マルチジャンル・ホラーRPG インセイン

ミッション:ノア2 〜Beyond the Galaxy〜

Pixiv版TALTO版(内容はこのページと同じ)


●シナリオ概要

舞台:未来の宇宙(SF風味)
プレイヤー人数:3人
リミット:4サイクル
狂気カード:12枚
タイプ:協力型
レギュレーション:基本ルルブのみで遊べる(デッドループ使用可)
※リミットになる前にクライマックスに突入する可能性があります。
※拙作「ミッション:ノア」から継続可能ですが、必須ではありません。


●トレーラー

22XX年。地球上の資源が枯渇し、人類は生きるために外宇宙へ移住しようと考えた。
最新技術を搭載した宇宙船に乗り込み、あなた達は人類が居住するのに適合し、
また食糧となる動植物を飼育できる環境を求めて出発した。
宇宙航海をはじめてから三年が過ぎようとしている今、
あなたたちは前人未到の領域に到達しようとしている。
この先は未知の世界だ。追い求めているものは、果たしてそこにあるのだろうか。


●PCハンドアウト


○PC1 リーダー
推奨職業:冒険家
あなたはこの宇宙船のリーダーだ。宇宙船の操縦も一通りこなせるが、乗組員の意見をまとめ、指揮を執ることがあなたの仕事だ。
あなたの【使命】は、「人類が移住できる惑星を見つける」ことだ。

○PC2 ドクター
推奨職業:医師
あなたは動植物の研究を専門とする学者だ。これから向かう星の環境が人類に、また他の動植物にどのような影響をもたらすのか、研究や判断するのがあなたの仕事だ。医学の心得も多少ある。
あなたの【使命】は、「食料となる植物を栽培できる惑星を見つける」ことだ。

○PC3 エンジニア
推奨職業:技術者
あなたは宇宙船のメンテナンスを担当するアンドロイドだ。緊急事態にも対応できるように、いつでも冷静に行動できるようにプログラムされている。だがそれ以外、あなたは普通の人類と同じように言葉を交わし、行動を取れる(食事も動力に転化できる)。
あなたの【使命】は、「宇宙船と乗組員の安全を確保する」ことだ。





本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社新紀元社」が権利を有する『マルチジャンル・ホラーRPG インセイン』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/新紀元社

本作を遊ぶのにインセインの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。

この先はGMする方のみ読み進めてください。




――― × ――― × ――― × ―――

◆背景

遠い未来の話。
地球の資源が尽きそうになり、人類は生きるために外宇宙の探索を始めた。各国の政府が協力して「ミッション:ノア」という探索プロジェクトを発足し、数多くの宇宙船が旅立っていった。
PCたちのチームが搭乗した宇宙船もそのうちの一つである。長い年月の宇宙航海を経て、いよいよ人類が探索したことのない領域にたどり着いたPCたちは、この先にあるかもわからない「移住に適する惑星」を探すことになる。

しかし、長年の冒険は宇宙船にだけでなく、乗組員や他の様々なものに良くも悪くも影響を与えてしまっている。それぞれが抱えている問題を解決しようとしながら、PCたちは今日もまだ見ぬ目的地を目指して前へ進んでいく。


●ミッション:ノア

聖書の「ノアの方舟」に倣ってミッションの名前がつけられた。また、方舟のように宇宙船には各種の動物(及び植物)が乗船している。さすがに地球上すべての生物を、というわけにはいかないが、新しい惑星の環境に人類の食糧となりえる動植物が適応できるかどうかを検証するため、食べられる動植物を中心に乗せている。


◆参考作品

このシナリオを執筆するにあたって、以下の作品を参考にさせていただきました。

・科学の謎 研究者が悩む99の素朴な疑問:書籍、ナショナル ジオグラフィック(2019)
・グノーシア:ゲーム、プチデポット(2019)
・OPUS-地球計画:ゲーム、SIGONO(2015)




