魔道書大戦RPG マギカロギア

一杯分のオアシス - A Cup of Oasis -

Pixiv版TALTO版(内容はこのページと同じ)
※途中から遊ぶ場合、右側の「目次」をご活用ください。


●概要

人数:1人
リミット:4サイクル
レギュレーション:基本ルールブックのみで遊べます
推奨PC:任意の階梯で参加可能
難易度:簡単
※メインフェイズ戦闘なし、選択によってはクライマックス戦闘も回避可能。
※特殊ルールを採用し、一本道のシナリオになります。
※このまま読み進むことで、GMレスシナリオとして遊べます。

●あらすじ

カフェを経営している魔法使いの友人から連絡が届いた。
「明日急用ができてしまったけど、どうしても店を開かなければいけないの」
代わりに一日だけ、店を手伝ってくれないか?と彼女はあなたに頼んできた。

●登場NPC

『Blooming Blossom』フローラ・フラワーズ
PCの友人である魔法使い。妖精の異端者で、もともとは花の精である。
様々な効果をもたらすハーブティーを魔法で淹れるのが得意で、
その特技を生かしてカフェを経営している。
※サプリ『蒐集日記』を採用した場合、フローラを「魔法料理人」として扱ってもよい。展開に変化はない。
※このシナリオで『蒐集日記』のルールを使用することはない。

●PC作成について

経歴・機関ともに制限はない。初期作成から問題なく遊べます。
〈大法典〉からの依頼ではないため、【後援】のようなセッション中に支援を受ける魔法は基本的に使用不可です。
またこのシナリオにおいて、戦闘はフレーバーのようなものです。エネミーは初期作成のPCでも倒せるように設定していますが、階梯の制限を設けません。

カフェにある機械(コーヒーマシンに似た形のもの)を使って飲み物を提供するので、機械を操作できるPCであれば参加できます。
ただし、魔法使いの友人に協力することが前提なので、頼みを引き受けてくれるPC推奨です(断った時点でシナリオは終了します)。

●諸注意

本作はゲーム「Coffee Talk」(Toge Productions, 2020)からインスパイアされ、そのオマージュ作品になります。ただし「Coffee Talk」のネタバレは一切ありません。





本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社アークライト」「株式会社新紀元社」が権利を有する『魔道書大戦RPG マギカロギア』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/アークライト/新紀元社

本作を遊ぶのにマギカロギアの基本ルールブックが必要です。本文中の「基本」や「基本ルルブ」表記は基本ルールブックを指しています。

※次のページにGMあり・GMレス両方の遊び方についての説明があります。




――― × ――― × ――― × ―――

◆シナリオについて

本シナリオのリミットは4サイクルだが、各シーンで主要行動の代わりに「カフェのお客さんに飲み物を提供する」ことになる。詳細は本編の説明をご参照ください。
客が来る順番が決まっているので、自由度の低い、一本道のシナリオになる。


●GMレスで遊ぶ場合

このまま読み進んでください。記録用の道具を用意しておくと良いだろう。
(魔法戦を含め)進行はすべてPLに任せてしまうので、GM経験のある方推奨。
また、BOOTHやTALTOにてTekey用のチャットパレットファイルを配布している。テキセ形式で遊びたい方はそちらもご活用ください(進行に必要なテキストはすべてファイルの中にあるので、以降のページを見る必要がない)。


●GMとして遊ぶ場合

背景、NPCなどの情報は最後にまとめてあるので、参考にどうぞ。
それ以外はGMレスと同様、順番に描写や情報を公開すれば問題なく遊べる。


●使用データについて

・シーン表:なし。
・運命変転表:「精神的災厄」表を使う。
・メインフェイズ以降、世界法則【領域補正】【魔素濃密】【復活支援】が適用される。



※次のページからシナリオが始まる。「」から始まるのはGM情報だが、GMレスで遊ぶ場合は補足として読んでいただいて構わない。




――― × ――― × ――― × ―――

◆導入

その日、あなたはいつもと変わらない一日を過ごして、夜を迎えた。
多くの〈愚者〉にとっては就寝時間に近いその時間帯。あなたはふと、自分の名前が呼ばれたことに気づいた。
『こんな時間にごめんね~実は、お願いがあるんだけど…』
念話であなたに連絡してきたのは、魔法使いの友人である「フローラ・フラワーズ」だ。
少し前に、彼女は阿房宮の一角に小さなカフェを開店したことをあなたは思い出す。こじんまりとしているが、白と水色を基調とした内装に、花や植物がところどころ装飾として使われていて、可愛らしい雰囲気の店だ。名前は確か――
『一杯分のオアシス――私のカフェを、一日だけ手伝ってもらえないかしら…?』
とても困った声で、フローラはあなたに頼んできた。

●フローラに詳細を聞く

『それがね、次の日に急用ができてしまったけど、どうしても店を開かなければいけないの』
『数年に一度しか咲かない花があってね、それがちょうど今日咲いたみたい。貴重な材料だからどうしても採りに行きたくて』
『でも明日休んでしまえば……きっとここ最近来ている常連客さんが困ってしまうわ』
『明日、出かける前に店で色々準備しておくから、難しいことはないと思うわ!』
『飲み物の作り方もちゃんと教えるから……ダメかしら?』
フローラはそう説明して、もう一度あなたに頼もうとする。

