マルチジャンル・ホラーRPG インセイン
舞台:未来の宇宙船(SF風味)
プレイヤー人数:3人
リミット:2サイクル
狂気カード:12枚
タイプ:協力型
レギュレーション:基本ルルブのみで遊べる(デッドループ使用可)
22XX年。地球上の資源が枯渇し、人類は生きるために外宇宙へ移住しようと考えた。
最新技術を搭載した宇宙船に乗り込み、あなた達は人類が居住するのに適合し、
また食糧となる動植物を飼育できる環境を求めて出発した。
探検の旅は順調に進み、半月が過ぎたころ。
次に出会う星に期待を抱きつつ、今日もあなた達は未知の世界へ進んでいく……
これから起きるであろうハプニングを知らずに。
○PC1 リーダー
推奨職業:冒険家
あなたはこの宇宙船のリーダーだ。宇宙船の操縦も一通りこなせるが、乗組員の意見をまとめ、指揮を執ることがあなたの仕事だ。
あなたの【使命】は、「宇宙船を安全に次の目的地へ向かわせる」ことだ。
○PC2 ドクター
推奨職業:医師
あなたは動植物の研究を専門とする学者だ。これから向かう星の環境が人類に、また他の動植物にどのような影響をもたらすのか、研究や判断するのがあなたの仕事だ。医学の心得も多少ある。
あなたの【使命】は、「乗組員や動植物のサンプルの健康を維持する」ことだ。
○PC3 エンジニア
推奨職業:技術者
あなたは宇宙船のメンテナンスを担当するアンドロイドだ。緊急事態にも対応できるように、いつでも冷静に行動できるようにプログラムされている。だがそれ以外、あなたは普通の人類と同じように言葉を交わし、行動を取れる(食事も動力に転化できる)。
あなたの【使命】は、「宇宙船のメンテナンス作業を行い、乗組員の安全を確保する」ことだ。
本作は、「河嶋陶一朗/冒険企画局」「株式会社新紀元社」が権利を有する『マルチジャンル・ホラーRPG インセイン』の二次創作物です。
©河嶋陶一朗/冒険企画局/新紀元社
本作を遊ぶのにインセインの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。
この先はGMする方のみ読み進めてください。
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遠い未来の話。
地球の資源が尽きそうになり、人類は生きるために外宇宙の探索を始めた。各国の政府が協力して「ミッション:ノア」という探索プロジェクトを発足し、数多くの宇宙船が旅立っていった。
PCたちのチームが搭乗した宇宙船もそのうちの一つである。そして、唯一移住に適する惑星にたどり着けたのはPC1の率いるこのチームだった。それはシナリオの時点から数年後の話になるが。
発見したのはいいが、同時に問題が発生した。生命を育むに適した環境というのはつまり、既に生命が存在していてもおかしくない環境ということだ。
その惑星には、既に先住民がいたのだ。言語が通じないために先住民に誤解され、攻撃を受けた地球側はやむを得ず反撃して、やがてそれは戦争に発展した。
十数年に渡る大戦を経て、結果的に技術力が優れた地球側が勝利し、先住民から多くの土地を奪って領地にした。だが戦争によって双方が失うものも多かった。移住先の星の一部を破壊したことはもちろん、勇敢に戦った兵士たちもまたたくさん犠牲となったのだ。
この戦争で命を落とした兵士の一人には、科学の才能に優れた息子がいた。息子は新しい星に移住してからも勉学に励み、研究に没頭した結果、ついに前人未到の技術――タイムトラベルにたどり着いた。
悪用を防ぐため、技術自体はごく一部の人間にしか知られていないが、当然発明者である息子はその中の一人である。彼はそもそもこの技術を自分のために使いたいから研究を始めたのだ。そして彼の目的はたった一つ:過去に戻り、父を救うことだ。
兵士が死んだのは戦争があったからだ。なら戦争自体をなくせば父が死ぬこともなかった。戦争を止めるのは簡単ではないが、もっと根本的な解決法がある:「ミッション:ノア」自体が失敗すれば、あの星にたどり着くことはない。手始めに、PCたちが乗っている宇宙船を止めようとして、彼は宇宙船の爆破を計画した。
しかし、彼の動向はとうの昔から監視されていた。事情を把握している連合政府の上層部はすぐに警察に連絡を取り、過去を守るためにある極秘任務が始まったのである……。
聖書の「ノアの方舟」に倣ってミッションの名前がつけられた。また、方舟のように宇宙船には各種の動物(及び植物)が乗船している。さすがに地球上すべての生物を、というわけにはいかないが、新しい惑星の環境に人類の食糧となりえる動植物が適応できるかどうかを検証するため、食べられる動植物を中心に乗せている。