これ以降、から始まるのはGM情報とする。




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◆PCハンドアウト

※使命の達成条件については、【エンディング】の項目をご覧ください。


●PC1 リーダー

推奨職業:冒険家
あなたはこの宇宙船のリーダーだ。宇宙船の操縦も一通りこなせるが、乗組員の意見をまとめ、指揮を執ることがあなたの仕事だ。
あなたの【使命】は、「人類が移住できる惑星を見つける」ことだ。

【秘密】
ショック:なし
先日、あなたは宇宙船の電波受信記録から不思議な記録を発見した。一回きりで送り主が不明だが、受信した信号を変換したところ、どうやら誰かへの挨拶の言葉のようだ。
外宇宙にいるかもわからない知的生命体に友好を示すために、宇宙船は常に挨拶の信号を発信している。それに対する返答なのだろうか…?
あなたの本当の【使命】は、「信号の送り主を探し出す」ことだ。


●PC2 ドクター

推奨職業:医師
あなたは動植物の研究を専門とする学者だ。これから向かう星の環境が人類に、また他の動植物にどのような影響をもたらすのか、研究や判断するのがあなたの仕事だ。医学の心得も多少ある。
あなたの【使命】は、「食料となる植物を栽培できる惑星を見つける」ことだ。

【秘密】
ショック:なし
地球から運んできた植物の中のいくつかは、いつのまにか枯れてしまっていた。地球の栽培環境を再現したはずだが、何が原因だろうか?
あなたの本当の【使命】は、「枯れた植物を蘇らせる方法、もしくは食料になりえる新種の植物を探し出す」ことだ。
○あなたは自身が所持する鎮痛剤をプラスの感情を結んだキャラクターに使用することができる(受け渡しや手番不要)。対象の生命力が0になった時点で、生命力を回復させ脱落を防ぐことができる。
○あなたは初期のアイテムやアビリティの効果とは別に、鎮痛剤を2つ所持している。

※メインフェイズ戦闘で「1点でもダメージを受けた場合」の脱落を防ぐことはできない。


●PC3 エンジニア

推奨職業:技術者
あなたは宇宙船のメンテナンスを担当するアンドロイドだ。緊急事態にも対応できるように、いつでも冷静に行動できるようにプログラムされている。だがそれ以外、あなたは普通の人類と同じように言葉を交わし、行動を取れる(食事も動力に転化できる)。
あなたの【使命】は、「宇宙船と乗組員の安全を確保する」ことだ。

【秘密】
ショック:なし
長期間の航海による損傷が大きく、宇宙船のメンテナンスに必要な部品が想定以上の速度で消費されていく。まだ余裕があるうちに、修理に使う素材やパーツを補充すべきだ。
あなたの本当の【使命】は、「宇宙船の補修に使える部品を確保する」ことだ。
○あなたの初期の生命力は10である(アビリティによってさらに増強することが可能)。

※PC3は人間の見た目をしているが、体は機械でできているため耐久が一般人よりも高い。
※拙作「ミッション:ノア」(以下前作)から継続する場合、前作の出来事は他の乗組員から見聞きしたため、知識としては持っている(実際に体験していないことを自覚している)。またPLが望むなら、リスペックの際に職業以外の特技を変更してもいい。前作から得た功績点をそのまま引継ぎ、使用してもいい。
(先に本作を遊んでから前作を遊ぶ場合も、GMが適宜にリスペックを許可してください。)




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◆シーン表(2D6)

