刀剣乱舞×クトゥルフ神話TRPG
Pixiv版(内容はこのページと同じ)
時間:オンラインテキストセッションで6~8時間
難易度:易/ロストはほぼないが、EDによってはペナルティーあり
推奨人数:1~2人
推奨技能:〈日本刀〉
準推奨技能:対人(交渉)技能
※回避できない戦闘あり
※刀剣乱舞の世界観に関する独自の解釈が含まれます
※平野藤四郎の極の修行に関してのネタバレ(行先など)が含まれます
※PCたちの主である審神者を含め、人間のNPCが登場します
※歴史が絡むシナリオですが時代考証がだいぶ適当です。おかしいところがあればスルーするか、もしくはKPが適度に改変してください
仲間たちに見送られ、平野藤四郎は修行のために本丸から発った。毎日本丸に届く手紙を読んで、審神者や刀剣男士たちはその旅を見守りつつも、彼の帰還を待ち望んでいた。
そうして迎える修行の最終日。午後に到着する予定の平野をどうやって歓迎するか、本丸全体が浮足立っているとき、こんのすけにより一本の知らせが届けられる――。
※PCは平野藤四郎と同じ本丸に所属している刀剣男士になります。
このシナリオは以下のハウスルールを前提として作られています。違うルールを用いる場合、シナリオを適宜改変することをおすすめします。
・刀剣男士自身の耐久(HP)は〈応急手当〉や〈医学〉で回復可能
・刀剣男士の本体の耐久は審神者の手入れのみで回復可能
・自分の主である審神者の手入れを受けると、PC自身のHPも本体の耐久も全回復する
→その際手伝い札を使用すれば時間経過はなしとする
本作は、「Chaosium Inc.」「株式会社アークライト」「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
©Chaosium Inc./アークライト/KADOKAWA
また、本作は「ニトロプラス」が権利を有する『刀剣乱舞-ONLINE-』の二次創作にもあたります。
本作を遊ぶのにクトゥルフ神話TRPGの基本ルールブックが必要です。本文中の「ルルブ」「ルールブック」表記は基本ルールブックを指しています。
この先はKPする方のみ読み進めてください。
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どこかの時代に出現した時間遡行軍が不幸にもティンダロスの猟犬に遭遇した。
猟犬に狙われた遡行軍は、相手を撃退することが出来ず、時間を越えて逃げようとした。
ただひとつ誤算だったのは、相手も時間を越える能力を持っていたことだ。
元和3年、金沢城下町。鉢合わせした両者は戦闘になり、近隣の住民をも巻き込んだ末、時間遡行軍は殲滅され、ティンダロスの猟犬もその後去っていった。
しかし、巻き込まれた犠牲者によって、事態は収束するどころか、新たな事件が引き起こされた。
ティンダロスの猟犬の影響か、犠牲者の亡霊が変質し、道連れを探そうと金沢城へとさまよって行った――。
己を極めるために修行にでかけた平野藤四郎は、元主である前田利常に連れられ、江戸から加賀に戻り、利常の居城である金沢城でお世話になっていた。
修行の最終日を迎え、いざ本丸へ戻ろうとしたとき。時間遡行軍の気配を感じて、平野は警戒しながら城内を駆け回った。
そして、見てしまう。利常の子供が、「怨霊」に襲われるところを。
自分一振りでは太刀打ちできないと悟った平野は、元主たちを守るため、そして歴史を守るため、力をすべて使い「怨霊」を遠ざけようとした。
あとは、祈るのみ。戻れない彼を、仲間たちが、今の主が、気づいてくれることを……。
※平野の修行に関して、過去のどの時間軸に赴いたかは明確に示されていないため、このシナリオではあくまでいろんな可能性の中から一つを採用しているだけです。この本丸の平野藤四郎はこの時間軸に赴きました、ということにしてください。
※参考:刀剣乱舞-ONLINE- Wiki
次のページ以降、「※」から始まる情報はKP情報です。
――― × ――― × ――― × ―――
窓から差し込む日差しのまぶしさに、意識が浮上する。
新しい一日の始まりだ。鳥のさえずりを聞きながら、朝の支度をしていると、外から短刀たちのはしゃぐ声が耳に届く。
(PCが粟田口の刀である場合、同室(大部屋)の兄弟たちが話しかけてくる)
「今日、帰ってくるよね?」
「そうです、恐らく昼餉のあとになると思いますが」
「時間がずれちまうか。慰労会兼祝いは今夜やるとして、何かつまめるものでも用意しておくか」
その会話を聞いてあなたは思い出す。数日前に修行の旅に出た平野藤四郎、今日は彼が本丸に帰還する日だ。
支度ができると、PCは朝餉を食べるべく大広間へ向かう。本丸全員がそろって朝餉を食べるため、他の仲間も一緒に向かうのだろう。PCが複数人で同室ではない場合、ここで合流することができる。
大広間に入ると、配膳する刀剣男士の隣に、本日の近侍が本日の当番表を持って、近づいてくる男士たちにそれぞれの予定を伝える。これは毎日行っている習慣で、一人ずつ予定を聞いてから、朝食を貰うという流れになっている。
PCたちが近づくと、今日は同じ部隊で4時間の遠征へ行くことになったと聞かされる。11時に出発、帰りは午後3時ごろの予定だ。弁当を持っていくことも忘れずに、と言われるだろう。