●頼みを引き受ける

『本当?ありがとう…!とても助かるわ!お礼に今度ぜひ奢らせてね。いい材料を手に入れてくるわ!』
『それじゃあ明日、開店前に店で会いましょう。必要なことを伝えておくわ』
フローラはあなたに時間を伝えると、改めてお礼を言って念話を切るだろう。
※やっておきたいことなど、準備を終えたら → 【導入2】へ。

●頼みを断る

『そう……さすがに急すぎるものね。無理を言ってごめんね』
『他の友達にも頼んでみるわ。話を聞いてくれてありがとう、また時間ができたときにでも店にいらっしゃい』
そう言ってフローラは念話を切った。彼女には広い人脈がある、きっと誰かが手伝ってくれるだろう。
あなたは彼女の幸運を祈って、また近いうちに店へ向かおうと心の中で決めた。
※シナリオ終了です、お疲れ様でした(報酬はありません)。

◆導入2

翌日。約束の時間に「一杯分のオアシス」へ向かえば、まだ「CLOSED」の看板を下げている店の中からフローラが出迎えてくれる。
「いらっしゃい!急なお願いで本当にごめんね、来てくれてありがとう!」
「まずは中を案内するわ」
フローラはあなたを連れてカフェの中へ入る。すでに訪れたことがあれば、変わらない雰囲気に気持ちが落ち着くだろう。

「今日は店主不在ということで、特別メニューを用意したわ。と言っても、人気のメニューをピックアップしただけだけれど」
「あとはそう、常連さんが必要なものも、ね。これを見てちょうだい」
フローラはキッチンと座席を仕切るカウンターの上に、一枚の紙を置いた。

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             A Cup of Oasis Special Menu
           一杯分のオアシス ❁ 本日限定メニュー

  ・癒しの花 Healing Flower
   体調を整え、怪我からの回復を促進する《癒し》の一杯。
   アマランサスの香りとザクロの甘酸っぱい風味が楽しめます。

  ・勇気の薬 Brave Potion
   呼び覚まされる心の《叫び》が、一歩踏み出す勇気を与えてくれる。
   ヤロウやイラクサの新鮮な味を、ガルバナムの香りが優しく包みます。

  ・甘い夢 Sweet Dream
   体をリラックスさせる香りが、深い《眠り》へと誘ってくれる。
   甘くて優しい、ラベンダー、キャットニップやリンデンを使用します。

  ・幸運の雫 Drops of Luck
   機運を高め、《黄金》に輝く未来をあなたの手でを掴み取れる、かも?
   オールスパイスの実やタンポポの根などを使用した、
   豊かな香りがする一杯。四つ葉のクローバーを添えてご提供します。

  ・命の源泉 Spring of Life
   体中の気を《円環》させ、活力に変える。肉体を若返らせる効果も!
   ヘザーやエーデルワイス、高麗人参が体調を整えてくれます。

  ・魂の叡智 Spirited Wisdom
   飲めば、《死》者と言葉を交わせる力が宿るらしい、不思議な一杯。
   アマランサスの種、菊の花びら、イチイの実、もたらすは理を超える力。

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※メニューをいつでも参照できるように、メモ帳やオンセ用ツールなどにコピーしておくと良いだろう。
※参考書籍に記載されたレシピを省略して使わせていただいてるが、専門知識のない方は決して作らないでください。処理を間違えば毒になる材料も含まれている。



「いつもはお客さんの要望を聞いて、私が特別なブレンドを用意することもあるけど、今日はこの6種類のみにしておくわね」
「それからハーブティーの淹れ方だけど……このマシンを使ってね」
フローラはキッチンに置いてある機械を見せてくれる。見た目は少し大きめなコーヒーマシンに近い。材料や水を入れる部分と、カップを置くための場所を確認できる。
「いつもこの子に手伝ってもらっているの。今日はメニューにあるお茶を完璧に淹れられるように調整しておいたわ」
「水と必要な材料を入れて、魔力を流せば、あとはこの子がすべてやってくれるわ」
「本当は、一番適した刻印を通して魔力を与えるべきなんだけれど……まあ、あなたなら問題ないはずよ!」
そう言ってフローラは機械の使い方を教えてくれる。材料はすべて店に用意してあり、在庫の心配はいらないそうだ。


※下記のハンドアウトを公開する。

●ビバレッジマシン

投入された材料を美味しい飲み物に調合してくれる機械。コーヒーマシンと見た目が似ている。動力源は魔力のようだ。
この機械を使って飲み物を作る場合、メニューに書かれた指定特技の判定に成功すればその飲み物を作れる。また、【魔力】を1点消費すれば、指定特技の代わりに好きな特技で判定することができる。
(飲み物ごとの指定特技は、それぞれの説明文にある《》に囲まれた特技になる。)
失敗やファンブルした場合、普通の紅茶が出来上がる(種類はお好みで)。
このハンドアウトに秘密はない。