2:進行方向に小惑星が…!すんでのところで衝突を回避したが、なぜ今まで気づかなかったのだろうか…?初めて遭遇したシーンプレイヤーは《宇宙》で恐怖判定を行う。
3:室内の照明が点滅している。宇宙の磁場による影響か、それとも単に壊れかけているだけだろうか…?
4:警報が鳴り響く。前方にある隕石を避けるために進行方向を変えなければならないので、揺れに気を付けたほうがいい。
5:人間より身軽に船外探索ができるアンドロイドたちが、装備の手入れをしている。いつも頼りにしている。
6:障害物が少ない、航海しやすい空間を宇宙船が進んでいく。平和だ。
7:明るい彗星とすれ違った。どこへ向かっているのだろう?
8:ピッ、とルートの計算完了を知らせる通知音が鳴った。次の惑星へ向かう準備ができたようだ。
9:どこか焦げ臭い匂いがするが、宇宙服に付着した埃のせいだろうか。洗濯や整備をもっと入念に行わなければ。
10:美味しそうな匂いが漂ってくる。探索の前に食事をとったほうがいいかもしれない。
11:外が一瞬光ったように見えたが、未発見の天体だろうか?どの方角から来たものか、あとで確かめないと。
12:探索の装備を整えようと倉庫を覗いたら、備品が落ちていた。鎮痛剤を1つ獲得する。

※2番の恐怖判定は、同じPCの2回目以降の遭遇では免除する(「恐怖への適応」もご参照ください)。

◆狂気カード

12枚使用。ランダムで選出しても構わない。
例:
・基本ルルブから:依存、パニック、血への渇望、闇からの祝福、潔癖、恐怖症、失踪、暴力衝動
・デッドループから:予知夢、かんしゃく、虚無感、望郷
・デッドループを使わない場合、基本ルルブから追加:広がる恐怖、盲目、絶叫、怪物
※あくまで一例であって、ほかの狂気カードを使っても構わない。




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◆展開

●導入フェイズ

トレーラーを改めて提示した後、以下のシーンを描写する。なお日付は8月19日にしているが、特に深い意味はないので自由に変更していい(前作からの継続であればわかりやすく3年後に設定するといいだろう)。

【22XX年8月19日 宇宙の旅・1084日目】
AIによって設定された起床用の音楽が流れて、夢を見ていたあなた達は現実世界に連れ戻された。
地球と違って、太陽の光が届かない宇宙空間に旅だってから、もうすぐ3年が経つ。ゆるやかなメロディーに起こされることが、もはや日課になっていた。
3年の宇宙航海を経て、この宇宙船――「ノア32号」は地球から遠く離れて、今まで探索したことのない領域にたどり着こうとしている。
これまでに移住に適した惑星を見つけられなかったが、この先には人類にとって初めて目にする星もある。探索任務は新たな段階に移り、自分たちの仕事が忙しくなりそうだ。

今日も宇宙食にしては美味しく調理された朝ごはんを食べて、あなた達は会議室へ向かい、朝のブリーフィングを行う。
宇宙船の探知機が集めたデータをAIがあらかじめまとめて、探索すべき惑星を推奨してくれる。それらの詳細は会議室のモニターに映し出された。この中から次の目的地を決めよう。


GMは「NA32-00035」「NA32-00036」「NA32-00037」のハンドアウトを公開してください。
また、PCたちは長い間宇宙の旅をともにした仲間であり、すでに深い絆を築いている。PCは導入の間に、手番を消費せずにPC全員と感情を結ぶことができる。判定をせず、自動成功にしてもよい。感情の種類は自由に決めても構わない。

処理やRPが終了次第、メインフェイズに移行してください。



●メインフェイズ


○ゾーキングに関して
ゾーキングによって開示されるハンドアウトや重要な情報はない。
宇宙船内に関しては以下の通りだが、GMが適切に思う描写を自由に追加していい。

・宇宙船について
「ノア32号」はアンドロイドを含めた十数人の乗組員、及び各種の生物を乗せて長期の旅ができる宇宙船である。広い船内には寝室のほかにたくさんの部屋が備えてあり、PCの仕事場や食堂、他多数の施設が備えられている。
数年、下手したら十年以上旅を続けるかもしれないので、仕事に必要な部屋以外に、娯楽施設(ゲームコーナー、ミニ映画館など)、家族に連絡できる個人通信用の部屋なども存在する。また圧縮技術の発達により、補給物資も十分に積まれている。
最新技術によって作られた探索設備、そして管理AIも搭載されている。宇宙航海しながら周辺星域のデータを集めて分析し、探索すべき惑星をまとめて提出してくれる。またAIは乗組員の生活や健康維持をサポートし、体調の管理や記録をしながら適度にアドバイスをしてくれる。