※遠征任務について伝えることができれば、ここの設定は各本丸の事情を鑑みて変更しても構わない。
朝食の後、自室で準備を整えたPCは審神者に見送られて、遠征に出発する。
任務は滞りなく進み、あっという間に4時間が過ぎてしまう。集めた資材を確認し、PCは転移装置を頼って、本丸へ帰還する。
すると、本丸のゲートのすぐ近くに、審神者と粟田口の短刀たちの姿が見える(PCでなければ一期一振や鳴狐、鯰尾や骨喰もいるだろう)。
審神者はPCが戻ってきた瞬間、勢いよく顔を上げてゲートを見るが、PCの姿を確認するとどこか落胆したような表情を浮かべた。しかしすぐにいつも通りに「おかえりなさい」と言って迎えてくれる。
粟田口のみんなも「おかえりなさい」と笑顔で迎えてくれるが、すぐに視線をゲートのほうに戻してしまう。
話を聞くのなら、審神者が事情を話してくれる。
「実は、平野がまだ戻ってきてないんだ」
「予定では2時間ぐらい前に到着するはずだから、みんな心配して、ここで待っているんだよ」
「今までは時間がずれることも多少あったけど、さすがに2時間はなくてね……遅れる報告も来ていないしね」
PCがある程度状況を把握する、または何らかの行動を取ろうとすると、ポン、という音と共に、顔に赤い模様が描かれている管狐がゲートの前に姿を現す。この本丸によく訪れて、政府からのお知らせを届けてくれるこんのすけだ。
「おや、皆さまお揃いで……ああ、審神者さまもこちらにいらっしゃいますね、ちょうどよかったです」
こんのすけは審神者を見つけると、とてとてと前まで歩いて、まっすぐに審神者を見つめて口を開く。
「政府からの入電をお伝えします。『元和3年、金沢にて時間遡行軍の出現を確認。ただし気配はすぐに消えたため、詳細は不明。敵の目的を探り、歴史修正を阻止せよ』、以上になります」
「こんな時に……確か今までに狙われたことのない場所だよね?元和3年の金沢……金沢?」
審神者はそうつぶやくと驚愕の表情を浮かべる。
○PCが平野と兄弟もしくは親しい友人(キャラシなどで予めそう設定してある)の場合、〈アイデア〉が振れる。成功で、「元和3年の金沢」がまさに平野が修行に向かった場所だと審神者から聞かされたことがある、と思い出す。
○上記のロールに失敗した、またはロールできなかった場合、審神者が「ここって平野の修行先じゃ……」と言葉にする。
目的地のことを話すと、粟田口のみんなが一瞬にしてざわつくだろう。
こんのすけに確認するのなら、「確かに場所が一致していますね。平野さまからの連絡はこちらにも特に届いておりませんが……」と返事する。
ここでPCたちから自分たちが調査に行こうか?と提案された場合、話を合わせて部隊を結成してもらうといいだろう。そうでなくても、審神者は少し思案すると、PCたちの部隊に調査を頼んでくる。
「政府の知らせが正しければ、遡行軍はもういないはずだけど、念のため出陣のつもりで向かってほしい」
「でも、これはあくまで調査だから、対処できない事態だと思ったらいつでも帰っておいで。君たちの安全が最優先だからね」
そして、出陣したい粟田口の子たちに向けて、「万が一のことを考えて、いつでも出撃できるように準備しておいで」と宥めつつ本丸の中へと戻るように促す。
PCが了承すれば、荷物整理などして出陣準備をする時間を少し与えてもらえる。この間にKPとPLは改めて持ち物確認をするといいだろう。
再び出陣ゲートへ向かうと、審神者がPCに向けて短く呪文を唱え、「今回は調査だから聞き込みも必要かもしれないね。これで一時的に一般人に見えるはずだよ」と説明してくれる。
○KPは以下の情報をPLに伝えてください:術の有効時間は24時間ほどで、過ぎれば元の姿で認識されるようになる。術が発動している間、一般人には「その場所にいてもおかしくない人物」として認識される。だから警備されている場所でも近づけることができるが、物を盗むなどの行為を堂々とやればさすがに捕まるだろう。
※審神者の使う呪文はMPと霊力を消費した「平凡な見せかけ」に似たオリジナルの術だと考えていただければ。PCが動きやすくなるための対策なので、KPが望めば、術の代わりに同じ効力を持つアイテムなどを渡すように改変しても構わない。
術を施したら、審神者はゲートに目的地を入力してくれて、「頼んだよ」とPCたちを見送る。
転送装置が作動し、眩い光に包まれて、PCは出発することになった。
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※これ以降、舞台は歴史上の金沢に移ります。調べはしましたが、作者の日本史知識が0に等しいため、史実と違うところも多々あると思われます。事前にPLにそう伝えるか、あるいはKPが適宜改変を加えてシナリオをお使いください。
※追記:このシナリオの歴史考証について
KP向けの補足ですが、クリア済みのPLさんに向けての説明にもなると思います。
(一応、読まなくてもシナリオを回すのに問題はありません)
PCはとある寺社の裏まで転送される。周りに木々が生い茂っているため、目撃されて怪しまれることはなかった。