○判定に失敗した場合
【魔力】を1点消費するごとに振り直しが可能(指定特技を変更しなかった場合でも)。この効果は【魔力】を消費できる限り繰り返し使用できる。


○ファンブルした場合
ファンブル表を適用した後再び【魔力】消費による振り直しが可能。



「…ということで。説明はこんな感じかな?大丈夫かしら?」
あなたが理解できたかを、フローラは改めて確認するだろう。
「それじゃ、今日一日店のことをお願いね。あ、そうそう」
「カウンター席に座るお客さんはね、お話し好きというか、聞いてほしい方が多いの」
「もし気が向いたら、彼らの話を聞いてあげてくれる?」
「もちろん、無理にする必要はないわ。あくまで気が向いたら、ね」
「それじゃ、今度こそ私は出かけるね」
店をあなたに任せて、フローラは用事のために出かけていく。


開店の準備が整ったら、魔力決定を行ってください。
あなたの使命は【カフェを一日手伝う】ことになる。またあなたが望むなら、「フローラ・フラワーズ」をシナリオアンカーにしても構わない(任意)。

※機関によるアンカーの制限にご注意ください。
※以上の処理が終わったら、メインフェイズへ進んでください。次のページにメインフェイズの説明が載っています。

◆メインフェイズ

●進行について

・リミットは4サイクル。シーンごとにお客さんが現れて、注文をする。
・メインフェイズのシーンはすべてドラマシーンとして扱う。シーン表は使用しない。
・世界法則【領域補正】【魔素濃密】【復活支援】が適用される。
・メインフェイズでできる主要行動は「ビバレッジマシンを使い、カウンター席に座った客に飲み物を提供する」のみ。
・提供する飲み物には「正解」がある。正解した数を記録しておくこと(報酬が変わる)。
・飲み物を提供した後、お客さんの話を聞くことができるが、必須ではない(聞かなくても展開に影響しない)。


●ルールに関する補足

※ここに記載されていないものは、各自適切に裁定して構わない。

・俗呪、蔵書、呪句の使用
 ドラマシーンに使えるものは、ルール通りに使用して構わない。

・【幸運】【再挑戦】などの効果による振り直し
 ビバレッジマシンの失敗・ファンブルに関するルールを適用せず、通常通りに処理してください。

・【後援】などセッション中に〈大法典〉の支援を受ける魔法
 原則上使用不可。なんらかの理由を思いついた場合は各自裁定してください。

・特記事項や蔵書の効果によって増えたシーン
 効果に沿った行動ができるとする(例:円卓の「運命操作」シーンなら事件を行える)。

・登場NPCとの【運命の力】を使う
 願いは「願い表」でランダムに決めてください。
 願いの詳細はセッション後、NPC紹介を参考にして変更しても構わない。




次のページから1サイクル目が始まる。

●1サイクル目


※世界法則【領域補正】の処理を行ってください。

準備を済ませて、開店して少し経ったころ、一人の少女が店に入ってきた。初めてのお客さんだ。
「あれ、いつものマスターさんじゃない…?」
そう言って少女はカウンター席に座る。まだ学生ぐらいの年に見えるが、彼女は立派な魔法使いであることがわかる。
もしフローラが不在の理由を説明するのなら、彼女は「なるほどね」と納得してくれるだろう。

「今日のメニューはこれだけってことね?あ、ちゃんと注文したいものがあってよかった!」
「本日のマスターさん、『幸運の雫』をお願いできます?」
メニューを確認した彼女はほっとしたように、注文をした。

※飲み物を用意し、提供した→次のページ

●1サイクル目・回答


○『幸運の雫』を提供した
「ありがとう!やっぱりこれがないと始まらないよね」
少女はカップに口をつけると、嬉しそうにお礼を述べた。
(正解数+1)


○『幸運の雫』ではない飲み物を提供した
「うーん、これじゃない気がするけど……まあいっか」
間違った注文を提供してしまったが、幸い少女はあまり気にしていないようだ。


○少女の話を聞く
「いつものマスターさんに会えなくて残念だけど、店が開いてて助かったよー」
「最近ほぼ毎日来てるんだから」
飲み物を手に、少女は語り出す。あなたはフローラの話を思い出し、時々相槌を打ちながら話を聞くことにした。

「任務でボロボロになった日にこの店を見つけてね。ついこの間の話なんだけど」
「新しい店かな?と気になって覗いてみたら、まあ素敵な雰囲気の店で!それで吸い込まれたように中に入ったの」
「癒しオーラ?みたいなものを感じちゃったのかもね。そのときマスターさんが淹れてくれたお茶も美味しくて、優しい味が身に沁みたというか」
「それからよく来るようになったんだ。マスターさん、普通のメニューだけじゃなく、私が必要なものを毎回見抜いてくれるのが本当にすごくて!」
「前回の任務に出る前もさ、注文をお任せしたら『幸運の雫』を淹れてもらったの。そしたら今までにないほどに順調に終わったの!」
「だから今日も願掛けに来たようなもの。これ飲み終わったらお仕事なんだよね」
「よかったら応援してくれる?」
もし少女に応援の言葉をかけるのなら、笑顔で「ありがとう」と返されるのだろう。


○話を聞かない・聞き終わった
「飲み物をありがとうね、本日のマスターさん!ご馳走様~」
ゆっくりと一杯を飲みきって、少女は代金を支払うと、風のように去っていった。
「また縁があればよろしくね~任務とかのときに!」とだけ言い残して。


