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刀剣乱舞×魔道書大戦RPG マギカロギア

お団子一ついかが?

Pixiv版(内容はこのページと同じ)


●概要

人数:2人
リミット:3サイクル(6シーン)
レギュレーション:スタートブックだけでもOK 推奨PC:第3階梯(HOの設定を適用できれば継続PCも可能)
難易度:恐らく初心者でも大丈夫

●あらすじ

近頃、万屋の町に新しい甘味屋ができたことが、甘いもの好きな審神者たち(及び刀剣男士たち)の間で話題になっている。
その噂はあなたの耳にも届いた。どうやら評判が非常によく、開業してから毎日店の外で長蛇の列ができているようだ。
一体どれほど美味しいのだろうか……気になって仕方ないあなたは、友人と次の休みの日に一緒に行ってみると約束した。

●PC共通HO

秘密なし/推奨表の顔:審神者
万屋の町に新しい甘味屋ができたとの噂を聞いて、この休日に友人と一緒に行くことにした。護衛としてそれぞれの近侍も連れていくことになった。
PLはあらかじめ近侍となる刀剣男士を決めて、GMに伝えてください。また、PC、近侍共に甘いものが苦手ではないことが望ましい。
(近侍は魔法使いに対してある程度の理解があるとの設定になります)





本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社アークライト」「株式会社新紀元社」が権利を有する『魔道書大戦RPG マギカロギア』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/アークライト/新紀元社
また、本作は「ニトロプラス」が権利を有する『刀剣乱舞-ONLINE-』の二次創作にもあたります。

本作を遊ぶのにマギカロギアの基本ルールブック、もしくはスタートブックが必要です。本文中の「大判」表記は基本ルールブックを、「スタブ」表記はスタートブックを指しています。

この先はGMする方のみ読み進めてください。




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◆背景

とある本丸では、いつもと同じように戦場に刀剣男士の部隊を送って時間遡行軍の企みを阻止しようとしていた。部隊は敵と接触し、戦況も順調だったが、突如現れた禁書が交戦中の遡行軍槍に狙いを定めた。遡行軍と、彼と交戦していた髭切が断章に憑依されて、禁書の魔法によって二人は万屋の町に飛ばされた。

禁書<彷徨える亡霊の箱舟>は、自由自在に時空を行き来する力を持ち、それに加えてあたりを破壊しつくそうとする性質を持つ。断章に憑依された遡行軍はそれと同調し、万屋の町を破壊しようとしている。


◆データ

●ハンドアウトについて

近侍たちのハンドアウトの、(PC1)、(PC1の近侍)、(PC2)、(PC2の近侍)をそれぞれの名前に変更して使っても構わない。
また、「髭切」を他の刀剣男士に変えても構わない。近侍の男士と被ったときにわかりやすくするために、などPLを混乱させないように変更しても大丈夫。

●運命変転

このシナリオにおいて、運命変転が発生した場合「精神的災厄」表を使ってください(シーン表による運命変転も含めて)。

●シーン表

万屋シーン表 1D8
1:建築工房。本丸増築の申請を受け付けてくれる。そのシーンに星の魔素が1点発生する。
2:飲食店。和洋問わず色んな料理を提供しており、お持ち帰りの弁当も販売している。そのシーンに獣の魔素が1点発生する。
3:道具屋。刀剣の手入れに使う道具や霊力を込めたお札などの便利道具を販売している。そのシーンに力の魔素が1点発生する。
4:甘味屋。破壊の跡が生々しく残されており、復旧するのに時間がかかりそうだ。
5:周囲で〈断章〉が引き起こした魔法災厄が発生する。ランダムに特技一つを選び、判定を行うこと。成功すると、そのシーンに好きな魔素が1点発生する。失敗すると、「精神的災厄表」を使用する。
6:雑貨屋。小物類、アクセサリー、インテリア雑貨などを販売している。そのシーンに歌の魔素が1点発生する。
7:ファッション店。カジュアルから正装まで幅広く、短刀から薙刀まで様々なサイズの服を販売している。そのシーンに夢の魔素が1点発生する。
8:本屋。戦術指南などの実用書もあれば、手芸などの趣味関連の書籍も置いてある。文房具も販売している。そのシーンに闇の魔素が1点発生する。




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◆導入

このシナリオの導入はPC共通の1シーンのみ。

万屋の町。飲食、娯楽、お買い物を楽しめる店を集めてできたこの町は、時の政府に直接管轄されており、数多くの審神者や刀剣男士が訪れては休日を満喫していった。
そんな万屋の町に、近頃新しく甘味屋が開店したとの噂をPCたちは聞いた。評判もとてもいいらしい。興味を持った二人は次の休日を合わせて、一緒に訪れようと約束し、せっかくだからと近侍も誘った。