この近くは人気も少なく、話を聞ける人も見当たらない。けどそう遠くないところに賑わっている場所があるようで、たくさんの話し声が寺社まで伝わってくる。
○寺社には誰もいないし、特に情報になるものはない。ただ、帰りもここから転送してもらうことになるとPLたちに伝えて、そういう地点だと認識してもらうといい。
話し声の聞こえる方向へ向かうと、出格子が特徴的な町家が建ち並ぶ大通りにたどり着く。行き交う人々で賑わっているのはもちろん、点在する茶屋からは町人が歓談している声が聞こえ、どこからか三味線などの音楽も耳に入ってくるだろう。
KPはここで、PCを茶屋へ向かわせるように情報を出していくといいだろう。PCが茶屋へ向かいたいと言い出すのであればそのまま近くにある(一番客が多い)茶屋に案内するのも良し、町を調べたいのであれば行動や技能ロールによって以下の情報を提示してください。
○歩き回って調べたい、話を聞ける人物を探したい、など
PCが〈目星〉を振りたいと言った場合もこの情報を出すといい。町を行き交う人々が多くいる中、近くにある茶屋には何人か集まっていて、騒がしく何かについて議論をしているようだ。
○町の人の会話に聞き耳を立てたい、など
PCが〈聞き耳〉を振りたいと言った場合もこの情報を出すといい。人々が時たまに交わす挨拶の声が聞こえている中、近くにある茶屋から議論の声が聞こえる。耳のいいPCには「事件」、「怨霊」といった単語を聞こえるのだろう。
○その他、PCが行動に迷っていたり、思いつかなかったりする場合
〈アイデア〉もしくは〈知識〉で、この時代では茶屋は休憩所も兼ねているため、色んな人が集まる場所にもなっていて、話が聞けるかもしれない、と提示するといい。
決して広いとは言えない水茶屋は、店先に長椅子をいくつか並べた簡素な造りになっている。そこに何人か男性が集まっていて何やら議論をしているようだ。
PCが座ると、店番をしている若い女性が一人、PCに淹れたてのお茶を持ってきて「ごゆっくりどうぞ」とまた戻っていく。(座るのにPCが躊躇うのなら女性に「席空いてますよ」と案内させてもいい)
※女性は茶屋の主人の娘(看板娘)で、特に情報などは持っていない。
男たちは普通に話しているので、近くに座ればPCも自然と会話の内容が聞こえるだろう。
「ならば怨霊は先日の犠牲者とでも言うのか?」
「可能性はあるだろう?あいつは以前から前田様のことをよく思っていないし」
「にしたって今回の件は怪物とやらのせいだろう、前田様とは関係ないのでは……」
「君、怪物だなんて本気で信じてるのかい?妖怪ならともかく、あんな人殺しの化け物聞いたこともないじゃないか」
以降、「怨霊」と「怪物」についての話題が続く。
※「怨霊」と「怪物」が混同されないように適宜にPLに情報を出してください。
PCが話を聞くのなら、彼らは「なんだ、旅人か?この界隈じゃ専ら噂になっているがなぁ」と言いながら詳細を教えてくれる。
・三日前に二つ隣の通りに殺人事件が起きた
・死体の皮膚は何か青っぽい液体に腐蝕されたように焼けただれて、一目見て尋常じゃないことが分かる
・犠牲者は加賀領主である前田家に不満を持っていたらしい
・次の日(二日前)、領主の居城である金沢城に怨霊が出たと噂される
・昨日は陰陽師を城内に招いたらしいが、昨夜も怨霊が出たらしい
・現場の近くにある八百屋の店主が事件を目撃したらしく詳細を聞けるが、ありえない化け物を見たと主張するため、ほとんど信じられていない
・犯人の捜索は一応行われているが、目撃情報がほかになく、成果はあまり期待できない
・事件も怨霊も解決してくれる人を領主が探しているらしい、そのための報酬も出してくれるかもしれない
※本丸での時間の流れが外とは違うということで、本丸では数時間の遅れだが、平野くんにとっては数日が過ぎたことになる。
PCが聞けば、茶屋にいる人たちは「二つ隣の通りの八百屋」と「金沢城」の位置を教えてくれる。金沢城については、「あんな事件のあとで、いつもよりは警備が厳しくなってるだろうな。でも怨霊退治に協力すると説明すれば通してくれるはず」と付け加えてもいい。
ちなみに平野くんについて聞いても彼らは知らないと答える。
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※この部分を飛ばして、直接金沢城へ向かってもクリアするには問題ないが、シナリオ背景に関わる部分なので、聞き込みをしたほうがより本来の目的(時の政府より下された遡行軍の調査命令)に沿っているだろう(そのためクリア報酬に少し関わる)。
茶屋があった通りに似て、二つ隣のこちらも店が立ち並んでいて、活気あふれる道になっている。しかし、教えてもらった場所に近づくにつれ、人がだんだん減っていくのに気づくだろう。事件現場のあたりは、人が集まっていない代わりに、すでに片付けられていたようだ。
○すでに三日が経ったので、掃除もされていて現場には痕跡があまり残っていない。〈目星〉をしても、地面に少し不自然な形をしている小石が転がっているのを発見できるぐらいだ。石の表面が凸凹していて、自然にそうなったというよりはなにかによって腐蝕されたように見える。
※ティンダロスの猟犬の膿汁に侵食された石が残っていた。膿汁自体は残っていない。