※シーンを閉める→次のページ

●2サイクル目


※世界法則【領域補正】の処理を行ってください。

少女が去った後、お客さんが数名訪れたが、カウンター席に座る人はいなかった。メニュー通りの注文を受け、特に問題も起きず、穏やかな午前中を過ごした。
一般的な昼食時間になったところ、一人……恐らくは、一人の魔法使いが店に入ってきた。
その「人」は首の上に頭の代わりに大きなマグカップが乗っていて、明らかに人間ではない見た目をしている。マグカップからは表情が読めないが、彼は何も言わずに一直線にカウンター席へ向かい、黙ったまま腰を下ろした。人間でいえば顎に相当する位置にずっと手を当てていることから、考え事でもしているのか?とあなたは推測するのかもしれない。

○声をかける
「む?……ああ、すまない。考え事をしていた。店に入ったのか、僕は」
「気分転換に散歩でも、と思っていたが、あのまま寝るべきだったか……」
「ふむ、せっかくだからなにか飲んでから帰るか」
「寝る前にふさわしい一杯をもらえるか?」
しばらく考えてから、彼はあなたにそう注文する。

※飲み物を用意し、提供した→次のページ

●2サイクル目・回答


飲み物を提供すると、彼はカップを持ち上げ、その中身を一気に自分自身の「頭」……マグカップの中に流し込んだ。
「……おや、この飲み方は普通の人間とは違っていたね。また説明するのを忘れたよ」
「もし驚かせてしまったのならすまない」


○『甘い夢』を提供した
「ふむ、これはなかなかに優しい味だ。今日はよく眠れそうだね」
表情は見えないが、満足そうな声で彼はお礼を述べた。
(正解数+1)


○『甘い夢』ではない飲み物を提供した
「悪くない味だね。こういう飲み物もあるのか」
なにやら探究心を刺激してしまったようだが、店を出るまでに忘れてくれることを祈るしかない。


○魔法使いの話を聞く
「普段は自分の工房にいるけど、たまに出かけてみるのもいいものだな」
「ああ、僕は時間に関する魔法を研究していてね。時間を川や水流に見立て、変化を加えたり、せき止めたり、切り取ったりするための道具、いわばタイムマシンの開発をしている。恐らく一般的に想像されるタイムマシンの姿とはだいぶ違うが……」
「おっと、ここで話すべき内容ではなかったね。止まらなくなるから」
「まあ、研究に没頭しているとどうも生活を疎かにしてしまうから、最近弟子入りしてきた子にはよく叱られるのだ」
「研究に興味を持ってくれたのは嬉しいし、そろそろ後継を探したいと僕も思っていたけれどね」
「昨日と今日は弟子が休みで不在だから、すっかりこのありさまだよ。ははは」
話を聞く限り、どうやら彼は徹夜して研究に打ち込んでいたようだ。
もし彼の体調に気遣うのであれば、「この通り何の問題もないのだけれどね」と言いつつもお礼を述べるだろう。
生活習慣について叱るのであれば、「君まで弟子みたいなことを言うね」と(恐らく)苦笑いするだろう。


○話を聞かない・聞き終わった
「さて、休憩もできたことだし、僕はこれで」
ごちそうさまでした、と代金をカウンターに置くと、彼は店から出ていった。

※シーンを閉める→次のページ

●3サイクル目


※世界法則【領域補正】の処理を行ってください。


昼過ぎから店に訪れるお客さんが増えていった。昼食後のピークタイムが終わって、客足が落ち着いてきたところで、一人の男性がカウンター席に座った。
「限定メニュー?ああ、今日はフローラちゃんがいないの?」
「なーんだ、ちょっと残念だな~」
少しがっかりした様子の男は、あなたの存在に気付いて「あ、ごめん。注文はちゃんとするよ」と改めてメニューに目を通す。
「よかった、ちゃんと注文したいのがあって助かったよ。『魂の叡智』を作ってもらえるかな?」

※飲み物を用意し、提供した→次のページ

●3サイクル目・回答


○『魂の叡智』を提供した
「そうそうこれ、よかった~ちゃんと作ってもらえて。ありがとう」
出された飲み物を口に含むと、男は頷いてお礼を言った。
(正解数+1)


○『魂の叡智』ではない飲み物を提供した
「あー、これじゃないと思うんだけど……まあフローラちゃんがいないし、仕方ないか」
明らかにがっかりした男性は、ため息をつきつつも一応出された一杯を飲み干した。


○男性の話を聞く
「このメニュー、注文されるのが意外?魔法使いだしそうは思わないのかなー?」
「まあ俺も初めて作ってもらったときは驚いたけどね。フローラちゃんこんなレシピまで知ってるなんてすごいよね~」
「そうそう、あれは仕事に疲れたから休憩しよう!と出かけてこの店を発見した日のことなんだ。はじめましてなのに、俺が必要なのはこれだとよく気づいたよね」
「別に隠してないから話すけど、俺さ、消滅した子が残した研究の改竄を任されてるんだ。たまに嫌になっちゃうよね、わかる?」
「それでもフローラちゃんのハーブティーを飲めばちょっとだけ仕事が順調に進んだりして、なんとなく早く片付けられるんだ」
「だからすっごい感謝してるし、フローラちゃんは俺の女神!なのだ!」
「そんな訳でさっきはごめんね。今日も会えると思って来たからさ~」
「ハーブティーを作ってくれてありがとうね。これを飲んでまた仕事に戻るよ」


