わり)

PCが海野詩帆を見つけたところで導入は終了する。GMは「海野詩帆」のハンドアウトを公開してください。
※詩帆の名前を変えた場合、ハンドアウトの名前も変更してください。



●メインフェイズ


○ゾーキングに関して
ゾーキングによって開示される重要な情報はない。
海辺の景色をGMがある程度自由に描写して構わない。町の住民だけがたまに訪れる、汚染されていないきれいな海辺であることを想定している。
以下、テストプレイのときに質問されたことをいくつか記載しておくが、GMが設定を変えても構わない。

・登場キャラクターについて
詩帆に特別な身分や役職などはない、ただの普通の人魚である。魔女も言うなれば普通の店主といった立場である。

・詩帆が浜辺にいる理由
魔法をかけてもらったとき町へ行くことを家族や友人に告げたので、浜辺まで送ってもらっており、帰りも浜辺に道を繋げてもらうのでここで待っている。

・魔法をかけてもらう代償
金貨だったり、魔法研究の手伝いだったり、魔女から「料金」が提示される。

・魔法の期限
姿を変える魔法に限らず、基本的に永続するものはない。詩帆がかけられた魔法は確実な期限はわからなかった(熱帯魚のときもそうだが、いつもは期限になる前に魔法を解いてもらうため)。

・シーン表5番のイルカ
詩帆の友人である。【END:祝福をさよならの言葉に乗せて】に出てくるイルカと同じ。


○海野詩帆の調査
GMは適したタイミングで以下の描写を挟んでください。もしPCが詩帆に話しかけなくても、秘密が公開される前に彼女は必ずPCの存在に気づく。以下の描写を挟んでから秘密を公開してください(詩帆が続けて秘密をPCに話したことにすればスムーズに進行できる)。
(詩帆がPCに気づいたときの描写)
「あれ……どうして、ここに?」
振り向いた詩帆はあなたに気づいて、目を見張るが、すぐに苦笑を浮かべる。
「さよならは直接言って、ってことかな?」
「本当はもう会うつもりはなかったけれど……ここまで来てくれたものね。少し、話をしましょうか」
(描写終わり)


○海野詩帆の行動
詩帆が持っているお守りの使用は、彼女の秘密が公開され、且つPCに感情を結んだ以降のみ可能である。使用するかどうか、またいつ使用するかはPCが決めていい。
感情修正はルール通りであれば、PCが望めば使ってくれる。詩帆のステータスは詳しく決まっていないが、正気度や生命力の消費は問題なくできることとする。


○マスターシーン「人魚の恩返し」
「海野詩帆」の秘密が公開されたら、このシーンが発生する。
PCの目の前にいる詩帆が一瞬違った姿に見える。上半身はそのままだが、下半身は両足の代わりに魚の尾びれになっていた。
その姿はすぐに幻のように消え、普通の人間の姿に戻ったが、恐らく今のが彼女の「人魚」としての本当の姿だろうとPCは察する。
「驚かせてしまったのかな?……今のが本来の私よ」
「魔法の力が消えたら、人魚に戻って……そしたらもうここにはいられないから、さよならって言いたくて」
「力がいつ消えるのかわからなくて、だから夢にだけお邪魔するつもりだったのにね」
詩帆は、深海に住む魔女に頼み、魔法をかけてもらい人間になったという。そうした理由も彼女は語ってくれる。GMは【背景】の項目を参考に情報を開示してください。
「今度こそ、お別れだね。最後に会えて嬉しかったよ」
あとは静かに時が来るのを待つだけ、と詩帆は海を眺めながら告げる。
GMはシーンの最後に「人魚」と「魔法」のハンドアウトを公開してください。



●クライマックスフェイズ

「海野詩帆」の秘密を獲得できなかった場合、クライマックスを行わず、直接エンディングに移行してください。
秘密を獲得した場合、(必要ならば)以下の描写を挟んでからPCの行動を尋ねてください。

(詩帆がさよならを告げる描写)
「そろそろ時間だね……海へ帰らないと」
「二度目になっちゃったけど……さよなら」
詩帆は少し名残惜しそうにあなたを一瞥して、海へ向かって歩き出す。
海に視線を移せば、遠い地平線の向こうに西洋の城のような影が見える。この城こそが彼女が戻るべき場所だろう、と瞬時に理解する。
(描写終わり)

ここでPCが儀式「甦る魔法の力」を行う場合、戦闘と同じようにラウンド処理を行う。
儀式を行わない・できない場合は、エンディングに移行する。


○ラウンド処理について
便宜上戦闘と同じように処理する。1ラウンドごとに儀式の手順を1つ行うことができる。
エネミーがいないため、速度プロットはPC側も含めて省略する。