目的地の八百屋は、どうやら営業していないようだ。ただ戸が開いて中が見える。30代ぐらいに見える男性が一人、店の商品を整理しながらぶつぶつ何かをつぶやいているようだ。
○〈聞き耳〉:「いつまでも気にしちゃいかんかね……そろそろ店を開かにゃならんだな……」という独り言を拾える。どうやら彼はここの店主のようだ。
話かけるのなら普通に返事をしてくれるが、事件や化け物のことを聞いても「どうせ信じてくれんだろうよ……」と眉を顰めて、話すのを渋る。
RPで信用することを約束するか(「そう言って結局馬鹿にするんだろう」と店主は言うが、否定すること)、信用していることを他の方法で証明するか、もしくは交渉技能を成功できたら、詳しく話すことを了承するだろう。
なお、彼はここ数日店も営業していないし、あまり出かけてもいないので、平野くんどころかほかの人ともあまり会っていない。
「そこまで言うんなら、一応話すけどよ……」と前置きをして、以下のことをPCに教える。
・三日前の夜に、夜更かしをしてしまいそろそろ寝ようとするとき、動物のような叫び声が聞こえて、外を覗いてみた
・すると2体の化け物が現れた。1体は逃げようとしているみたいで、もう1体は逃げてるほうを追っていた
・逃げてるほうは、上半身が人の姿をしているのに、腰以下は別の動物の骨組みとくっついているみたいで、その頭の部分に角が二つ、胴体から足が6本生えているように見えた
・追っているほうは、鋭い牙を持つ四つ足の動物に見えるが、今まで見たこともない生物だった。走りながら、体を覆っている液体のような物を撒き散らしていた
・最終的に骨の化け物は追いつかれて、戦いの末噛みつかれて動けなくなった。そのあと、黒い粒子に分解されていくようにその場から消えた
・そのすぐ後に隣に住んでいる男が帰宅しようと歩いてきたが、酔っぱらっているようで、青い化け物を見つけると殴りかかろうとした
・しかし化け物は舌を伸ばして応戦し、その際撒き散らした液体に男性は触れた
・男性は叫び声を上げて地面に転がって悶えたが、その声もすぐに止んだ。男は動けなくなったのだ
・それを見届けた青い化け物は青黒い煙となって姿を消した
※時間遡行軍はティンダロスの猟犬によって殲滅された。黒い粒子~というのは活撃刀剣乱舞を参考にした描写なので、KPがPLにわかりやすく伝えるために適切に描写を変えて構わない。
PCが真剣に店主の話を聞くのなら、彼に「化け物の絵も描いてみたけど、見るかい?」と聞かれる。
見ると答える場合、先ほど店主が挙げた特徴を持つ化け物の絵画を見せてくれる。
一枚目:骨の化け物。どことなく時間遡行軍の脇差と似ていると、出陣経験のある刀剣男士なら思うだろう。
二枚目:青い化け物。口から覗ける太い舌は曲がりくねって鋭いもので、全身に青みがかった膿汁のような物に覆われている。自然界に存在しえないような見た目に悍ましさを感じてSANチェック、1D3/1D8(また、KPの裁量で〈クトゥルフ神話〉技能を1%贈呈してもいい)。
※ティンダロスの猟犬だが、素人のイラストで精確に描かれていないため、本物と遭遇したときよりもSAN値の減少が少なめになっている。
※ティンダロスの猟犬の登場はシナリオに想定されていないが、KPが改変をする場合、ステータスはルルブのP183~184をご参照ください。
被害者について、店主は以下のことを知っている:
・油売りを生業としている
・家族はいないようで、一人暮らし
・詳細は知らないが、加賀領主に不満を持っているのは本当のこと
怨霊について話すのなら、「怨霊になっているかどうかはわからんが、なっていてもおかしくはないかもな」と答える。
――― × ――― × ――― × ―――
※KPはPCの行動に合わせて、ゲーム内の時間を夕方または夜まで進めてください。怨霊が活動するのは逢魔時(夕方)以降のため、最後の戦闘は夜に行うことを想定しています。
茶屋にいる人から教えてもらった道をたどると、石垣が巡らされて建造された大きな城が目に入る。そして道の突き当りに大手門が見えてくる。石垣の外、城の敷地を囲むように作られた水堀にかかる橋を越えると、門の前に武士が二人立っているのが見えて、それ以外にも複数人の気配が近くにいるのを感じる。警備に当たっている人たちだと推測できるだろう。
PCが近づけば「何か御用ですか?」と武士は聞く。
○納得のいく理由なら(主の術のおかげもあって)ロールなしで通してもらえる。例えば事件や怨霊の件を解決できる人を探している噂を聞いてやってきた、とか、護衛として雇われた者、とか。警備関係だと通りやすい。
○不自然と感じる理由(夜中なのに食材を売りに来た、とか)ならKPは交渉技能を要求してもいい。ただしRPによっては補正をつけてもいい。
※別の出入り口を探すとしたら搦手門もあるが、警備が大手門より少ないとは言え全くないわけでもないし、そちらまで行くほうが怪しく見えると告げていいでしょう。
・怨霊が出たのも、陰陽師を呼んだのも本当のこと
・夜になると、怨霊は若様(利常の長男の光高)の前に現れ、彼をさらっていこうとした
・奥方様(利常の妻)が非常に心配しており、一刻も早く事件を解決したい
・殿の命により、若様には今護衛として一人の近習がついている