・アンドロイドについて
男性型、女性型の2種類があるが、同種のアンドロイドは同じ顔を持ち、番号によって個体が識別されている。名前(ニックネーム)をつけるかどうかは乗組員の自由で、公式の記録では名前は使われない。PC3が名乗っているのは乗組員たちにつけられた名前である。


○マスターシーン
以下の条件で、マスターシーンが発生する。
1サイクル目終了時:「新たな探索地」が発生する。
ハンドアウト「NA32-00036」の【秘密】が公開された:「未知からの襲撃」が発生する。


○マスターシーン「新たな探索地」
1サイクル目終了時に発生する。
ノア32号は、宇宙を航海しながら周辺星域の探査を続けていた。探知機が集めたデータを分析した結果、AIが新たに探索すべき惑星を3つ見つけてくれたようだ。それらを次の目的地にするのもいいかもしれない。
GMは「NA32-00038」「NA32-00039」「NA32-00040」のハンドアウトを公開してください。


○マスターシーン「未知からの襲撃」
ハンドアウト「NA32-00036」の【秘密】が公開された際に発生する。

PCたちの前に、見たことのない生物……かどうかもよくわからないものが現れた。泥状の丸い「体」に、手足のようなものが6本生えている。恐らくこの惑星の土によって構成されているのだろう。目や口などの器官は確認できず、なぜPCたちを感知できるのかはよくわからないが、確実な敵意を感じ取れた。
放射線を浴びて変異した「宇宙生物」を目撃したPC全員は、《宇宙》で恐怖判定を行う。

「宇宙生物」1体とPC全員で戦闘を行う。エネミーは基本ルルブP245「歩く死者」のデータを使用し、【危険感知《味》】を追加で修得させる。プロットは基本「6」を想定しているが、GMが変更しても構わない(ただし4以上が望ましいだろう)。
メインフェイズでの戦闘になるため、エネミーを含めて、ダメージを1点以上受けたキャラクターは即座に脱落する。

PCが勝者の場合、戦果として他のPCの情報を獲得することができるが、代わりに「鎮痛剤、お守り、武器のいずれかを一つ選んで獲得する」ことも可能だと、PLに提示してください。
PCが全員敗者になった場合、全員《死》で恐怖判定を行ってください。

いずれの場合でも、戦闘後PCたちは宇宙船に乗船する(命からがら逃げ込む)ことができる。宇宙船は再び次の目的地へ出発することになるだろう。



●クライマックスフェイズ

「電波発射装置」の秘密にある座標の【居所】をPCが獲得した、またはリミットの4サイクル目が終了した後、クライマックスフェイズに移行する。


○座標の【居所】を手に入れた場合
PCたちが手に入れた数字の羅列は、とある座標を示している。その場所を目的地に設定し、しばらく星々の間を航海していると、目的地付近で宇宙船は突然なにか「強い力」に捕らわれた。制御が効かず、なすすべもなく引っ張られていった先には、光が一切届かないような真っ黒で小さな空間が存在している。……あれはもしや、ブラックホールでは?
PCは全員《暗黒》で恐怖判定を行う。
GMは後述の「宇宙船の制御」の情報を公開してください。制御を試みる場合、エネミーはいないが、速度プロットを行い戦闘と同様に処理してください。


○座標の【居所】を手に入れず、4サイクル目が終了した場合
PCたちは周辺宇宙を探索しながら、航海し続けていく。惑星を調査しつつ、とある地点を通過するときに宇宙船は突然激しく揺れた。その直後、なにか「強い力」に捕らわれた宇宙船は制御が効かなくなり、なすすべもなく引っ張られていく。このままだと、どこかにぶつかってしまうかもしれない……とPCたちは嫌な想像をするだろう。
予期せぬ衝撃に受け身をまともに取れず、PCたちは怪我をしてしまう。全員1D6点のダメージを受ける。また、全員《破壊》で恐怖判定を行う。
※このダメージで生命力が0になったPCは、アイテムの「鎮痛剤」を所持していればそれを使用して回復できる。また、PC2は【秘密】の通りに「鎮痛剤」を使用できる。
※もし生命力が1点以上のPCが一人も残らなかった場合、「儀式を行わなかった」扱いにして即座に【エンディング】へ移行してください。