地球が未曾有の危機に直面し、国に関係なく協力すべきだ、と提唱した政治家たちが連合政府を組織し、各国の代表が参加している。連合政府は独自の軍機関や警察組織を有している。PC3はこの警察組織の一員になる。
資源が尽きそうとはいえ、猶予あるうちにミッションを始めたので、すぐに住めなくなるほどではない。現に、PCたちが移住先の星にたどり着いてから戦争が起きて、移住できたのはそのさらに先の話になる。
そのため今回の犯人である科学者は、「ミッション:ノア」が失敗しても、少なくとも自分の親が生きているうちには地球に住み続ければいいと思い、計画を敢行した。もっとも、過去を変えたところで、すべて彼の思い通りになるかどうかはまた別の問題になるが。
これ以降、※から始まるのはGM情報とする。
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推奨職業:冒険家
あなたはこの宇宙船のリーダーだ。宇宙船の操縦も一通りこなせるが、乗組員の意見をまとめ、指揮を執ることがあなたの仕事だ。
あなたの【使命】は、「宇宙船を安全に次の目的地へ向かわせる」ことだ。
【秘密】
ショック:なし
あなたの日課は宇宙船の航海日誌をチェックすることだが、今朝の日誌で気になる記述を発見した。船内に存在しないはずの生体反応が2回検出されたが、どちらも短時間内に消えたのだ。一体この記録は何を意味するのか。
あなたの本当の【使命】は、「宇宙船を探索し、何が起きたのかを調査する」ことだ。
※生体反応はそれぞれ爆弾を設置した犯人とPC3のものである。犯人は爆弾を設置したあと元の時間軸に戻り、PC3はすぐにアンドロイドに擬態したため、どちらの反応もすぐに消えた。詳しくは後述【時系列】の項目を参照。
※爆弾を発見できれば使命達成になる。
推奨職業:医師
あなたは動植物の研究を専門とする学者だ。これから向かう星の環境が人類に、また他の動植物にどのような影響をもたらすのか、研究や判断するのがあなたの仕事だ。医学の心得も多少ある。
あなたの【使命】は、「乗組員や動植物のサンプルの健康を維持する」ことだ。
【秘密】
ショック:なし
あなたはアンドロイドの生態にも興味を持つ。機械でありながら、彼らはあまりにも人間と似ている。人間と共存することをどう思っているのか、仲良くなれたら聞けるのだろうか?そもそもアンドロイドと仲良くできるのか?
あなたの本当の【使命】は、「PC3と感情を結ぶ」ことだ。
○あなたは自身が所持する鎮痛剤をプラスの感情を結んだキャラクターに使用することができる(受け渡しや手番不要)。対象の生命力が0になった時点で、生命力を回復させ脱落を防ぐことができる。
○あなたは初期のアイテムやアビリティの効果とは別に、鎮痛剤を2つ所持している。
推奨職業:技術者
あなたは宇宙船のメンテナンスを担当するアンドロイドだ。緊急事態にも対応できるように、いつでも冷静に行動できるようにプログラムされている。だがそれ以外、あなたはまるで普通の人類のように言葉を交わし、食事のような行動も取れる(食べ物を動力に転化できる)。
あなたの【使命】は、「宇宙船のメンテナンス作業を行い、乗組員の安全を確保する」ことだ。
【秘密】
ショック:PC1、PC2
あなたは未来から来た人間だ。未来ではタイムトラベルの技術が確立したが秘密とされていて、過去の改変は当然禁忌だ。しかし、何者かがこのミッションを失敗させようと、時間を遡り宇宙船に爆弾を仕掛けた。警察の爆発物処理班に所属するあなたはその爆弾を解除するように命じられ、過去の時間軸にあるこの宇宙船に派遣された。あなたは特殊な装置によってアンドロイドに擬態し、任務にあたっている。
あなたの本当の【使命】は、「宇宙船に隠された爆弾を解除すること」だ。
また、ハンドアウトには含まれていないが、PC3には以下の事前情報を渡してください:
【事前情報】
○アンドロイドの擬態について
アンドロイドに擬態したPC3は、乗組員たちからは宇宙船に同乗しているアンドロイドと同じ姿に見える。同じ顔を持つアンドロイドが数体同乗しているため、あからさまに疑われることはない。また、同乗したはずのアンドロイド一体を一時的に停止させたことで、怪しまれる可能性を最低限に押さえている。宇宙船内には生体反応を常に監視しているプログラムも作動しているが、擬態している間は検出されることもない。