○話を聞かない・聞き終わった
「ん~そろそろ戻らないと!明日はフローラちゃんいるかな?明日こそ会えますように!」
「あ、ごめんごめん。別に君への文句じゃないからね!気にしないでよ!」
「それじゃあごちそう様でした~」
反省の色はまるで見えないが、男はちゃんと飲み物代を支払ってから出ていった。

※シーンを閉める→次のページ

●4サイクル目


※世界法則【領域補正】の処理を行ってください。


気がつけば時刻は夕方。そろそろフローラが戻ってくるのだろうか、と店の入り口に目を向けると、ちょうどお客さんが入店してきた。
現れたのは真っ黒なドレスを身にまとい、思わず見とれてしまうほどに美しい女性だった。彼女はあなたに気づくと、
「あら。マスターはいらっしゃらないの?じゃあ『あれ』を頼めないじゃない」
そう言いながら、優雅な所作でカウンター席に腰をおろした。
「困ったわ。ねぇあなた、代わりに美しくなれる魔法を私にかけてくれる?」
微笑みを浮かべた彼女の口元から、尖った鋭い牙が覗く。どうやら彼女は吸血鬼のようだ。

※飲み物を用意し、提供した→次のページ

●4サイクル目・回答


○『命の源泉』を提供した
「ふふ、若さは美しさ、ね。それも間違っていないわ」
いただこうかしら、と言って艶やかに笑った女性はカップを手に取った。
(正解数+1)


○『命の源泉』ではない飲み物を提供した
「なるほどね。悪くないけれど、やっぱり私を満足させてくれるのは、いつものマスターだけかもしれないわね」
飲み物を口にしながらも、少し残念そうに彼女はつぶやいた。


○女性の話を聞く
「意地悪したいわけじゃないわ、むしろマスターがいなくて意地悪された気分よ?」
「『あれ』をメニューに入れてくれないなんて……まあ、確かにあなたに扱えるものではないかもしれないけれど」
「『あれ』が気になるのかしら?ほら、私、見ての通り吸血鬼なの。飲みたいものなんて、一つしかないわよね?」
※PCに意味が通じるのであれば、彼女は吸血鬼ではなく「血族」と自称する。
「……ふふ、冗談よ。ただ、マスターがいつも作ってくれるハーブティーはね、血に少し似た味がして美味しいのよ」
「あぁ、あれはティーというより、ワインに近いかしら。材料は植物しか使っていないと聞いたけれど。不思議でしょ?」
「マスターが帰ってきたら、あなたも頼んでみるといいわ」
クスクスと笑いながらおすすめしてくれるが、PCが吸血鬼でなければ、「あなたの好みには合わないかもしれないけれどね」と付け足すだろう。


○話を聞かない・聞き終わった
「ごちそうさま。また近いうちに来る、とマスターに伝えてくれるかしら」
「彼女がいないと、もう私は生きていられないわ。なんてね」
冗談めいた口調でそう告げた彼女は、代金を置いて帰っていった。

※シーンを閉める(クライマックスフェイズへ進む)→次のページ

◆クライマックス


閉店時刻間近、最後の客が支払いを済ませて、店から出て行った。なんとか一日を乗り切ったあなたは店の扉を閉めて、フローラの帰りを待つことにした。
……が、そのとき。キッチンからガサガサと物音が聞こえてくる。
もしかすると、侵入者がいるかもしれない。その正体を確かめるべく、あなたは静かに、あるいは不意打ちするためにキッチンを覗くだろう。

そこには、くすんだ緑の毛並みの犬……いや、犬型の魔法生物がいた。丸まったしっぽを揺らしながら、ハーブティーの材料が入っている袋に首を突っ込んで、色とりどりの花を貪っている。
よく見ればその体には傷跡がいくつもあり、食べっぷりから相当お腹を空かせていることにも気づくだろう。夢中に食べている今なら、魔法戦で簡単に勝てる相手ではあるが…。

フローラがまだ戻っていない今、どう対処すべきだろうか。

※PCは好きな主要行動を1回行なうことができる(手番を消費する通常行動に加えて、ビバレッジマシンの使用が可能)。

※【回復】など【魔力】を回復させる魔法を使用する場合、魔法戦を挑むことができなくなる。代わりに、魔法生物の警戒を薄めることができ、行いたい主要行動の判定に+1の補正を得られる。

※PCの行動を決めたら、魔法戦以外であれば判定を、魔法戦の場合は名乗りをしてから、次のページ

●クライマックス・行動


○『癒しの花』を用意し、提供した
飲み物を渡すと、犬は恐る恐るカップに鼻を近づかせて、クンクンと匂いを確認したあと、勢いよく中身を呑み込んだ。
すると、その怪我は見る見るうちに治っていき、元気を取り戻した犬はしっぽを揺らしながら「わふっ!」と鳴いた。まるでお礼を言っているようだ。
あなたに警戒することがなく、もし撫でようとするなら簡単に許してくれるだろう。
 →エンドA