GMは後述の「宇宙船の制御」の情報を公開してください。制御を試みる場合、エネミーはいませんが、速度プロットを行い戦闘と同様に処理してください。


○終了条件
1)3ラウンド以内に【儀式:ノア32号の制御】を成功させた
2)PC全員の生命力が0になり、回復できなかった/儀式を行なわい・失敗した


○宇宙船の制御
制御不能になった宇宙船は「強い力」に引っ張られていく。このままだと周りの天体や隕石にぶつかる可能性がある。そうなれば損傷は免れない上、乗組員の命も危ない。
PCたちは宇宙船を再び制御下に置くために、以下の判定を試みることができる。この判定は「儀式判定」として扱われる。


【儀式名:ノア32号の制御】
参加条件(すべての手順):PC全員参加可能

手順1 手動操縦モードへの切り替え 指定特技:《乗物》
    ペナルティ:正気度を1点減少
    操縦席へ向かい、宇宙船をAIの自動操縦から手動操縦モードへと切り替える。

手順2 安全運転 指定特技:《乗物》
    ペナルティ:正気度を1点減少。判定に失敗した場合のみ、生命力を1点減少。
    宇宙船の航路を計算しなおし、安定した運転を試みる。
    激しく揺れる船内では座席から放り出される危険が伴うだろう。

手順3 強い引力の分析 指定特技:《物理学》、《天文学》もしくは《宇宙》
    ペナルティ:正気度を1点減少。
          判定に失敗した場合のみ、狂気カードを1枚獲得。
    宇宙船を再び危険に晒さないように、「強い力」の正体を突き止める。



●エンディング

クライマックスフェイズの終了条件によって2種類の展開に分岐するが、どちらもエンディング「Mission Complete」に繋がる。それぞれの描写のあとに、【エンディング描写】へ進んでください。
PCたちは見事に人類が移住できる惑星を見つける――その先の出来事は、本シナリオで語られるものではない。


○3ラウンド以内に【儀式:ノア32号の制御】を成功させた
※座標を手に入れなかった場合、PCはここで「真っ暗な空間」の存在に気付く。
宇宙船を引っ張る強い力の発生源は、あの真っ暗な空間だ。しかしAIの解析結果によると、それはブラックホールではないらしい。
この謎の天体は、遠く離れている二つの地点を結んでいる。その引力を利用し、宇宙船が最大速度で空間に突入すれば、「向こう側」にたどり着けるかもしれない。
きっとその先には、メッセージを残した「人々」が住んでいるに違いない。
※PCたちが「真っ暗な空間」に飛び込むと決めたら、【エンディング描写】へ。


○PC全員の生命力が0になり、回復できなかった/儀式を行わない・失敗した
※座標を手に入れなかった場合、PCはここで「真っ暗な空間」の存在に気付く。
制御することができず、宇宙船は強い力に引っ張れるがままに真っ暗な空間へ吸い込まれていく。もしこれがブラックホールだったら、もう二度と外に出られないかもしれない。長いようで短かった探索の旅は、ここで終わりを迎えるのだろうか?
空間に「落ちる」までのわずかな時間に、PCたちは何を思って、どう行動するのか。
※引力から逃れることはできない。PCたちのRPが終わったら、【エンディング描写】へ。


○エンディング描写
光速に近い早さで、宇宙船は暗闇に吸い込まれていく。今までと比べられないほどの衝撃に一瞬呼吸が止まったかと思えば、その重圧は突如消え去った。
はっとして、あなたたちは外に視線を向ける。
窓の外にある、地球によく似た青い惑星が目に映った――。
【END: Mission Complete】