任務を達成すれば、あなたは元の時空に帰還させられる。
PC3の名前は乗組員につけられた名前であり、警察である「本来の人間」の名前とは違ってもいい(自由に設定してかまわない)。
○「ミッション:ノア」について
PC3の時代から数十年前に発足した探査計画で、目的は人類が移住できる惑星を見つけることだ。ミッションは成功し、PC3を含めて一部の人間は既に新しい惑星に移住している。
新しい惑星には原住民がいたが、彼らと接触した地球人が攻撃されたことにより宇宙戦争が勃発し、地球側が勝利を収めたことをPC3は知っている。
※このシナリオの背景に関する情報がほとんどPC3に集まっているが、あくまでシナリオの目的は「爆弾の脅威を取り除くこと」であるため、PLがあまりに思い悩むのであれば【使命】に集中するように促してください。
2:窓の外に人型ではない影が通り過ぎていったような……もしかして未確認生物?!初めて遭遇したシーンプレイヤーは《宇宙》で恐怖判定を行う。
3:室内の照明が点滅している。壊れかけているのだろうか?
4:警報が鳴り響く。前方にある隕石を避けるために進行方向を変えなければならないので、揺れに気を付けたほうがいい。
5:廊下の向こうからPC3……と同じ顔のアンドロイドが歩いてきた。見回りをしているようだ。
6:空調の音がやけに大きく聞こえる。酸素のバランスに問題はなさそうだが、換気システムの点検はいつ以来だろう?
7:静まり返った空間には誰もいない。たまに感じる僅かな振動だけが、宇宙船が稼働していることを教えてくれる。
8:ピッ、ピッ、ピッ……と、一定間隔で電子音が鳴っているような気がする。とても微弱なものだが、何の音だ?
9:自動ドアが反応してくれない、と思っていたらロックがかかっていた。生体認証で無事開けられるが、一体誰が施錠したのだ?
10:美味しそうな匂いが漂ってくる。次の食事の時間まであとどれぐらいだろう?
11:外が一瞬光ったように見えたが、未発見の天体か?どの方角から来たものか、あとで確かめないと。
12:誰かが備品を落としたようだ。鎮痛剤を1つ獲得する。
※2番の恐怖判定は、同じPCの2回目以降の遭遇では免除する(「恐怖への適応」もご参照ください)。
※8番は時限爆弾の音。
※9番に関しては、アンドロイド専用の認証(生体というよりは体の特徴で判別)があるため、擬態したPC3でも開錠できる。
12枚使用。ランダムで選出しても構わない。
例:
・基本ルルブから:疑心暗鬼、依存、疎外感、パニック、いきすぎた想い、闇からの祝福、潔癖、陰謀論
・デッドループから:予知夢、かんしゃく、既視感、望郷
・デッドループを使わない場合、基本ルルブから追加:広がる恐怖、盲目、絶叫、異言
※あくまで一例であって、ほかの狂気カードを使っても構わない。
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トレーラーを改めて提示した後、以下のシーンを描写する。なお日付は9月15日にしているが、特に深い意味はないので自由に変更していい(セッションの日にすることもできる)。
【22XX年9月15日 宇宙の旅・15日目】
AIによって設定された起床用の音楽が流れて、夢を見ていたあなた達は現実世界に連れ戻された。
地球と違って、太陽の光が届かない宇宙空間に旅だってから、早15日。ゆるやかなメロディーに起こされることに慣れてきたところだ。
各々朝の支度をし、今日のスケジュールを確認する。この宇宙船――「ノア32号」に搭載された最新型のAIは、24時間休みなしに船内を監視してくれるので、トラブルが発生したとき以外、自由時間は意外とあるのだ。
それでも、毎朝乗組員や手の空いたアンドロイドたちは会議室に集まり、昨日の振り返りや今後の目標についてブリーフィングを行う。もちろんその前に、朝食を取ることも忘れずに。
今日も宇宙食にしては美味しく調理された朝ごはんを食べて、あなた達は会議室へと向かった。
宇宙船の状態や航路を確認し、自動記録された航海日誌と照らし合わせていると、同席している(PC3ではない)アンドロイドの一人が「報告です」と手を挙げた。
「船内から未知の電波を検知しました。とても微弱なので位置を特定できません。危険があるかどうかは現時点で判断できかねます。発生源の特定をおすすめします。」
このアンドロイドは船内の電波や放射線の観測が仕事だとあなた達は記憶している。にしても、この謎の電波とは一体…?