○『癒しの花』以外の飲み物を用意し、提供した
飲み物を渡すと、犬は恐る恐るカップに鼻を近づかせて、クンクンと匂いを確認したあと、勢いよく中身を呑み込んだ。
よほど腹をすかせているのか、飲み干したあとも「クゥーン」と鳴いて、上目遣いであなたを見上げるだろう。
すでに警戒心は見当たらなく、もし撫でようとするなら簡単に許してくれるだろう。むしろもう一杯をもらうために、あなたの指示にはできる限り従うかもしれない。
 →エンドB


○魔法戦を仕掛けた
あなたの名乗りに答えるように、犬は大きく吠えた。
PC先攻で、「クー・シー」との魔法戦を行う。このエネミーを「越境者」として扱うが、プロットはランダムに行なう。クー・シーは魔法の使用に魔素を消費する必要がない。
また、世界法則【魔素濃密】【復活支援】を忘れずに適用してください。
 →戦闘後、エンドC

『クー・シー』 越境者/ランク2
攻撃2 防御2 根源2 魔力3(最大魔力5)
領域:獣 特技:《大地》《血》《牙》
【魔盾】 呪文 《大地》 P104
【吸精】 呪文 《血》  P122 (異端者)
※怪我したため、戦闘が始まった時点での魔力は3点になる。呪文は【吸精】を優先して使用する。


○その他・行動しない
※「事件」を行い、運命を結んだ場合「クー・シー」をアンカーに追加してください。
様子を見ていると、犬はようやくあなたの存在に気付く。材料の花が入っている袋を1つ咥えると、あなたが反応できる前にカウンターを飛び越えて、犬は窓から逃げていった。
 →エンドD

◆エンディング

エンドBエンドCエンドD


●エンドA


それから間もなく、籠いっぱいの花を背負ったフローラが店に戻ってきた。あなたに懐いた犬を見て、「まぁ……こんなところにクー・シーがいるなんて」と呟いた。
「クー・シーはそうね、私たち妖精の仲間というべきかしら。番人として、とても頼もしい子なのよ」
「この子はまだ幼いみたい。仲間とはぐれたのかしら」
「ねぇクーちゃん、仲間が見つかるまでここに残らない?あなたがいれば心強いわ。もちろん、相応の報酬も出すつもりだけど、どう?」
その問いに対して、クー・シーは楽しそうに「ワン!」と返事し、フローラの足元にすり寄せてきた。どうやら、これからは頼もしい番犬が「一杯のオアシス」を守ってくれるようだ。

「それはそうと、今日は本当にありがとう。慣れない仕事で大変だったんでしょう?」
労いの言葉をかけつつ、フローラは一日手伝ってくれたお礼に、あなたにいくらかの魔貨を手渡した。
「また今度お客さんとしていらっしゃい。あなたにぴったりな一杯、特別にサービスしてあげるわね」
近いうちにまた店を訪れる約束をし、あなたは本日の「任務」を無事に終えることができた。


○エンドA報酬
本シナリオでは通常の功績点処理を行わない。
PCは店番の報酬として、[提供した飲み物の正解の数]だけ魔貨を獲得する。
また、クー・シーを助けたお礼として、フローラから魔貨2点を追加で渡される。


※以上でシナリオは終了です。お疲れ様でした!
 →背景・NPC紹介

●エンドB


それから間もなく、籠いっぱいの花を背負ったフローラが店に戻ってきた。あなたに懐いた犬を見て、「まぁ……こんなところにクー・シーがいるなんて」と呟いた。
「こんなに怪我しちゃって、可哀想に……」
フローラがクー・シーの怪我に手を当てて呪文を唱えると、瞬く間にそれらは治り、消えていった。

「クー・シーはそうね、私たち妖精の仲間というべきかしら。番人として、とても頼もしい子なのよ」
「この子はまだ幼いみたい。仲間とはぐれたのかしら」
「ねぇクーちゃん、仲間が見つかるまでここに残らない?あなたがいれば心強いわ。もちろん、相応の報酬も出すつもりだけど、どう?」
その問いに対して、クー・シーは楽しそうに「ワン!」と返事し、フローラの足元にすり寄せてきた。どうやら、これからは頼もしい番犬が「一杯のオアシス」を守ってくれるようだ。

「それはそうと、今日は本当にありがとう。慣れない仕事で大変だったんでしょう?」
労いの言葉をかけつつ、フローラは一日手伝ってくれたお礼に、あなたにいくらかの魔貨を手渡した。
「また今度お客さんとしていらっしゃい。あなたにぴったりな一杯、特別にサービスしてあげるわね」
近いうちにまた店を訪れる約束をし、あなたは本日の「任務」を無事に終えることができた。


○エンドB報酬
本シナリオでは通常の功績点処理を行わない。
PCは店番の報酬として、[提供した飲み物の正解の数]だけ魔貨を獲得する。
また、クー・シーを助けたお礼として、フローラから魔貨1点を追加で渡される。


※以上でシナリオは終了です。お疲れ様でした!
 →背景・NPC紹介

●エンドC

※万が一PCが死亡し、且つ復活できなかった場合、戻ってきたフローラが「運命介入」を行なう。この判定は自動成功になる。以降、PCは「友人」としてのフローラに関する記憶を失い、「一日だけ雇われたアルバイト」として仕事を終えることになる(フローラとのやりとりは適宜に改変してください)。
※報酬は別途で計算するため、プライズ表は使用しない。