●PCの【使命】の達成条件

PC1:ハンドアウト「電波発射装置」の【秘密】が公開された
PC2:①プライズ「宇宙植物37R」を誰かが獲得し、使用する(鎮痛剤は必須ではない)
   ②プライズ「宇宙化合物38R」を枯れた植物に使用する
   ①と②のどちらかが宣言されたら達成したとする(両方宣言する必要はない)
PC3:プライズ「宇宙合金35R」を誰かが獲得し、使用する




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◆ハンドアウト

本シナリオのハンドアウト(秘密)はすべて〈拡散情報〉である。
「NA32-00035」、「NA32-00036」と「NA32-00037」は導入の終了時に公開される。
1サイクル目の終了時に発生するマスターシーンで、「NA32-00038」、「NA32-00039」と「NA32-00040」が公開される。
「NA32-00035」、「NA32-00037」、「NA32-00038」のいずれかの【秘密】が公開されたら、「物質変換装置」が公開される。
「NA32-00039」の【秘密】が公開されたら、「電波発射装置」が公開される。
「NA32-00040」の【秘密】が公開されたら、「氷の雨」が公開される。
プライズについては、次の項目を参照。


●NA32-00035

赤い惑星。大気圏が存在し、惑星内部から水分が検出されている。
大きさは地球の半分ほど、地表の平均気温は-10℃。
着陸可能な場所は複数検出されている。
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
大気圏の酸素濃度が低く、地表に液体の水もない。地中深くから水分が検出されたようだ。
最新技術の補助があれば住めなくはないが、移住先としては理想からほど遠いと言える。
しかし、陸地からは未知の成分が検出された。土壌を持ち帰って研究すれば、面白い発見があるかもしれない。
○このハンドアウトを調査したPCは「プライズ:サンプル35S」を獲得する。
○まだ公開されていなければ、ハンドアウト「物質変換装置」を公開する。


●NA32-00036

茶色の惑星。大気は希薄だが、酸素が含まれている。
大きさは地球と同じぐらいで、地表の平均気温は-7℃。
着陸可能な場所は2か所検出されている。また、かすかな生体反応が検出されている。
【秘密】
ショック:全員
〈拡散情報〉
それなりに広い土地はあるが、地球よりも10倍以上の宇宙放射線を浴びてしまうため、この惑星に移住するのはあまり現実的ではない。
現に、放射線を浴びたせいで独自の進化を遂げた謎の生物が襲い掛かってくる!
○マスターシーン「未知からの襲撃」が発生する。


●NA32-00037

緑色の惑星。大気圏が存在し、水分も検出されているが量は少ないようだ。
大きさは地球よりやや大きい。地表の平均気温は30℃。
着陸可能な場所は複数検出されている。
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
この惑星は常に恒星に同じ面を向けているため、片面は焼けるように暑く、片面は凍えるように寒い。どちらもあまり居住に適していない。
しかし、暑い地帯には見たことのない植物が生えている。土壌と一緒に持ち帰って研究してみるのもいいかもしれない。
○このハンドアウトを調査したPCは「プライズ:サンプル37S」を獲得する。
○まだ公開されていなければ、ハンドアウト「物質変換装置」を公開する。


●NA32-00038

白い惑星。分厚い大気圏が存在し、中の環境は観測しにくい。
大きさは地球の2倍ほど。地表の平均気温は2℃。
着陸可能な場所は複数検出されている。
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
地表の気圧が大きいため、人間が住むには向いていない。また、土壌から有毒な成分が検出されている。
空気にもやがかかっているが、未知な成分が含まれているかもしれない。研究サンプルになりそうだ。
《薬品》で恐怖判定を行う。
○このハンドアウトを調査したPCは「プライズ:サンプル38A」を獲得する。
○まだ公開されていなければ、ハンドアウト「物質変換装置」を公開する。