・協力してくれるのなら若様の寝室である御殿に案内してくれる(警備上の理由で、武士二名がPCに同行して案内する)
※近習(護衛)は平野。正体は武士たちにはわかってないので、「若いお方だが腕が立つ」「殿が連れてきた人」ぐらいしか答えられない。
話が終われば、門から武士が二人出てきて、中へと案内してくれる。ついていけば、新丸と三の丸を通って、二の丸まで連れて行ってくれる。
もし門を経由せずに忍び込むと提案された場合、PCが武士に発見されたらシナリオが即刻終了する可能性があると告げ、それでも実行するかどうか確認を取ってから進んでください。
まず、城をいくつかのエリアに分けて、次のエリアに移動するたびに判定ロールが発生する。
エリアは以下のものとする:城外→新丸→三の丸→二の丸→本丸
城内にはほかの場所も存在するが、このシナリオでは省略し、以上の5か所のみ考慮する。KPが処理しやすいように、どの場所から侵入してもこの順番になるとする。また、逆方向に進む(城から外へ)のときも、途中のエリアを飛ばすことができない。
同じエリアにいる間なら、ロールなしに偵察行動(目星や聞き耳など)ができるものとする。
エリア移動をするたびに、〈隠れる〉と〈忍び歩き〉の組み合わせロールを振ってもらう。失敗すれば武士に見つけられて追い返され、二度と城に侵入することが叶わない。【END D:真相はまた後程に】へ。
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「二の丸」エリアまで移動できたのなら、PCに〈聞き耳〉を振ってもらう。成功で、御殿から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
※平野が前田家の人と話しているのが聞こえた。
もしくは、〈歴史〉に成功すれば、藩主の住居は二の丸御殿にあると思い出せるだろう。
他のエリアでも人がいるため、普通に〈目星〉(適宜夜間補正を付けてください)や〈聞き耳〉を振っても人の気配がたくさんあって判別がつかない。
※この時点までに、どのタイミングでも調査を放棄し、本丸に帰還する場合、【END D:真相はまた後程に】へ。
武士に案内されて、PCが坂を上り、門をくぐると、大きな建物が目に入る。武士はそこが「二の丸御殿」だと教えてくれる。
「若様と護衛の方は中にいます。案内しますね」と言って武士はPCを建物の中に案内するだろう。
※侵入してきた場合、〈隠れる〉と〈忍び歩き〉の組み合わせロールで気づかれずに御殿に忍び込める(同じエリア内の移動だが、御殿の警備が厳重のためロールが必要)。その後少し探せば平野と合流できるとする。平野の反応は変わらないが、忍び込んだと知れば声を潜めてくれるだろう。
御殿の廊下を歩いていくと、とある部屋の前に武士は足を止める。どうやら誰かの寝室のようで、明かりが灯っている室内には寝具が置いてあるのが見える。
「近習の方、助っ人をお連れしました」と武士が声かけると、中にいる少年が振り返る。幼い子供を腕に抱えている彼は、短く切りそろえた茶髪に藤を帯びた茶色の瞳を持ち、紺と白の旅装束を身にまとっている。PCもよく知っている、平野藤四郎だ。
平野がPCの姿を見て、一瞬嬉しそうに笑顔を浮かべて名前を呼ぶが、すぐに表情を引き締めて、「ある……皆さまに連絡もせずに、勝手にこの場所に留まって申し訳ありません」と頭を下げる。PCが何らかの反応を返せば、案内の武士は「なんと、お知り合いなんですね。なら私は隣の部屋に控えておりますので、御用があればお呼びください」と言って部屋から退出する。
武士が退出したら平野と話すことができる。聞けば以下のことを教えてくれる:
○本丸へ戻らなかった理由
・帰りが遅くなったのは、抱えている子供を守るため
・子供は現加賀藩藩主・利常の長男である光高。利常を継ぐ、次期藩主でもある
・修行から帰還する予定だった日、時間遡行軍が町に現れたが、すぐに消えてしまい、代わりに怨霊が城内に現れて、光高を襲おうとした
・怨霊は人の形をしているが、皮膚が焼けただれて悲惨な状態だった。遡行軍の気配とは違うので歴史修正主義者とは関係のない敵だと思う
・物理攻撃は効かないようだ
・殺人事件については小耳に挟んだ程度にしか知らないが、怨霊の被害者である可能性は否定できない
・放っておけば光高の命が危ない、だが自分だけでは怨霊に太刀打ちができない
・歴史や、前田家を守るためにもこの場に残って光高を守ると決めた
・ここ数日、光高を連れて城内で逃げ回ったり、隠れたりしていた
・帰還が遅れると審神者も気づいてくれて、仲間を送ってくれることに賭けた
→PCが来てくれて感謝しているし、迷惑をかけて申し訳ないとも思っている
※平野は時間遡行軍の気配を察知したが、ティンダロスの猟犬や亡くなった人の詳細については知らないし、遡行軍が消えた原因もわかってない。遡行軍が消えたことと、事件の被害者が怨霊になった可能性があることのみ事実として認識している。
○解決策について
・昨日訪れた陰陽師から霊力が込められた札をもらったが、怨霊を退治するには力が足りない
・付喪神としての自分たちの力も込めればあるいは増幅させられるのではないか
・札は2枚あるので、もし協力してもらえるのならPCに渡す