魔法生物は隙を見て逃げていったが、あなたは店の損害を最小限に抑えた。
それから間もなく、籠いっぱいの花を背負ったフローラが店に戻ってきた。
「ただいま、そしてお疲れ様!今日はどうだった?」
訪れたお客さんのことや、すでにいなくなった侵入者のことを話すと、フローラは「まぁ、それは大変だったわね」と驚くだろう。
「今日に限ってハプニングが起こるなんて。本当にごめんね、でも店にいてくれてとても助かったわ」
「お礼になるかわからないけど……これを受け取ってくれる?」
フローラは店を守ってくれたことと一日手伝ってくれたお礼に、あなたにいくらかの魔貨を手渡した。
「また今度お客さんとしていらっしゃい。あなたにぴったりな一杯、特別にサービスしてあげるわね」
近いうちにまた店を訪れる約束をし、あなたは本日の「任務」を無事に終えることができた。


○エンドC報酬
本シナリオでは通常の功績点処理を行わない。
PCは店番の報酬として、[提供した飲み物の正解の数]だけ魔貨を獲得する。
また、魔法戦に勝利した場合、フローラからお礼として魔貨2点を追加で渡される。


※以上でシナリオは終了です。お疲れ様でした!
 →背景・NPC紹介

●エンドD


それから間もなく、籠いっぱいの花を背負ったフローラが店に戻ってきた。
「ただいま、そしてお疲れ様!今日はどうだった?」
訪れたお客さんのことや、すでにいなくなった侵入者のことを話すと、フローラは「まぁ、それは大変だったわね」と驚くだろう。
「今日に限ってハプニングが起こるなんて。本当にごめんね、でも店にいてくれてとても助かったわ」
「お礼になるかわからないけど……これを受け取ってくれる?」
フローラは店を守ってくれたことと一日手伝ってくれたお礼に、あなたにいくらかの魔貨を手渡した。
「また今度お客さんとしていらっしゃい。あなたにぴったりな一杯、特別にサービスしてあげるわね」
近いうちにまた店を訪れる約束をし、あなたは本日の「任務」を無事に終えることができた。


○エンドD報酬
本シナリオでは通常の功績点処理を行わない。
PCは店番の報酬として、[提供した飲み物の正解の数]だけ魔貨を獲得する。


※以上でシナリオは終了です。お疲れ様でした!
 →背景・NPC紹介

◆背景

PCの友人の「フローラ・フラワーズ」は、植物や薬草について豊富な知識を持つ妖精だ。その上、相手が無意識に求めているものや(自分でも気付いていないが)必要としているものを見抜くのが得意だ。その力を活用したいと考え、彼女はカフェを開き、お客さんに「ほしい一杯」を提供することにした。
フローラにとっての嬉しい誤算は、彼女の力が思った以上に多くの魔法使いの助けになっていて、開店してまだ日が浅いにも関わらず、すでに何人かの常連客が毎日のようにやってくることだ。
ハーブティーを必要とする彼らを見放すこともできず、しかし普通の店では扱っていない材料をどうしても手に入れたい。アルバイトやスタッフを雇う準備ができていないフローラは、仕方なく友人たち――PCに店の手伝いを頼むことにした。
普段は固定のメニューがなく、フローラがお客さんの様子と注文に合わせてハーブティーを提供しているが、専門知識も特殊な力もない(と想定されている)PCのために彼女は特別メニューを用意した。無事に店番をこなしたPCには、後日フローラから「ほしい一杯」を贈られるだろう。

◆参考作品

このシナリオを執筆するにあたって、以下の作品を参考にさせていただきました。

・Coffee Talk:ゲーム、Toge Productions(2020)
・Herbalist’s Primer:書籍、Anna Urbanek/Double Proficiency and Exalted Funeral(2021)




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◆NPC紹介

●『Blooming Blossom』フローラ・フラワーズ

PCの友人である魔法使い。妖精(花の精)の異端者で、背景にある通り植物に関する豊富な知識を持ち、また人の欲求を見抜くのが得意である。
優しい性格で、普通の妖精に比べてだいぶ穏やかだが、気が置けない友人に対しては悪戯を仕掛けることもある。
滅多に怒らないが、食べ物を粗末にする人には恐ろしいほどに激怒するとの噂がある。
名前の由来は、Flora Flowersを含めた四単語がすべて「花」に関する言葉である。

●『スノー・ホワイト・リリー』浦風莉々亜(うらかぜ りりあ)

一人目のお客さん。学院から卒業したばかりの訪問者。任務を任されるようになり、魔法使いとしての生活に慣れつつあるが、小さな失敗もまだそれなりにする。
少しばかり手ごわい任務を任された日、ボロボロになりながらも成果を報告しに帰ってきた莉々亜は、開店して間もない「一杯分のオアシス」を見つける。以降は彼女が語った通り、任務に出向く前に店に訪れる常連となった。
見た目通りの若さで、〈愚者〉の感覚が抜け切れていない。〈人界〉のタピオカミルクティーはいまだに彼女の大好物である。
名前の由来はリリー、それから風に舞う花びらのイメージ。