○海野詩帆の行動
メインフェイズ同様、PCの要請によってお守りや感情修正を行うことができる。それ以外は行動しない。


○終了条件
1)「甦る魔法の力」の儀式に成功した
2)PCの生命力が0になった

※儀式の途中で諦める場合は「儀式を行わない」として扱い、エンディングに移行してください。



●エンディング

※エンディングに関わらず、詩帆のRPはPCに合わせてください。展開によってはPCと離れがたくて残りたいと思うことも、生まれ故郷の海へ帰りたいと思うこともありえる。それでも、エンディングはPCの行動によって決まる。


○「甦る魔法の力」の儀式に成功した
あなたは自分自身の持つ全ての「力」を用いて、魔法を甦らせようとした。
体から力が抜けていくのを感じる。それが集約し迸る光となり、詩帆を包むようにして降り注ぐ。
光が収まると、詩帆が不思議そうに自分の両足を見つめているだろう。
「魔法の力が……戻った?」
彼女の呟きを聞いて、あなたはどうやら賭けに成功したと気づく。
いつかまた魔法が切れてしまうかもしれない。だが、少なくとも数年は、詩帆は人間として生活することができる。それまでは、二人はまた以前のように、一緒に過ごすことができるだろう。
【END:さよならはもういらない】

○PCの生命力が0になった
あなたは自分自身の持つ全ての「力」を用いて、魔法を甦らせようとした。
しかし、足りなかった。魔法は今にも消えそうになり、あなたもまた力を使い果たした。
意識を保つことすら困難で、暗転する視界に最後に捉えたのは、涙を流しながらあなたの名前を呼ぶ詩帆の姿だった。
再び目が覚めたとき、あなたは病院のベッドの上にいた。浜辺で倒れているところ発見され、運び込まれたらしい。
周りには駆けつけてくれた家族がいるかもしれない。しかし詩帆はどこにも見当たらず、彼女のことを知っている人は誰一人いなかった。
彼女は無事住処に戻れたのだろうか――あなたにはそれを確認する術はない。
もう二度と、彼女と会えないのだから。
【END:せめてさよならを言えたら】

○儀式判定をできない・しない
あなたと話していた詩帆はふと、海のほうに振り向く。
「そろそろ時間みたいだね……今度こそお別れかな」
「友達が迎えに来てくれたの、だから心配ないわ」
海に目を向けると、遠くに一頭のイルカが泳いでいるのが見える。甲高い鳴き声は、まるでこちらに話しかけているように聞こえる。
詩帆もゆっくりと海へ歩いていく。波打ち際で彼女は振り返って、つぶやく。
「さよなら……今までありがとう」
別れの挨拶を交わすと、あなたは一瞬眩暈を覚えた。
歪んだ視界が元に戻った頃、彼女は既にいなくなり、代わりに「誰か」がイルカと寄り添うように泳いでいった。
「海野詩帆」と二度と会うことはないだろう。どこかで確信を持ったあなたは、遠のく影たちを見送った。
【END:祝福をさよならの言葉に乗せて】

○海野詩帆の秘密を獲得できなかった
あなたと話していた詩帆はふと、海のほうを振り向く。
「そろそろ時間みたいだね……今度こそお別れかな」
「さよなら。直接に伝えられて嬉しかったよ。今までありがとう」
それ以上語るつもりはないのか、彼女はただ穏やかに微笑んで別れを告げた。
そして、あなたは唐突な眩暈に襲われた。
歪んだ視界は瞬く間に元に戻ったが、目の前にいた詩帆の姿は、もうどこにもない。
……それ以降、いくら探しても彼女を見つけることはできなかった。まるで、最初から存在しなかったかのように。
あなたはどこかで確信を持った――「海野詩帆」と二度と会うことはないだろう、と。
【END:さよならを言いにきた】




――― × ――― × ――― × ―――

◆ハンドアウト

●海野詩帆

あなたの友人。ここ最近連絡を取っていない。
出会って以来、悩みや困ったことがあるたび彼女は必ず助けてくれていた。
【秘密】
ショック:PC1
彼女は人間ではなく、お伽噺に出てくるような姿をした人魚だった。
今まで魔法の力で人間の姿に変化していたが、その魔法ももうすぐ尽きてしまう。
《民俗学》で恐怖判定を行う。
○PCは海野詩帆と互いに感情を獲得できる。
○海野詩帆はお守りを1個所持しており、感情を結んだ相手に使用できる。
○マスターシーン「人魚の恩返し」が発生する。

※詩帆からPCへの感情はプラスで固定。内容はランダムで大丈夫だが、PCに合わせてGMが決めても構わない。

●人魚

上半身は人間、下半身は魚の尾びれの生き物。
お伽噺に登場する架空の生物、のはずだが…。
【秘密】
ショック:なし
人魚の姿のまま、地上で生活することはできない。
無理やり引き止めれば人魚は死んでしまうだろう。
人間の姿を保てる方法があれば、話は別だが。