もしPCが協力できない、一度本丸に帰って主に相談する、などの行動を取るなら、平野は特に止めはせずに「わかりました、主さまのご判断に従います」と見送ってくれるだろう。【END C:旅の終わり】へ。
平野に協力するなら、PCは「退魔の札」を手に入れることができる(ソロの場合PCが1枚もらって、1枚は平野が自分の本体に使う)。
○オリジナルAF:退魔の札
陰陽師によって作られた、怨霊退治用のお札。刀剣男士が自身の力を込めて使うと、「普通の武器からはダメージを受けないような物にもダメージを与える」効果を、一時的に自身の本体に付与される。この効果は12時間持続する。
一枚の札に自身の力を込めるためには、使用者は、コストとしてSANを1点とMPを1D4点を支払わなければならない。コストを支払えるのなら術は自動成功。一枚の札は一度だけ使用できる。使用すれば、一振りの刀に効果を付与することができる。
※「刀身を清める」(ルルブP273~274)を参考にしたオリジナル呪文です。
退魔の札を使う時間をPC(や平野)に与えてもいい。
準備を整え、「あとは、ちゃんと退治できれば良いのですが……」と平野がつぶやいた瞬間、ふっと一陣の風が吹いて、室内の明かりがすべて消えた。同時に、入り口の襖はひとりでに閉まった。
「っ! 怨霊が来ます、お気をつけて…!」
平野の言葉とともに、ゆらゆらと襖の前に青白い光が浮かび上がり、そして集まって人の形になっていく。焼けただれた皮膚から青を帯びた粘液が滴り落ち、床に染みを作りながら「怨霊」はPCに近づき、平野に抱えられている子供に向けて両手を伸ばしながら、呪いの言葉を発する。
「みちづれ……おまえも、みちづれにしてやる……!」
人間だった者の悍ましい成れの果てを目にしたPCはSANチェック、1D3/1D8。
※平野はすでに怨霊を目撃しているため、ここでSANチェックする必要はない。
怨霊はそのままPCに襲いかかる。ここから戦闘処理に入る。
――― × ――― × ――― × ―――
PCが怨霊を倒した → 【END A:護る刀】へ
PCが全員戦闘不能になった → 【END B:強くなるために】へ
PCが怨霊を倒せずに逃走(救援を求めるために本丸へ帰還など) → 【END C:旅の終わり】へ
以上が戦闘終了、及びエンディング分岐の条件になる。
怨霊はルルブP229~230の「生霊」を参考に設定している。
この怨霊はステータスとしてPOWとINT、それからMPしか持っていない。POWは14、MPは20、INTは12だ。
怨霊は戦闘中毎ラウンドの最初に行動する。攻撃対象をPCからランダムに選び(ソロの場合はPCと平野からランダム)、怨霊のPOWと攻撃対象のCONで対抗ロールを行う。成功すれば、対象のCONを[1D6-1]点減少させる上、HPを-1する(怨霊が撒き散らす腐蝕性の粘液によるダメージ)。失敗すれば、怨霊自身のPOWが[1D6-1]点減少する。この攻撃に対して回避、受け流しはできない。
また、「退魔の札」の効果を適用した武器で怨霊を攻撃すれば、通常通り技能ロール及びダメージ算出を行う。与えるダメージだけ、怨霊のMPを減らす。怨霊は回避、受け流すなどの行動ができない。
怨霊のPOWかMPのどちらかが0になった時点で、怨霊は消滅し、PCたちの勝利となる。
※怨霊のMPとPOWは、PCステータスの上下限が通常の探索者と同じだと想定して調整したものである。PC作成ルールに応じて、KPが敵のステータスを適度に改変することをおすすめする。
CONが0になったPCは顕現を保てることができなくなり、本体をその場に残して行動不可になる。終了条件にある「戦闘不能」はこの状態を指している。
戦闘不能の状態になっても、仲間が本体を本丸に持ち帰り、審神者による手入れを受けると状態は解除される。手入れを受けたPCは、CON、HPを全回復し、再び人の姿として顕現することができる。
※CONはエンディングによってペナルティーが付与されることがある、詳しくは各エンディングにて。
※可能性は低いと思うが、PCのHPが0になった場合、どのように処理するかはKPが決めてもいい。同じく戦闘不能の状態にしてもいいし、難易度を上げるのなら、1まで回復できなければロストさせることも可能(その場合KPがエンディングの演出を決めてください)。
明かりが消えたため、夜間の室内戦として扱う。刀種に応じて以下の補正をPCに付与する。
短刀:〈日本刀〉+15% ダメージ量+2
脇差:〈日本刀〉+10%
打刀:補正なし
太刀:〈日本刀〉-10%
槍・薙刀:〈日本刀〉-15%
大太刀:〈日本刀〉-15% ダメージ量-2
※〈日本刀〉=自分の本体を用いて攻撃するときに使う技能とする。100を越えた場合99として扱ってください。ダメージ量の下限は1とする(攻撃が当たったら0ダメージにはならない)。
※これとは別に、夜戦に関するハウスルールをあらかじめ設定していた場合、KPが適宜戦闘の難易度を調整してください。
平野は狂気に陥ることがないため、発狂したPCがいれば〈精神分析〉をかけることができる。また、AF退魔の札が2枚しかないため、PCが二人いる場合、子供(光高)の保護を優先して、戦闘には参加しない(PCが一人のみの場合は戦闘に参加しても良い)。