GMは「ブリッジ」、「生物管理室」と「食堂」のハンドアウトを公開し、メインフェイズに移行してください。
○ゾーキングに関して
ゾーキングによって開示されるハンドアウトや重要な情報はない。
宇宙船内に関しては以下の通りだが、GMが適切に思う描写を自由に追加していい。
・宇宙船について
「ノア32号」はアンドロイドを含めた十数人の乗組員、及び各種の生物を乗せて長期の旅ができる宇宙船である。広い船内には寝室のほかにたくさんの部屋が備えてあり、ハンドアウトにある場所以外に多数の施設が備えられている。
数年、下手したら十年以上旅を続けるかもしれないので、仕事に必要な部屋以外に、娯楽施設(ゲームコーナー、ミニ映画館など)、家族に連絡できる個人通信用の部屋なども存在する。また圧縮技術の発達により、補給物資も十分に積まれている。
・アンドロイドについて
男性型、女性型の2種類があるが、同種のアンドロイドは同じ顔を持ち、番号によって個体が識別されている。名前(ニックネーム)をつけるかどうかは乗組員の自由で、公式の記録では名前は使われない。PC3が名乗っているのは乗組員たちにつけられた名前である。
○マスターシーン
このシナリオにマスターシーンはない。
○時系列
セッション中に言及されるであろう出来事の時系列は以下の通り。全て当日に起きたことで、【背景】にあった事件などは省略している。
・朝4時:犯人(発明者)が宇宙船に到着、一度目の生体反応異常が検知される
・朝4時過ぎ:犯人が爆弾を設置し、そのまま元の時空に帰還
・朝6時:PC3が宇宙船に到着、二度目の生体反応異常が検知される
・朝7時:起床時間。導入開始
リミットの2サイクル目が終了した後、クライマックスフェイズに移行する。
クライマックスフェイズでは、PCが儀式を行なうことを想定している。エネミーはいないが、速度プロットを行い、戦闘と同様に処理してください。
なお爆弾を発見できなかった場合、クライマックスを省略し、そのままエンディングフェイズに移行する。
○爆弾を見つけた場合の描写例
どうして宇宙船に突然時限爆弾が現れたのかは知らないが、このまま放っておくわけにはいかないだろう。
こうして見ている間もカウントダウンが進んでいる。近くに停船できる場所もないし、爆弾を動かしていいものか確証がない以上、この場で解除を試みるしかないようだ。
○終了条件
1)3ラウンド以内に【儀式:爆弾解除】を成功させた
2)儀式が失敗した/儀式を行なわなかった
3)【儀式:爆弾解除】を入手できなかった
○3ラウンド以内に【儀式:爆弾解除】を成功させた
酷く原始的な爆弾ではあったが、だからこそ最後の手順を行なうのは緊張を伴うことだった。
正しいケーブルを選び、鋏を用いてあなたはそれを切断した――
同時に、カウントダウンの数字が止まった。
……爆弾の解除は成功した!あなた達は宇宙船を危機から救ったのだ。
※RPがあれば適宜挟んでもらう。少し猶予はあるが、PCたちが通常業務に戻ったところで、PC3は回収した爆弾とともに元の時間軸に転送される。PC3に関する描写を挟むかどうかはGMに任せる(秘密が開示されたかどうかにもよるだろう)。
旅にハプニングはつきものだ。しかし共に困難を乗り越えた乗組員一同は、これから更に団結し、目的地へ向かって邁進して行くことになるだろう。
宇宙の旅はまだまだ続く。いつか遠い遠い、見知らぬ星を目にする日まで。
【END A: Witnesses to History】
○儀式が失敗した/儀式を行なわなかった
タイマーに表示された数字が減っていく。時限爆弾を前にして、あなた達にできることはなかった。
カウントダウンはいよいよ残り5秒。4、3、2、1――
0になった瞬間、目の前にあったはずの爆弾が――突如消えてしまった。
まるでそこには何も存在しなかったかのように。爆発が起きることもなく、見慣れた倉庫だけがそこにあった。
あなた達は助かったようだ。理由はわからないが、それは喜ばしいことに違いない。