●NA32-00039

水色の惑星。大気は希薄だが、酸素が含まれている。
大きさは地球の3分の1ほど。地表の平均気温は-24℃。
着陸可能な場所は1か所検出されている。
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
氷でできた惑星であり、本物の陸地は面積がかなり小さい。惑星の大きさと相まって、居住には適さない星だ。
しかし、そのわずかな陸地に明らかに人工物の装置が一つ佇んでいる。電波を発信しているように見えるが…?
○ハンドアウト「電波発射装置」を公開する。


●NA32-00040

灰色の惑星。大気圏が存在し、惑星内部から水分が検出されている。
大きさは地球よりやや大きい。地表の平均気温は9℃。
着陸可能な場所は複数検出されている。
【秘密】
ショック:全員
〈拡散情報〉
なんとか着陸できたものの、天候が非常に荒れている惑星であることが判明した。完全に住めないことはないが、相当な工夫が必要だろう。
あたりを視察していると、強風とともに氷の雨が……地球の雹より何倍も大きな「氷の塊」が降ってきた!
《天文学》で恐怖判定を行う。
○ハンドアウト「氷の雨」を公開する。


●物質変換装置

宇宙船に搭載されている装置。探索中に採取したサンプルから不純物を取り除き、残った物質を使いやすい素材に変換してくれる。変換には少しばかり時間がかかるだろう。
好きな技術分野の特技で判定を行い、成功した場合名前に「サンプル」が含まれているプライズを1つ変換できる。この判定は計画判定になる。判定はプライズごとに行うことができる。
このハンドアウトに秘密はない。


●電波発射装置

とある惑星に設置されている装置。一定の間隔で電波を発信している。
攻撃性はなく、何かのメッセージを繰り返しているようだ。
時間をかけて電波を解析すれば、内容を解読できるかもしれない。
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
解読を試みたところ、どうやら電波は挨拶の言葉が含まれているメッセージのようだ。しかし、地球で使われているどの言語にも当てはまらない。
加えて、メッセージにはいくつかの数字も含まれている。前後の文脈から見れば、なにかの座標を指し示しているようだ。
PCは座標の【居所】を調査できる。PCの誰かが座標の【居所】を獲得したら、即座にクライマックスフェイズへ移行する。

※PC1が見つけた電波受信記録は、この装置が発信しているメッセージの一部である。
※【居所】を手に入れることで、その場所へ向かうことができる、と説明を入れてもいい。


●氷の雨

想像以上に激しい雨が降り注いだ。防御システムを起動したにも関わらず、巨大な氷の塊によって宇宙船は損傷を受けてしまった。
宇宙船が修理されるまで、すべての調査・回復・儀式判定に-2の修正がつく。
宇宙船を修理するには、《電子機器》《乗物》《機械》のいずれかで判定を行う。成功すれば、判定を行ったPCは1点のダメージを受けるが、上記のペナルティーはなくなる。失敗した場合、判定を行ったPCは1D6点のダメージを受ける。この判定は計画判定であり、成功するまで挑戦が可能だ。
判定する前に、名前に「宇宙化合物」が含まれているプライズを使用する場合、1回の使用につき判定に+1の修正をつけられる(複数回の使用が可能)。
このハンドアウトに秘密はない。




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◆プライズ

本シナリオでは以下のプライズを入手することができる。PCの誰かがプライズを入手した際、プライズの内容をPC全員に公開しても構わない。
・サンプル35S、サンプル37S、サンプル38A:ハンドアウトの秘密開示により入手。「物質変換装置」の計画判定の対象。計画判定後、元のプライズは失われる。
・宇宙合金35R:「サンプル35S」に上記の計画判定を行うことで入手できる。
・宇宙植物37R:「サンプル37S」に上記の計画判定を行うことで入手できる。
・宇宙化合物38R:「サンプル38A」に上記の計画判定を行うことで入手できる。


●プライズ:サンプル35S

惑星NA32-00035から採取した土壌のサンプル。未知の成分が含まれている。
「物質変換装置」を使って分析し、成分を抽出することができる。
このプライズに秘密はない。