●『Blue Mountain』マックスウェル=ジェームズ

二人目のお客さん。首から上がマグカップになっている、異境出身の異端者。食器型のタイムマシンを研究しており、弟子を取るまでは文字通り寝食を忘れて研究に打ち込んでいた。冷静沈着に見えるが、単に考え事に没頭しすぎて環境の変化に鈍感なだけである。
ある程度の研究成果を得た現在、彼は弟子に知識を伝授し、仲間と更なる研鑽のために阿房宮(異境)に滞在している。そして偶然「一杯分のオアシス」に迷い込んだ。
余談だが、彼と名前が似ている物理学者がいるが、完全に別人である。
(ちなみにBlue MountainもMaxwellもコーヒーから由来する。)
※サプリ『蒐集日記』をお持ちであれば、P64~65「械奇頭」の項目もご参照ください。

●『言葉を操りし者(Burattinaio di Parole)』アマート・ヴィターレ

三人目のお客さん。それなりに歴戦の書工。本人が話した通り、最近は消滅した魔法使いが残した研究の改竄を依頼されることが多く、少し嫌気がさしているところ。
ある日の休憩時間、気分転換に出かけたところで開店したばかりの「一杯分のオアシス」を見つけて、それ以来店の常連となった。
フローラのハーブティーはもちろん、彼女自身のことも気に入っている。周りからは口説いているように見えるが、本人はただ挨拶をしているつもりらしい……少なくても今は。
名前はイタリア語から。Burattinaio di Paroleは「言葉の人形使い」、Amatoは「愛される」、Vitaleは「生命」の意味を持つ。
※基本ルールブックP201「記憶の消失」の項目もご参照ください。

●『闇夜魅影』ミノドーラ

四人目のお客さん。遠い昔に生まれた吸血鬼であり、現在は異端者として大法典に手を貸している。フローラのことは昔から知っているが、「一杯分のオアシス」の開店をきっかけに交流を持つようになった。彼女の力を評価していて、あっという間に店の常連になった。
思わせぶりな言動で人をからかうのが大好きだが、身内と認めた人にはだいぶ甘い。逆に自身や身内の敵に対してはかなり容赦のない性格をしている。
魔法名は中国語で、Minodoraは「月からの贈り物」の意味を持つルーマニアの名前である。彼女の出身は誰も知らない。
※サプリ『黄昏選書』をお持ちであれば、P139「吸血鬼」の項目もご参照ください。

●クー・シー

アイルランドやスコットランドに伝わる犬の妖精。妖精界の入り口を守る番犬と言われている。本作に登場した個体はフローラの推測通り、いくつもの境界を渡る途中に仲間とはぐれてしまい、阿房宮にたどり着いてしまった。まだ幼いのでサイズは小さい。
道中他の魔法生物に襲われ怪我をした上、迷ったせいで腹も空かせている。飲み物を提供すればPCに懐いてくれる。妖精であるフローラに親しみを持ち、店に残った場合は番犬の役目を果たしてくれるだろう。




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◆裏話(ネタバレ)

※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。

参考作品にあげた二つの作品ですが、どちらもこのシナリオを書くきっかけでした。「コーヒートーク」のゆったりした雰囲気がとても好きで、こういう話をもっと見たい!と思っていました。一方でKickstarterで「Herbalist’s Primer」を偶然見つけて、「魔術観点からの植物学!面白そう!」と魔法好きな私は即決でバッカーになりました。どこかでこのデータの宝庫をがっつり使ってみたいなとはずっと思っていましたが、今作を書くにあたって本当に大変助かりました。どちらの作品もとても素敵ですので、気になる方はぜひ覗いてみてください!(どちらもシリーズ化されたのでこの先の作品も楽しみ…!)

戦闘を重心に置かない・一本道の本作は書き始める前からGMレス可にすると決めましたが、完成してみればむしろGMいないほうがいいのでは?と感じました。RP好き・NPCとたくさん話したい方ならGMありのほうがおすすめかもしれませんが、アドリブが大変そうな気もします……NPCの簡単な設定を添えましたので、ご活用いただけたら。

構想はもっと前からありましたが、シナリオを書き始めたころにちょうど『蒐集日記』が発売されました。料理人ルールも取り入れようかな?と悩みましたが、今作でやりたいこととは少し合わないので見送りました。代わりにではありませんが、NPCの設定に各ルルブ・サプリの設定を採用したので、「マギカロギアは世界観も面白いよ…!」と少しでも思ってもらえたらうれしいです。
(余談ですが、その後公式の「魔生道程」連載が始まり、コーヒーボーイとキャラ被り…?!となりかけましたが、見た目はともかく、マックスウェルの性格は彼とだいぶ違うので結局設定をそのままにしました。)

いつも「独自ルールを使いすぎでは?」の心配をしていますが、こんな拙作でも楽しんでいただけたら幸いです。特殊ではないシナリオもいくつかアイデアがあるので、ゆっくり形にしていこうと考えています。また気が向いたらぜひ遊びに来てくださいませ~

PS. スペシャルサンクスを忘れました。シナリオタイトルの「オアシス」は、最初に迷ったときに「卓すきAI」に相談して提案していただいた言葉です。「TRPGがすきー!」の皆さんにも大変お世話になりました、ありがとうございました!