戦闘に参加しない場合でも、DEX順で平野の手番になったら〈精神分析〉を振らせて良い。また、必要ならKPが〈応急手当〉を振らせることもできる。それ以外は、基本的に待機している。
【刀剣男士 平野藤四郎】
STR:12 DEX:17 POW:14
CON:13 APP:12 EDU:16
SIZ:8 INT:13 SAN:62
HP:11 MP:14 DB:0
-------------------------------------
【技能】
アイデア(65%) 幸運(70%) 知識(80%)
回避(80%) 投擲(50%) 日本刀(70%)
応急手当(75%) 聞き耳(60%) 忍び歩き(45%)
精神分析(75%) 目星(75%) 信用(70%)
説得(25%) 歴史(40%) 芸術(書道)(40%)
芸術(茶道)(25%)
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技能は索敵・戦闘・回復を中心に取得している。夜間及び室内戦補正があるため、〈日本刀〉技能を振るときは85%で振ることになる。
SANは怨霊によるSANチェックがあったため初期より3減っている。
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怨霊を倒せば、平野はほっとして、抱えている子供を寝具の上に下ろし、「これで、もう大丈夫でしょう」と微笑む。そのすぐあと、外にいる武士が駆け込んでくる。
「近習の方!これは…?」
「助っ人のおかげで、無事に怨霊を退治いたしました。今からご報告に参りますので、若様のことをお願いできますか?」
「はっ。直ちに、奥方様にもご報告いたします」
そう言って武士は仲間を呼び、平野はPCに振りかえる。
「そういうわけで、帰る前にご報告に参りたいと思いますが……(PCの名前)も一緒に来られますか?」
と彼は聞く。PCはついていっても、外で待つことにしてもかまわない。
ついていくのであれば、平野はここの城主、利常の部屋までPCを案内する。今までの経緯や怨霊の消滅について報告し、PCのことも話せば、利常は安心したように、お礼をしたいと言って希望がないかと尋ねてくる。PCはこれについて反応してもいい。
平野の場合、彼はお礼を辞退してこう言う:
「あなたさまの役に立てることこそ、僕の望みで、最大の誉れです。……僕がご一緒できるのは、ここまでです。仲間たちの元へ、帰らなければなりません。どうか、お許しを」
はっきりと申し上げた平野に、利常は引き止められないことを悟ったのだろう。別れを告げる平野はPCと一緒に部屋から離れる前に「あ」と声を上げて補足する。
「最後に一つ。あの怨霊の存在は、後世に語り継がれていくとまたいずれ蘇ることになるでしょう。どうか……僕たちのことと一緒に、歴史に残せず、心の中にだけ留めておいてください。平野の最後のお願いになります」
歴史にあってはならない事件を隠すためにそう言うと、少し寂しそうな微笑みを浮かべ、平野は利常に頭を下げる。再び顔を上げるときには、毅然とした顔つきになっていた。
「では、戻りましょうか、(PCの名前)。僕たちの本丸へ」
転送ゲートをくぐると、見慣れた本丸の景色が視界に入る。
すぐ近くに、審神者の姿が見える。審神者はPCに気づくと安堵した表情で近づいてきて、PCに「お疲れ様、おかえり」と言う。PCの様子を確認して、最後に平野に優しい笑顔を向ける。
「おかえり、平野」
その言葉に平野はまっすぐに審神者を見上げて、修行装束を取り外す。
「主さま、遅くなって申し訳ありません。平野藤四郎、ただいま戻りました!」
「この新たな力をもって、今後もお供します。……地獄の底まで」
「極」の衣装をまとった彼は、新たな決意を胸に、主に向かって、そして仲間にも向かってそう誓ったのだった。
○報酬
・シナリオクリア SAN 1D3
・怨霊退治 SAN 1D3
・平野を見つけた SAN 1D2
・八百屋の店主の話を聞いた SAN 1D2
怨霊の攻撃を受け、PCは霊力と体力を奪われていき、ついには力尽きてしまう。視界が暗くなり、意識が完全になくなる前に、平野がPCの名前を呼ぶ声を聞こえた気がした。
※平野が共に戦ってくれた場合、「誰か」の声が聞こえたことにする。こちらの正体は後述の別部隊になります。
再び意識が浮上するとき、今度は審神者に名前を呼ばれた。目を開けると、見覚えのある部屋の中にPCは立っていた。自分の本丸の手入れ部屋だ。目の前には安堵した表情を浮かべる審神者と平野がいて、どうやら自分たちは手入れを受けて、再び顕現されたのだと理解できるだろう。審神者は、「君まで戻らなくなって本当に焦ったよ。無事でよかった」と言って、別の部隊を遣わせて怨霊を退治し、PCと平野を連れて帰ったと説明してくれる。
「極」の衣装をまとった平野は「よかったです」とつぶやくと、最後まで戦ってくれたPCにお礼をし、「おかげで僕はこの本丸に戻ることができたのです。今後もまた、主さまの命を果たすべく、力を合わせて戦いましょう」と微笑みながらそう告げるだろう。
○報酬
・怨霊と戦った SAN 1D2
・平野を見つけた SAN 1D2