当日。行列に一時間ほど並べてようやく席に着いた4人は早速目当てのものを注文した(実際にメニューを用意してもいい)。甘味が届けられてきて、いざ食べようとするとき、どーんと店の外に大きな音がして、続いて衝撃波のようなものに店内が荒らされてしまう。
外に出てみれば、戦場でもないのに、時間遡行軍と刀剣男士(髭切)が戦っているのが見える。周りの目撃者からは、「いきなり現れたし、一体どこから…?」「空間が歪んだように見えた直後、衝撃波みたいなものと一緒に、あの遡行軍と髭切が出現したんだ」などの言葉が聞こえてくる。
その時、遡行軍に気づかれたのか、PC1が襲われる、が近侍によって攻撃ははじかれて、代わりにPC1の近侍は軽傷を負う。(※ここでPC1の近侍は断章に憑依されたので、このかばう描写を忘れずに)
「お前の相手は僕だよ」と髭切が再び応戦しようとすると、遡行軍があたりを破壊しながら別の方向へ走っていく。それを追うように髭切も走っていって、あっという間にPCたちの視界から消えた。

PCたちが次の行動を起こそうとするときに、政府所属の職員で〈大法典〉では二人の上司にあたる魔法使い「瑠璃」から二人に念話が届く。(※瑠璃をGMのPCなどに変更してもかまいません)
「〈大法典〉より通達です。万屋の町にて禁書の気配を感知しました。恐らく先ほど出現した時間遡行軍とも関係がありますし、放っておけば更なる魔法災厄が起こるかもしれません。お二人とも、禁書を回収するのを手伝ってもらえませんか?私達も今からそちらへ向かって、編纂の準備を整えます」そう言って瑠璃はPCたちに協力を求める。PCたちが承諾すれば「では頼みますね」と言って念話を終わらせる。もし近侍たちに話すのなら、彼らも手伝ってくれるだろう。

●PCたちの魔力を決定してください。
●ハンドアウト「(PC1の近侍)」、「(PC2の近侍)」、「時間遡行軍」、「髭切」を公開してください。
●PC1のシナリオアンカーはPC1の近侍、PC2のシナリオアンカーはPC2の近侍になります。属性は自由に決めてください。



●メニュー例:

本店限定!
・一口団子

甘味:
・あんみつ(抹茶アイス・わらび)
・おしるこ
・白玉ぜんざい
・わらびもち
・パフェ(抹茶、ほうじ茶・チョコ)
・プリン

刀剣男士に大人気!
・仙人団子

お飲み物:
・抹茶
・ココア
・珈琲
・紅茶
・甘酒

※他の店(シーン)についても世界観を出すために、GMがシーン描写するとき、例えば飲食店なら幕の内弁当を売っていたり、建築工房では手入れ部屋の増築サービスが割引になっていたりなど、ゲームでの万屋にある要素を取り入れて構わない。




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◆展開

●シーン描写(任意)

ドラマシーンでPLがファンブルした場合、時間遡行軍がシーンの場所を襲撃し、PCたちがそれを防げなかったなどの描写を入れることができる。魔法戦で敗北した場合でも指定された場所か、ランダムな場所でそういった描写を入れることができる。ただのフレーバーなので面倒な場合は省略しても構わない。
また、万屋にはほかにも大勢の刀剣男士や審神者がいるはずなので、なぜ手助けしないのかと問われたら、禁書の気配を無意識に感じ取って、迂闊に手が出せないと認識したため、と答えても良い。

●憑依深度

PC1の近侍に憑依している断章<彷徨える>、及び時間遡行軍に憑依している断章<箱舟>の憑依深度は、シナリオ中変わることはない。
髭切に憑依している断章<亡霊>は、第2サイクル終了後に一度だけ憑依深度が上昇する。第2サイクル終了時断章<亡霊>を回収していなかった場合、マスターシーン「憑りつく怨念」に移行してください。

●「髭切」の調査と憑依深度処理

髭切の秘密を調査したサイクルの終了時、断章<亡霊>を回収できなかった場合、マスターシーン「操られた襲撃」に移行してください。
もしそれが第2サイクルの場合、先にマスターシーン「憑りつく怨念」に移行し、憑依深度を上昇させてから、「操られた襲撃」に移行してください。