●プライズ:宇宙合金35R

土壌サンプルに含まれた金属の成分が、装置によって新種の合金に変換された。優れた耐熱性を持ち、強度もあるため、宇宙船に使う部品や工具に加工することができそうだ。
このプライズの使用は手番を消費しない。使用すれば、手が空いた乗組員が合金を宇宙船の部品に加工してくれる。
このプライズに秘密はない。


●プライズ:サンプル37S

惑星NA32-00037から採取した、未知の植物が植えてあった土壌のサンプル。
「物質変換装置」を使って分析し、成分を抽出することができる。
このプライズに秘密はない。


●プライズ:宇宙植物37R

土壌サンプルには植物の成長を促進する物質が含まれている。地球に存在しないそれを使うことで、過酷な環境にも適応できる植物を育てられそうだ。
植えてあった植物は食用可能だ。種を採取できたので、育てば食糧になるかもしれない。
このプライズの使用は手番を消費しない。使用した2シーン後に種から植物が育ち、使用者は「鎮痛剤」を一つ入手する。
このプライズに秘密はない。

※「ご飯を食べて体力を回復する」の意味で、アイテムとして鎮痛剤を獲得するが、植物が薬になるというわけではない。味は普通の野菜と似ている。


●プライズ:サンプル38A

惑星NA32-00038から採取した空気のサンプル。もやがかかっている。
「物質変換装置」を使って分析し、成分を抽出することができる。
このプライズに秘密はない。


●プライズ:宇宙化合物38R

空気サンプルに含まれた不思議な化合物は、様々な物質を修復できるらしい。無機物はもちろん、生物にも効き目があるかもしれない…?
このプライズの使用は手番を消費しない。修復したいものを目標に、3回まで使用できる。
このプライズに秘密はない。

※宇宙船の修復に使うことを想定しているが(ハンドアウト「氷の雨」参照)、枯れた植物に使うことで蘇らせることも可能だ。PC2から質問があった場合、または「プライズ:宇宙植物37R」を使用できなかった場合はこの情報を提示しても良い。




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◆裏話(ネタバレ)

※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。

「ミッション:ノア」(以下「前作」)のテストプレイをした際、「この世界観でもっと遊びたい!」と言われたので、じゃあ続編書くか~とふんわり決めていましたが、書きたいシナリオが多すぎてまたもやだいぶ時間がかかってしまいました…。改めて、前作を遊んでくれた友人たち、そして公開後に遊んでくれた方たちにも御礼申し上げます。少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです…!

さて今作の話をしましょう。ある意味これを1作目に書くべきでは?と思わなくもない内容ですが、前作を書いたときの私では間違いなく完成できなかったシナリオだから、この順番が正解だと今は思えました。
前作のあとがきにも書きましたが、宇宙は好きだけどSF自体は門外漢なので、今回もふわっとした知識で宇宙探索について模索してみました。ただ【参考資料】にも上げた作品たちのおかげで、それなりに納得のいくものは書けたかなと自分では思っています。ちなみに参考にしているご本、去年(2023年)友人がクリスマスに贈ってくれたプレゼントなので、本当に感謝しかありません!それもあって、やはりこのシナリオは過去の私には書けなかったものだな~と感慨深く思いました。
それはそうと、テーマ的にこのシナリオを遊んでから前作を遊ぶことも全然できるから、前作を知らない方はぜひ逆の順番で遊んでみてほしいです。むしろそのほうが楽しいかもしれないと作者は思っております…!

「ミッション:ノア」シリーズですが、2作目は友人からいただいたアイデアを参考にしたにも関わらずかなり別物のシナリオができあがりましたので、3作目もきっと似たような感じになります。3作目は前作のあとがきにある通り、同じ世界線だけど全く違うPCたちの話にしたいと考えていますので、「ノア32号」の話はこれにて一旦完結となります。
次回作が何年後になるかわかりませんが、またご縁がありましたら遊んでもらえると嬉しいです。それでは、また会う日まで!