・八百屋の店主の話を聞いた SAN 1D2
○ペナルティー
・怨霊に負けた CON 永久的に-2
※戦闘に負けたPCのCONは一部怨霊に奪われたままです。CONを元の数値に戻してからペナルティーを適用してください。
平野の状況及び集まった情報を手に、PCたちは審神者の判断を仰ぐべく、一度本丸へ帰還することにした。
転送ゲートを通って本丸にたどり着けば、審神者が出迎えてくれる。PCが集まった情報や平野の状況を報告すると、「わかった、それなら増援を向かわせよう。6人部隊を出陣させるから、君は少し休んでね。遠征に調査が続いて疲れただろう?お疲れ様」と言って、PCの代わりに別の部隊を組んで目的地へ向かわせる。
しばらくして、出陣部隊に連れられて、平野は本丸に帰還した。修行から無事に戻ってきたことを祝して、粟田口が準備を進んでいた慰労会も予定通りに始められただろう。PCの姿を見つけて、平野が近づいてくる。「極」の衣装をまとった彼は、「助けに来てくださってありがとうございました。今後もまた、主さまの命を果たすべく、力を合わせて戦いましょう」と微笑みながらそう告げるだろう。
○報酬
・平野を見つけた SAN 1D2
・八百屋の店主の話を聞いた SAN 1D2
○ペナルティー
・怨霊に負けた CON 永久的に-2
※ペナルティーは怨霊との戦闘中CONが0になった者のみに付与。詳細はEND Bと同じ。
いろいろ話を聞いてきたけれど、平野についての情報は掴めず、PCは審神者の判断を仰ぐべく、一度本丸へ帰還することにした。
転送ゲートを通って本丸にたどり着けば、審神者が出迎えてくれる。PCにこれまで集まった情報を報告してもらうと、「そうか、わかったよ。他の部隊も戻ってきたし、あとは彼らに調査の続きを頼んでみるよ。君も遠征に調査が続いて疲れただろう?ゆっくり休んでね。お疲れ様」と言って、PCの代わりに別の部隊を組んで目的地へ向かわせる。
その夜、別の仲間に連れられて、平野は本丸に帰還した。修行から無事に戻ってきたことを祝して、粟田口が準備を進んでいた慰労会も予定通りに始められただろう。彼が戻れなかった理由を気にしつつも、PCは宴会の席を楽しむべく、遠慮なく飲み食いをしている仲間たちの輪に加わった。
○報酬
・八百屋の店主の話を聞いた SAN 1D2
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※シナリオ制作の裏話などです、読まなくてもシナリオを回せます。
とある別の刀剣PCシナリオを平野くんでPL通過したのち、元々大好きな平野くんをさらに大好きになり、平野くんをメインNPCにするシナリオを書こうと思って書いたのがこのシナリオです。本来はうちのPC平野くんもこのシナリオを経て極になれたらな~と考えていましたが、あれ以来卓メンバーと遊ぶ機会がなく、PC平野くんは最後に通過したシナリオのままですが。それでもこのシナリオを別本丸のいろんな刀剣男士に回せたのは楽しかったです。
日本史をちゃんと扱おうと思ったのもこのシナリオが初めてですが、私は日本人ではないですし日本史を勉強したこともなく、昔の文章も読めないですしと、本当にデータ収集が大変でした。今まで書いたどのシナリオよりも大変でした。結局インターネットを頼ったんですが、前田利常公をはじめとして、前田家の歴史、金沢城の歴史、江戸時代の金沢や町の様子、流行っていた店、藩主などの人物の呼び方……などなど、本当にいっぱい検索しました。それでも間違っているところはあるでしょうから、時代考証の難しさに痛感しました。
(本文にも追記しましたが、時代考証についての補足はこちらもどうぞ:https://privatter.net/p/5230772)
呼び方などはテストプレイしてくださった友人からもアドバイスをもらいました。別の自作シナリオでも書くきっかけになってくれたりしてますので本当に感謝しています…!
今回の敵は、とうらぶシナリオとは相性がとてもいい猟犬さん……となると意外性が足りないのと、戦闘処理がかなり面倒(今の戦闘処理も簡単ではありませんが…)なので、PCたちの代わりに遡行軍にその被害を受けてもらいました。時間遡行している者同士だからリスクは同じでしょうし。そうすると他に相応しい敵は…?と考えながらルルブを捲ったら生霊の記載に出会ったので、これだ!と決まりました。ただ猟犬さんと遡行軍を「怪物」と、その被害者を「怨霊」と表現したため、PLを混乱させたこともありました。解決策として、あとから本文にKP向けの注釈をつけさせていただきました。シナリオに登場する「敵」が多いと、最終的に対峙すべき相手をPLに理解してもらわないとダメですね、という教訓を得ました!
平野くんの修行についてですが、確実にこの年!とゲームからは明示されていないので、Wikiに載っている説を採用していますが、本丸ごと別の時代になってたりするのかな?と考えると楽しいですね。皆さんの本丸の平野くんは旅の途中、どのような景色を目にしたのでしょうか?
シナリオはPCが歩んだ物語ですが、このシナリオでは平野くんの魅力も少しは伝えられたらうれしいです。皆さんも推しが出るシナリオを書きましょう!(実は自作のとうらぶシナリオは必ず推しを一振りは出しています)