再びトラブルに巻き込まれないように祈りながら、あなた達は旅を続ける。いつか遠い遠い、見知らぬ星を目にする日まで。
【END B: Another Future】
※未来にいるPC3の上司や警察関係者が爆弾解体の失敗に気づき、PC3の同僚を別途から送り込み、事件を解決した。結果、更に歴史と異なる時間軸が発生したが、すべての時間軸が合流したのがこの時点である。爆弾が消えたのはPC3の同僚が回収した結果になる。この後PC3は無事に未来に戻れるが、使命は達成できない。描写を挟むかどうかはEND A同様GMに任せる。
○【儀式:爆弾解除】を入手できなかった
宇宙船を巡回してみたものの、あなた達は大きな異常を発見できなかった。どうしたものかと考えているところに、電波を観測していたアンドロイドが「報告です」と駆けつけてきた。
「船内で検知した未知の電波が消えました。他に異常はありません。安全も確認できましたので、通常業務に戻って問題ないと判断します。皆さまお疲れ様でした」
結局何が起きたのかは不明のままだが、旅を続けても問題ないそうだ。腑に落ちないと思いつつも、あなた達はそれぞれの仕事場へ戻るだろう。
このまま無事目的の星が見つかりますように。そう祈りながらあなた達は旅を続ける。いつか遠い遠い、見知らぬ星を目にする日まで。
【END C: Journey Continues】
※描写は違うものの、概ねEND Bと同じ経緯でたどり着いた結末。このエンドでもPC3は使命を達成できない。この後PC3は無事に未来に戻れるが、描写を挟むかどうかはGMに任せる。
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宇宙船の司令塔。周囲の様子を監視し、宇宙船の操縦や航路を決めるための機械がたくさん並んでいる。無闇に触らないほうがいいだろう。PC1の普段の仕事場。
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
レーダーで捜索してみたところ、付近に危険な漂流物は見当たらない。電波を発する物も見つからなかった。何かが外から宇宙船に侵入したようには見えない。
ここからエンジンルームに通じる扉がある。
○ハンドアウト「エンジンルーム」を公開。
食事が提供される場所。圧縮された保存食を美味しく自動調理してくれる機械もあれば、乗組員が自ら調理を行なえるスペースもある。休憩に使われることも多い一室だ。
【秘密】
ショック:なし
〈拡散情報〉
調理機械からは微弱な電波が検知されるが、未知なものではない。
ここで食事を取ることで、体調を回復することができるだろう。
この秘密を獲得したPCはそれぞれ《味》で判定することができる。成功すれば、「鎮痛剤」を一つ獲得できる。
船の中心部であり、動力を供給する機関が複雑に絡まっている。厳重に警備されており、リーダーの許可がなければ入室できない。
このハンドアウトはPC1が登場しているシーンでのみ調査できる。
【秘密】
ショック:全員
何やら機械の部品が落ちているが、エンジンが壊れている様子はない。部品から電波が検知されているわけではないが、宇宙船に搭載されている予備品でもないようだ。念の為、倉庫を確認したほうがいいかもしれない。
《分解》で恐怖判定を行う。
また、新聞紙の切れ端が部品の下敷きになっていた。記事の見出しは「交渉不可能 宇宙大戦勃発」となっており、発行日は現在より十年後になっている。
○ハンドアウト「倉庫」を公開。
※PC1が登場さえしていれば調査可能なので、PC1がシーンプレイヤーである必要はない。
エンジンルームの隣にある部屋。宇宙船の整備に使う部品や工具が置かれている。使用頻度の少ない日用品なども雑然と積まれている。必要な物を探すのに時間がかかりそうだ。
【秘密】
〈拡散情報〉
ショック:PC1、PC2
日用品の中から微弱な電波を探知した。未知な電波はこれに違いない!