●魔法

人魚を人間の姿に変化させる力。
尽きてしまえば、人間の姿を保てなくなる。
【秘密】
ショック:なし
消えかかっている魔法の力を取り戻す方法がある。
だがそれには代償が必要で、必ず成功するとは限らない。
○儀式「甦る魔法の力」を公開する。




――― × ――― × ――― × ―――

◆儀式

儀式名:甦る魔法の力

参加条件(すべての手順):海野詩帆と感情を結んでいる

手順1 力の転化 指定特技:好きな修得した特技
    ペナルティ:生命力を2点減少
    PC自身の力を魔法を発動するのに必要な力に転化する。

手順2 魔法の再構築 指定特技:《魔術》
    ペナルティ:正気度を1点減少。判定に失敗した場合のみ、狂気カードを1枚獲得
    人の姿を作り上げる術式に魔法の力を注ぎ、持続期間を延ばす。

手順3 海との繋がりを断つ 指定特技:《深海》
    ペナルティ:生命力と正気度をそれぞれ1点減少
    人の姿を維持するための術式に魔法の力を注ぎ、持続期間を延ばす。

解説:この儀式はクライマックスフェイズに行うことができる。魔法の素養がある人は、魔法を持続させるための方法を会得しやすい。しかし代償として、自身の精神力や生命力を消費することになる。一歩間違えば、自分が傷ついてしまう可能性がある。

※PCは「魔法の素養」があるということになる。だからといって魔法が使えるわけではなく、儀式のように既に施された魔法を少し補強する程度のものだ。




――― × ――― × ――― × ―――

◆あとがき

※読まなくてもシナリオを回せます。

この度ツイッター発の【同じシナリオタイトルでシナリオ書こうぜ企画】(@lie00800_ 様)に参加させていただきました。この機会をくれた主催様ありがとうございます!

「さよならを言いにきた」のタイトルを見て、最初に思いついたのは実は少しギャグテイスト(ギャグとは言ってない)なマギカロギアシナリオですが、そちらは公開中の拙作の続編という形に仕上げたいので、しっかりと内容を詰めて、完成したらまた投稿したいと思います。

そして2つ目に思いついたのは【背景】にも言及しましたが、この「人魚姫」(と、「恩返し」のおとぎ話)のパロディーでした。あえて童話と明記しないのは、恐らくトレーラーの「海」と「童話」だけですぐに「人魚姫」を連想してしまう人も多いのではないかな?と思ったからです。シナリオの作りもシンプルですしね。でもサクサク遊べるので短い時間しか取れないときにぜひ。(ただしRP好きな方ならもしかすると逆に時間がかかるかもしれません…?)

シナリオの裏話も少々語らせてください。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、【秘密】を何一つ獲得できなかったエンドの名前を「さよならを言いにきた」、つまりシナリオタイトルをつけています。個人的にこのエンドこそがトゥルーエンドだからです。もともと住む世界が違う二人、そのまま自分の居るべき場所へ戻ることが、お互いにとって一番幸せかもしれない。とは言え、調査せずに終わるPLは恐らくいないだろうから、なにげに一番たどり着きにくい、あるいは誰も到達することのないエンドかもしれません。調査を3回もファンブルすることがあれば……それはご愁傷さまでした……

トゥルーエンドはありますが、ハッピーエンドは作者的にもこれ!と指定するものはなく、PL・PCにとって一番納得できたエンドがハッピーです。トゥルーエンド=ハッピーエンドもありですし、どういう結末を望むかは全部PCに委ねて、その選択を尊重できればなと思います。

最後に。「さよならを言いにきた」はもちろん詩帆のセリフですが、PCもわざわざ浜辺まで会いに行って、場合によっては最後の挨拶を交わすことになりますし、PCにとっても「さよならを言いにきた」になったのかな、と思いました。




――― × ――― × ――― × ―――

◆裏話(ネタバレ)

※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。

実は企画に参加すること自体かなりレアなのです。というのも、「お題に沿って何かを書く」のはそこまで得意ではなく、TRPG以外の創作でもお題を見つめても何も思い浮かばないことが結構ありました。それと基本的に締め切りに縛られるとブラッシュアップする時間が足りないというのもありますね。正直今回もなんとか1回だけテストプレイ出来た状態なので公開に少し不安がありましたが、一応遊べる状態にはなりましたし、せっかく書いたのだから出しちゃおう!となりました。たぶん締め切り自体がなかったら、童話モチーフではなくなった可能性が大きいですね。

今回はパロディーと言いますが、展開が元ネタに寄せすぎていた気もしますね。CoCのほうの自作(ギリシア神話オマージュ)とは違って、今回は童話の追体験させたいわけでもないので、またこういう題材を扱うことがあればこの経験を活かせたらなと思います。

しかし今回はお祭りに参加できたようで本当に楽しかったです!改めて主催様、テストプレイや校正してくれた友人に感謝を。また機会があれば何かしらの企画に挑戦してみたいですね。