●マスターシーン「憑りつく怨念」

ふと、背筋が凍るような感覚に襲われる。次の瞬間、呻き声のような、地の底を這うような低くて暗い声が耳に届く。
「破壊せよ」
「すべてを壊し尽くせ」
「この地に死をもたらせ」
渦巻く怨念のように、町に広がる魔法の気配が濃くなっていくのを感じ取るだろう。
※GMは断章<亡霊>の憑依深度を1上昇し、2に変更してください。

●マスターシーン「操られた襲撃」

「君たちも僕の邪魔をするの?」
背後から声を掛けられるまで、その気配に気づくことができなかった。
振り返れば、遡行軍と戦っていたはずの髭切の姿があった……けれど、その瞳は怪しい光を湛え、身体からは黒いオーラを放っている。
「邪魔ものは誰だろうが、斬っちゃおうかな」
ここで髭切は彼の秘密を調査したPCに斬りつける、が、その攻撃は近侍によってはじかれるだろう。そのまま、断章<亡霊>によって呪圏が展開し、PCに魔法戦を挑む。
GMはPCに名乗らせてこのまま魔法戦に移行してください。




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◆クライマックス

準備を整えた瑠璃から、万屋にある広場にて編纂を行うと念話が届く。回収できなかった断章がある場合、宿主を誘導しながらそちらへ向かうことになるだろう。全部回収した場合、近侍たちは遡行軍を追う髭切に加勢するために一時的に離れることとする。

禁書は蠢く亡霊たちを乗せている幽霊船の姿を取る。怨嗟の声を発し続け、すべての「死」と「破壊」を求める。


◆エネミーデータ

断章<彷徨える>
攻撃2 防御2 根源2 魔力4 憑依深度0
領域:力 特技:《流れ》
【流転】 呪文 《流れ》 スタブP193/大判P106

断章<亡霊>
攻撃3 防御2 根源3 魔力5 憑依深度1
領域:闇 特技:《腐敗》
【呪毒】 呪文 《腐敗》 スタブP194/大判P111

断章<箱舟>
攻撃2 防御4 根源3 魔力6 憑依深度3
領域:星 特技:《大地》《波》
【騎士召喚】 召喚 《波》 スタブP190/大判P97
【魔盾】 呪文 《大地》 スタブP192/大判P104

禁書<彷徨える亡霊の箱舟>
攻撃3 防御4 根源4 魔力15
領域:闇 特技:《大地》《波》《流れ》《腐敗》
【騎士召喚】 召喚 《波》 スタブP190/大判P97
【魔盾】 呪文 《大地》 スタブP192/大判P104
【流転】 呪文 《流れ》 スタブP193/大判P106
【呪毒】 呪文 《腐敗》 スタブP194/大判P111


◆NPCの願い

PC1の近侍:主を守りきりたい
PC2の近侍:万屋の町に平和が戻りますように(また主や仲間と甘味屋へ行きたい)
時間遡行軍:刀剣男士を全員殲滅したい
髭切:時間遡行軍を殲滅して本丸へ帰りたい

※刀剣男士の人選によってGMが変更を加えても構わない




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◆エピローグ

すべての断章を回収し、禁書の封印に成功したら、宿主だった髭切や遡行軍も元に戻る。本来の力を発揮し、髭切は難なく遡行軍を切り捨てる(あるいは、近侍たちが助太刀する描写を入れても構わない)。髭切は「巻き込んでごめんね」と謝ってから、自分の本丸へと帰るだろう。

PCたちは万屋の町に残って後始末の手伝いをしてもいいし、各自の本丸へ帰還してもいい。後日、甘味屋から事件解決のお礼に、本丸全員分のお団子が届くかもしれない。

※GMが状況に応じて適宜に改変してください。

●時間遡行軍をアンカーに追加した場合

遡行軍が死亡するため、リスペック時アンカーから消してください。疵にはならない。




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◆ハンドアウト

●(PC1の近侍)

(PC1)の近侍。護衛として主と共に万屋の町に来ている。遡行軍に襲われた際軽傷を負ったが、手入れをすればすぐに回復できるだろう。
【秘密】
断章<彷徨える>に憑依されている。まだ憑依されて間もないので、今のうちなら簡単に剥がすことができる。
この秘密を調査したPCは、自動的に断章<彷徨える>をプライズとして入手できる。
○断章<彷徨える>
攻撃2 防御2 根源2 魔力4 憑依深度0
領域:力 特技:《流れ》
【流転】 呪文 《流れ》 スタブP193/大判P106