無関係なものを取り除けば、たくさんのコードに繋がっている四角い箱が出てきた。箱にはデジタル時計のようなディスプレイがついていて、カウントダウンが進んでいる。また、「英雄気取りの元凶たちへ」の文字が表面に刻まれている。
文字の意味はともかく、箱のデザインには見覚えがある……映画でよく見る時限爆弾ではないか!
《時間》で恐怖判定を行う。
○「儀式:爆弾解除」を公開。
――― × ――― × ――― × ―――
儀式名:爆弾解除
手順1 緊急避難命令 指定特技:《乗物》
参加条件:PC1、PC2のみ参加可能
ペナルティ:正気度を1点減少
船内の安全な場所を把握し、乗組員に避難指示を出す。
手順2 爆発物分析 指定特技:《物理学》、《数学》もしくは《化学》
参加条件:全員参加可能
ペナルティ:判定に失敗した場合のみ、狂気カードを1枚獲得
爆弾を分析し、解除方法を探す。
手順3 爆弾解除 指定特技:《分解》
参加条件:PC3のみ参加可能
ペナルティ:正気度と生命力を1点ずつ減少。判定に失敗した場合のみ、PC3は3D3のダメージを負い、PC1とPC2は1D3のダメージを負う。
爆弾を解除する。一度失敗しただけでは爆発しないが、ダメージを負うことは避けられない。
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※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。
最初に言っておきたいことがあります。SFにおいて私は完全に門外漢なので、シナリオに変なことを書いてしまったんじゃないかと、割と不安でした。でもテストプレイでOKをもらったので、こうして世に出すことができましたた。遊んでくれた友人の皆さん本当にありがとうございました!
SFをどれぐらいわからないかというと、本も映画もほとんど見たことがないレベルです。読んだ記憶があるのは「The Hitchhiker's Guide to the Galaxy」ぐらいですかね、あとは科学要素もあるけどファンタジー色のが強い物語を少しだけ。そんな人間がどうしてこのシナリオを書こうと思ったのか。きっかけは「宇宙人狼」と言われているゲームの「Among Us」でした。
シナリオを思いついたのは2021年の頭で、当時はこのゲームの配信もとても流行っていました。自分はどのゲームにおいてもPvPが苦手なので実際に遊んだことはないけど、配信はそれなりに見ましたし、「宇宙船の乗組員になってタスクをこなす」というシステムが楽しそうだなと思いました。そこから「PvPができないのなら、協力型のシナリオをやればいいのでは?」という考えにいたり、いつか書いてみようと決心しました。
ところが、「宇宙探検しつつ日常の仕事(タスク)をこなすだけ」ではシナリオとして事件性がなさすぎるし、本当に面白いのか?となってしまいました。シナリオにするのならやはりハプニングが必要だから、「急に爆弾が現れた!」とかなら驚いてもらえるんじゃないかな?でもそうするとこの爆弾はどこから来たのか……とつじつまを合わせるために色々考えていくうちに、日常の部分が全部なくなり、なぜか今のシナリオ背景ができあがりました。もっとほのぼのするはずだったのにね……?
ちなみに、この背景も実はVer.2だったりします。最初のはあまりに闇が深すぎて没にしました。今のもだいぶあれですが……
でもありがたいことに、「こちらの世界線でもっと遊びたい」という声を頂きましたので、いつか続編を書きたいと考えております。他にも書きたいシナリオがいっぱいあるのでいつになるかはわかりませんが……(2022年時点ではとりあえず年内には無理そう)
今のどころざっくりとしたアイデアが2つほどあって、このシナリオを遊んだPCたちがそのまま継続で遊べるものが一つ(PC3は少々特殊な処理が必要かもしれませんが)、発見された惑星の先住民(の後代かもしれない)で遊べるものが一つあります。うまくまとまったら書きますので、お待ちいただければ幸いです。
そうそう、宇宙船の構造や描写などに関して、もう一つ参考にしたゲームがありましたのでこちらでお礼を。同じく宇宙人狼にあたる「グノーシア」です。世界観はシナリオと違うので似せすぎないようには気をつけましたが、ハンドアウトを考えるときに少なからず参考させてもらいましたので、「Among Us」と同様に本当に大変助かりました。SF好きな方、もし機会があればぜひこちらのゲームたちも遊んでみてくださいませ!