●(PC2の近侍)

(PC2)の近侍。護衛として主と共に万屋の町に来ている。遡行軍の攻撃を受けておらず、無傷である。
【秘密】
あなたたちをかばったとき、食べている途中の甘味がひっくり返ったことを密かに悲しんでいる。しかし今は護衛の任務を優先すべきだと考えており、周りへの警戒を怠らずにいる。


●時間遡行軍

突如万屋の町に現れる、歴史修正主義者の配下にある者。刀種は槍。あたりに無差別に攻撃を仕掛けている。
【秘密】
断章<箱舟>に憑依されている。その力によって、対峙していた刀剣男士共々戦場から万屋の町へと転移した後、暴走して破壊し回っている。今もなお次の獲物を狙っている。
○断章<箱舟>
攻撃2 防御4 根源3 魔力6 憑依深度3
領域:星 特技:《大地》《波》
【騎士召喚】 召喚 《波》 スタブP190/大判P97
【魔盾】 呪文 《大地》 スタブP192/大判P104


●髭切

時間遡行軍を追いかけて戦っている刀剣男士。敵とともに万屋の町に姿を現し、相手を殲滅するまで戦闘を続行しようとしている。
【秘密】
断章<亡霊>に憑依されている。戦場で遡行軍と戦闘していた最中に憑依されたようだが、本人は気づいてない。このまま放っておけば、いずれ本人の意思と関係なく、亡霊に憑りつかれたように周りを無差別に攻撃してしまう。
○この秘密を調査したPCは、《悪意》(6,10)で判定することができる。成功すれば、断章<亡霊>を髭切から引き剥がし、プライズとして獲得できる。失敗、もしくは判定を放棄する場合、サイクル終了時断章<亡霊>が髭切を操り、調査したPCに魔法戦を挑む。
○断章<亡霊>
攻撃3 防御2 根源3 魔力5 憑依深度1
領域:闇 特技:《腐敗》
【呪毒】 呪文 《腐敗》 スタブP194/大判P111




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◆裏話(ネタバレ)

※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。

実は友人たちにマギロギを布教したいと思って、初心者用のシナリオを書き始めたのですが、なぜか出来上がったのがこのシナリオでした。初心者用なのになぜいきなりマギロギととうらぶの世界観を混ぜたのか……と自分にツッコミ入れましたとも。本当になぜ。

しかし同シリーズにある世界観設定のほうにも書きましたが、私の大好きな「混血主義者」には時間遡行軍と似た思想な書籍卿もいることですし、二つの世界観を合わせるのならこの設定を使うしかない…!と思いました。なので遡行軍側に対抗するために、時の政府に大法典が介入するも自然ですし、魔法使いと審神者も案外相性がいいなと思いました。

さてシナリオについてですが、ほのぼのと見せかけて、普通に被害が出たりPCの刀剣男士も傷ついたりしてシリアスができる構造になっています。あとこれは本当に裏設定ですが、鬼を切った兄者がワンチャン亡霊に取り憑かれるという本刃に優しくない設計にあえてしましたので、そのあたりにマギロギらしさを感じていただけると幸いです(?)。
とはいえ、PC2の近侍みたいな【秘密】もあったりしますので、くすっと笑ってもらえると嬉しいです。この秘密があるため、近侍が決まったあとにGMにPC番号を決めてもらったほうがいいと思いますが、テストプレイのときに「両方大俱利伽羅さんなら強制甘党の大俱利伽羅になりますか?」という質問をいただき、確かにそうだね??と大変笑わせてもらいましたので、そういう意外性を狙うのもありだとひそかに思ったのでした。

シナリオの構成は初心者向けという点にかなり意識しました。立会人システムに体験できるように2人用、クライマックスはちゃんと禁書を編纂する。憑依深度の概念も紹介できて、余裕があれば事件や調律もできる。リミットもいきなり長丁場を避けたくて、短めの6シーンにしました。書籍卿は、世界観的には重要ですがさすがに手番的に厳しいなと思って、今回は見送りましたが……いつかリベンジしたいです。

データ面について、今回はシーン表を考えるのがなかなかに楽しかったです。大判のシーン表を参考にしつつ、とうらぶ原作ゲーム内に実際に売られているアイテムも参考にしつつ、こういう店がありそうだなーと配置しました。少し手を加えたら汎用万屋シーン表にもなれるので、いつか万屋シナリオをまた書きたいものです。
大判シーン表は魔素がもらえるから、いい時代になりましたね……とシナリオを書きながらつぶやきましたな……。

 

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